農業農村工学会論文集
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81 巻 , 1 号
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研究論文
  • Zhu XUE, Takeo AKAE
    2013 年 81 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2014/02/25
    ジャーナル フリー
    Modifying Ben-Asher's model, a simple model to estimate evaporation using only maximum and minimum surface temperature (MST) was proposed based on energy balance on the ground surface and supposing periodic sinusoidal change in soil surface temperature. Non-saline and saline soil (Silty loam) columns were adjusted at initial moisture condition between air dry to field water capacity. Daily evaporation (Ed) and soil temperature of the columns were measured for 23 days under field condition. At higher water content above 15 % and 19 % for non-saline loam and saline loam, respectively, the observed evaporation (Ed obs.) and estimated evaporation (Ed est.) were in a good agreement. However, the MST model overestimated evaporation at lower water content. Evaporation from the saline loam was somewhat smaller than that of the non-saline loam. The MST model can apply to estimate evaporation over a large scale area under wet conditions, if it would be combined with an infrared satellite image.
  • 中野 拓治, 安元 純
    2013 年 81 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2014/02/25
    ジャーナル フリー
    生物膜方式と活性汚泥方式の農業集落排水施設処理水ATU‐BOD・N‐BODについて,その処理性能の評価を行いながら,設計・管理因子による影響と運転管理への反映手法を考察した.生物膜方式・活性汚泥方式における処理水BOD濃度へのATU‐BODとN‐BODの関与状況を定量的に把握することができた.また,生物膜方式・活性汚泥方式ともに沈殿槽流出水ATU‐BODには,槽内流入水ATU‐BOD濃度,槽内微生物濃度,槽内DO濃度が影響を与えており,処理水ATU‐BOD濃度は,これらの設計・管理因子を説明変数とするATU‐BOD収支式から推定できることが示唆された.BOD処理性能の確保・安定を図るためには,汚水中のATU‐BODの効率的な低減とともにN‐BODの発生制御を視野に入れた運転管理の重要性が示唆された.
  • 武山 絵美, 九鬼 康彰
    2013 年 81 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2014/02/25
    ジャーナル フリー
    獣害集落診断手法として,地区実態調査と獣害実態調査を水田農業集落に適用し,アンケート調査および対策改善状況から有効性を考察した.その結果,地区実態調査では,全戸対象の意向調査から,地区協働による獣害対策を提案する客観的根拠が見いだされ,スムーズな合意形成に結びついた.また,獣害実態調査では,加害動物の出没状況が視覚的に把握され,既存対策の欠点等を地区住民が学ぶ機会を提供し得た.さらに,両調査の組み合わせにより,荒廃地の刈り払いや非農家の参画の重要性等,総合的な獣害対策の重要性が明確になった.加えて,調査への住民の参画が学習機会となり,獣害対策の改善に向けた合意形成につながった.
  • 岡島 賢治, 木島 和也
    2013 年 81 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2014/02/25
    ジャーナル フリー
    上層を礫層,下層を湿潤砂層とする浅い基礎における支持力問題について,精度の高い模型実験を行い,礫層の厚さと支持力の関係を検討した.また,この問題に対して,ひずみ軟化(粒子径効果)を考慮可能な弾塑性有限要素解析を適用し,解析手法の有効性を検証した.その結果,低拘束圧の場合,上層を礫層に置換すると極限支持力が低下することを明らかにした.またこの要因は,湿潤砂に生じる見かけの粘着力によるものであることを明らかにした.有効性を検証した弾塑性有限要素解析を用いて,スケールを変えた検討を行ったところ,上層を礫層,下層を湿潤砂層とする浅い基礎では,1mの基礎幅で0.5mの礫層が敷設された場合,極限支持力の上昇がみられることを明らかにした.
  • JIRIGALA , 大西 健夫, 千家 正照, SAMDAN Shiirev-Adiya
    2013 年 81 巻 1 号 p. 33-40
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2014/02/25
    ジャーナル フリー
    モンゴル国では,ゾドと呼ばれる家畜の大量死につながる寒候季の寒雪害が頻繁に発生し,遊牧に甚大な影響を与えている.ゾド発生の有無は,気象要因と人的要因とが複合して決まるため,両要因を峻別することはゾド被害軽減策のために極めて重要である.本研究では,モンゴル国東部のドルノド県を対象にして気象条件とゾド被害発生との関係を分析した.その結果,冬季多雪条件下で降雪量と斃死率との相関が明瞭になり,夏季少雨および冬季低温の条件が重なると,さらに傾向が顕著となることが明らかになった.他方,夏季少雨,冬季低温,冬季少雪の単独条件下では,気象条件と斃死率との間には明瞭な相関関係が見られなかった.以上より,冬季多雪が要因と言われるツァガン・ゾド(寒雪被害)は気象条件を規定要因とみなすことができ,その他のガン・ゾド(干ばつ被害),ハラ・ゾド(無降雪被害),フィテン・ゾド(寒冷被害)は気象要因のみが決定要因ではないことが示唆された.
  • 泉 完, 大田 敏貴, 東 信行
    2013 年 81 巻 1 号 p. 41-50
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2014/02/25
    ジャーナル フリー
    野外の河川敷地点でスタミナトンネルを用いてシロウオの遊泳能力,および尾部の動きと遊泳速度に関する実験を実施した.遊泳能力の実験では遊泳速度と遊泳時間,遊泳距離の関係,尾ひれの動きに関する実験の解析には高速度カメラを用い,尾ひれの動きと振幅,尾ひれの振動数と遊泳速度の関係についてそれぞれ検討した.その結果,体長4cm台のシロウオの遊泳速度と遊泳時間に関する遊泳曲線式を得た.シロウオの尾ひれの振幅と全長との比は,尾ひれの振動数や遊泳速度が増加してもほぼ一定でその値は0.13であった.シロウオは尾ひれを1s間に5.8~35.4回振って全長の2.7~27.8倍の速さで泳ぎ,遊泳速度との間に比例関係が認められ,遊泳速度と尾ひれの振動数に関する実験式を得た.
  • 安西 俊彦, 清水 克之, 北村 義信, SHAKIBAEV I.I.
    2013 年 81 巻 1 号 p. 51-56
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2014/02/25
    ジャーナル フリー
    イリ川下流域の灌漑地区では,水稲作と畑作の輪作が行われ,畑作物は生育初期を除き畑作圃場周囲の水路・水稲作圃場からの浸透により上昇した地下水を利用し生育する.一方で,過剰な地下水位の上昇は塩類集積の原因となるため,適切な地下水位管理が求められ,適切な管理に向けて地下水位変動の時間・空間的な特性を把握することが重要である.
    そこで本稿では地下水位変動特性の時空間分析を行い以下の知見を得た.1)水稲作が本格的に導入された70年代より地下水位は急激に上昇し,取水量が最大であった80年代にピークを迎え,取水量の減少とともに現在低下傾向を示している,2)非灌漑期では地下水位の空間分布は地表面にほぼ平行であるが,灌漑期での地下水位上昇の空間分布は一様ではない,3)ある地点の地下水位変動は,周辺の農地利用や排水路の整備状況により影響を受けることが示唆された.
  • 工藤 亮治, 増本 隆夫, 堀川 直紀, 吉田 武郎
    2013 年 81 巻 1 号 p. 57-66
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2014/02/25
    ジャーナル フリー
    近年,メコン河流域では水力発電ダムの建設が数多く計画され,気候変動とともに水資源開発が水循環に与える影響が懸念されている.本研究では,上流に複数の新規ダム建設が計画されているラオス国ナムグム川流域を対象に,分布型水循環モデル,貯水池管理モデル,将来気候シナリオを用い,気候変動と新規ダム建設が既存のナムグム1ダムの流水管理や流域水資源に与える複合的影響について検討した.その結果,気候変動とダム建設の影響は渇水年のナムグム1ダム雨季流入量・貯水量の減少として顕著に現れること,気候変動に伴う降水量増加分が上流ダムで貯留されるため,ナムグム1ダムの無効放流が減少し発電放流量が増加することが予測された.このことから,メコン河流域のような開発圧力の強い地域において将来の水資源を予測するには,気候変動と水資源開発の両者の影響を考慮することが重要と考えられる.
  • 谷口 智之
    2013 年 81 巻 1 号 p. 67-73
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2014/02/25
    ジャーナル フリー
    本研究では,兼業化が進行した茨城県福岡堰土地改良区受益地を対象に,用水管理と水田管理を詳細に調査することにより以下を明らかにした.1)関係農家数が多い支線用水路では分水工は開放状態で維持され,各農家は小用水路の分水工や各水田の水口を操作することで取水量を調整していた.2)幹線用水路の中流部の農家は代かき時期の取水開始を早めるなど,上下流間での用水競合を避ける用水管理を行っていた.3)代かきと田植え作業は毎年同じ時期に実施されていた.一方,刈り取り作業は委託する兼業農家が多いため水稲の生育状況に応じて実施されていた.4)兼業化稲作地域では1本の支線用水路に関係する農家数が多く,また,ほとんどの農家が日中不在であるため,用水需要に応じて分水工を操作することは困難であり,配水管理用水量は増加する傾向にある.
研究報文
  • 松井 宏之, 勝元 修平
    2013 年 81 巻 1 号 p. 75-80
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2014/02/25
    ジャーナル フリー
    本報文では,高精度で長波放射量が観測されている世界中の18観測所での観測結果をもとに,一般的な有効長波放射量推定式で用いられている係数の気候依存性,および推定式を構成する雲の効果に関する係数の妥当性について検討し,以下のことを明らかにした.(1)快晴時の大気の射出率を表すBrunt式の2つの係数は相関係数−0.98となる高い相関がある.(2)Brunt式の係数は,年平均蒸気圧と相関があり,気候依存性が認められる.(3)雲の効果を快晴時の全天日射量と実際の全天日射量の比を変数とする一次式で表すとき,その係数は年平均蒸気圧および年平均気温と相関があり,気候依存性がある.(4)雲の効果を表す係数は,下向き長波放射量に雲の効果を算入する本来の機能とともに,地表面温度と気温との差を調整する機能を担っていると考えられ,物理的意味を持たない係数となっている.
  • 阿部 剛士, 小島 信彦
    2013 年 81 巻 1 号 p. 81-86
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2014/02/25
    ジャーナル フリー
    直角V字型減勢工はコンパクトで工事費が低廉かつ維持管理が容易な減勢工である.しかしながら,この減勢工の効果に関する実験報告は無い.本研究では,急勾配水路(上流および下流の水路縦断勾配が1/33)に設置された減勢工における水クッション深さの違いによる実験的な減勢効果について述べた.特許に示されている決定の式を用いた場合,水クッション深さは,水クッション突入時の速度水頭の5割程度となる.この勾配の場合,水クッション内で減勢されずに水路外に多量の水沫が飛び出す等の問題が生じる.本研究から,水クッション深さをこの速度水頭の6割に設定すると,効果的な跳ね上がり抑制効果を示すことが判明した.
  • 石神 暁郎, 金田 敏和, 佐藤 智, 周藤 将司, 緒方 英彦
    2013 年 81 巻 1 号 p. 87-98
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2014/02/25
    ジャーナル フリー
    積雪寒冷地におけるコンクリート開水路では,近年,凍害劣化を対象とした様々な補修が行われている.補修を前提とした凍害劣化の診断では,コンクリート躯体における劣化深さの把握が重要となる.長大な延長を有し,かつ水密性を要求される水利施設である開水路では,有用とされるコア採取などの局部的な破壊を伴う調査を多用することは難しく,効率的かつ効果的な非破壊調査法を活用した診断手法の確立が望まれている.本研究では,超音波を用いた非破壊調査法のひとつである表面走査法により,コンクリート開水路の側壁において凍害劣化深さの推定を試みた.その結果,コンクリート躯体内部に微細ひび割れなどが存在しない場合は,表面走査法により超音波伝播速度を測定することで,コンクリート表層部の劣化深さを推定できる可能性が高いことが分かった.
  • 井芹 晴香, 平松 和昭, 原田 昌佳
    2013 年 81 巻 1 号 p. 99-110
    発行日: 2013/02/25
    公開日: 2014/02/25
    ジャーナル フリー
    近年都市化が急速に進行する福岡県瑞梅寺川流域を対象に,分布型窒素・リン負荷流出モデルを構築した.本モデルを用いて期間Ⅰ(2009/4/1~2010/3/31)および期間Ⅱ(2010/4/1~2011/3/31)を対象に流出解析を行った結果,まず池田観測地点における河川流量に関しては,期間Ⅰおよび期間Ⅱそれぞれについて,NS指標が0.60および0.55,相対誤差が27%および30%となり,精度の高い再現結果を得ることができた.TN・TPについては,柳橋および池田宮園橋,池田川橋の3つの観測地点において,期間Ⅰ・Ⅱともに概ね良好な再現結果を得ることができた.つづいて,対象流域の水環境に特に影響を与える発生源として,生活系および畜産系を対象に,排出負荷量の削減対策に関するシナリオ分析を行った.その結果,それぞれの対策において水質改善に効果があることが示唆された.
研究ノート
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