農業農村工学会論文集
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最新号
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研究論文
  • 渡辺 晋生, 中西 真紀, 草深 有紀, 武藤 由子
    2019 年 87 巻 1 号 p. I_1-I_8
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/01/11
    ジャーナル 認証あり

    異なる温度で, 硫酸アンモニウムを含む黒ボク土のバッチ試験を行った. バッチ試験で測定したアンモニア態窒素 (NH4-N) の減少と硝酸態窒素 (NO3-N) の増加は一次分解反応で表せた. 一次分解の硝化速度定数は温度低下とともに減少した. バッチ試験と同じ温度で, 硫酸アンモニウム溶液を滴下後, 純水を滴下する浸透実験を行った. この際, NH4-Nが吸着により上方に残存し, 硝化により生じたNO3-Nが下方に流下した. 温度が低いほど土中で発生するNO3-Nは減少した. ここで, バッチ試験で求めた硝化速度定数を用いて浸透実験の数値解析を行った. 溶存態と吸着態NH4-Nが等しく硝化すると仮定すると, 計算は浸透実験のNO3-N分布を過大評価した. 一方, 吸着態は溶存態より硝化速度定数が小さく, また硝化が遅れて開始すると仮定すると, 計算は土中のNH4-N, NO3-N分布と排液のNO3-N濃度をよく再現した.

  • 中野 拓治, 中村 真也, 松村 綾子, 高畑 陽, 崎濱 秀明, 大城 秀樹, 幸地 優作, 平田 英次
    2019 年 87 巻 1 号 p. I_9-I_15
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/02
    ジャーナル フリー

    沖縄本島北部に分布する国頭マージ土壌を用いて油汚染土壌の室内浄化試験を実施し, 島内で産出される琉球石灰岩砕・粒子を含めた浄化促進材の添加を通じて, バイオレメディエーションによる油分浄化特性と影響要因について考察した.軽油模擬汚染土壌に琉球石灰岩を5%以上添加することにより, 土壌含水比が5~20%の範囲で油分の浄化速度(Total Petroleum Hydrocarbons(TPH)浄化速度)を向上させるとともに, 貝殻片や花崗岩砕等を用いた浄化促進材との比較検証の結果, 琉球石灰岩砕が最もTPH浄化速度を高めることを明らかにした.琉球石灰岩砕・粒子は, 油分分解菌の代謝活動に必要となる通気性とその棲息域を確保する細孔を多く有しており, 国頭マージ土壌のpHを酸性域から中性域に中和する効果もあることから, 土壌中の油分分解菌の活性化によりTPH浄化速度が向上したものと推察される.

  • 上野 和広, 浅野 純平, 長束 勇, 石井 将幸, 西山 竜朗
    2019 年 87 巻 1 号 p. I_17-I_25
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/02
    ジャーナル 認証あり

    無機系材料間のせん断付着強度の評価に向け, 傾斜せん断試験と一面せん断試験による検討を行った.傾斜せん断試験でモルタルとポリマーセメントモルタル(PCM)の間の付着性を評価した結果, PCMの圧縮強度の増加に伴ってせん断付着強度は増加し, 摩擦角は一定の値を示した.この結果は, 無機系材料の一般的な材料特性として妥当であることから, 傾斜せん断試験をせん断付着強度の評価に適用可能と考えられた.また, 傾斜せん断試験に対する一面せん断試験の代替性を評価した結果, 一面せん断試験は適切な試験条件の設定により供試体をせん断破壊可能であること, 一面せん断試験によるせん断強度が理論的に求めたせん断強度とほぼ一致すること, 同一条件の付着界面での付着性の評価が両試験で類似することが確認され, 一面せん断試験によって傾斜せん断試験を代替可能と考えられた.

  • 藤澤 和謙, 村上 章
    2019 年 87 巻 1 号 p. I_27-I_36
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/02
    ジャーナル フリー

    本論文の目的は, 飽和領域の浸透挙動を記述するDarcy-Brinkman式を不飽和領域に適用可能な方程式へと拡張することにある.Darcy-Brinkman式は, 粘性項と慣性項が追加されたDarcy則に対応し, 飽和した多孔質領域において, Navier-Stokes式に空間的な平均操作を施すことで導かれるが, これまで不飽和領域におけるDarcy-Brinkman式は提案されていない.本論文では, 同様の平均操作を不飽和の多孔質領域に適用することで, Darcy-Brinkman式を不飽和領域へと拡張を行う.平均操作の結果から得られる方程式は, 体積含水率の時間変化が連続式に追加されることが導かれ, 運動方程式には, 慣性項, 粘性項, Darcy則から導かれる項において液相が間隙を完全には占めないことに起因する不飽和の特徴が表れることが示される.

  • 金森 拓也, 堀野 治彦, 櫻井 伸治, 中桐 貴生, 中村 公人
    2019 年 87 巻 1 号 p. I_37-I_43
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/05
    ジャーナル フリー

    広範かつ恒常的に重金属汚染が生じている農地においては, 時間的・コスト的側面から浄化措置を講じることが困難である場合もあり, 土壌改良資材の投与により重金属の可動性を弱め, 作物の重金属吸収を抑制する不動化技術が注目されている.本研究では, 不動化技術における有機性廃棄物の利用可能性に着目し, 銅, カドミウム, 鉛を対象とした土壌バッチ試験から牛ふん堆肥およびメタン発酵消化液の重金属不動化資材としての有用性を検討した.その結果, 牛ふん堆肥で重金属の不動化効果が高く, 特に銅では対照区に対して9割程度の可給性の減少が確認された.しかし, カドミウムは他の重金属と比べて不動化されにくく, さらに他種重金属との共存下では移行性が顕著に増大するなど, 土壌中における不動化挙動は重金属種によって異なることも示された.また, メタン発酵消化液の不動化効果は牛ふん堆肥に比して小さかったものの, 化学形態別の見地からは, 重金属の移行抑制に寄与する可能性が示唆された.

  • 有田 博之, 橋本 禅, 内川 義行
    2019 年 87 巻 1 号 p. I_45-I_50
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/05
    ジャーナル フリー

    東日本大震災・新潟県中越大震災で講じられた対策の検討を通じて, 災害レベルに応じた計画的な災害復旧対応の必要性について論じ, 計画が具備すべき特性・構成について提案した.農業農村整備分野では災害復旧の計画策定は現在行われないが, 大規模災害では計画策定が復旧の迅速化・効率化および業務負担の軽減に繋がる.災害復旧計画は, ①復旧方針を明確にし, ②発災直後の業務を簡素化し, ③復旧対応の均一性を確保する効果をもつ.被害の形態によって被災地区は, 個別被害ゾーン, 団地的被害ゾーン, 面的被害ゾーンに区分でき, これらの組み合わせによって災害レベルは異なる.本論では, 災害レベルを3種に類型化し, 各レベルに対する計画的な災害復旧方法を示した.

研究報文
  • 鬼丸 竜治
    2019 年 87 巻 1 号 p. II_1-II_10
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/02/02
    ジャーナル 認証あり

    農業水利施設を管理する土地改良区では, 組合員が大規模経営体と小規模農家へ二極分化することが予想されている.そのようになった場合, 総会での議決において現行の一人一票制を用いると, 人数の多い小規模農家の意見が反映されやすいので, 受益地の大半を経営する大規模経営体が不平等感を抱く恐れがある.そこで, 二極分化が進んだ土地改良区における議決権数決定方法として面積要件付加制に着目し, その具体的内容をモデル土地改良区のデータを使い提案するとともに, 導入時の留意点を分析した.その結果, ①面積要件付加制における各組合員の議決権数を, 「1人当たり1個」と「全組合員数と同数の議決権を全農地面積につき地積割した個数」の和とする, ②総会での議決前に大規模組合員同士の合意形成を促進するため, ワークショップを取り入れた議論の場を用意する点に留意する, ことを示した.

  • Kazuhisa KODA
    2019 年 87 巻 1 号 p. II_11-II_18
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/03/05
    ジャーナル 認証あり

    Fresh groundwater lenses develop on relatively large atoll islands and play a key role in providing stable freshwater supply. The Republic of the Marshall Islands in the Pacific Ocean sometimes suffer from drought caused by El Niño. About half of its population lives in the capital, Majuro, and securing freshwater resources for these people is a crucial issue. There is a fresh groundwater lens (Laura Lens) on Laura Island in Majuro Atoll. In this research, the current status of Laura Lens was investigated as up-coning that mixes seawater into fresh groundwater could render the fresh groundwater lens unusable. Electrical conductivities (ECs) of the groundwater at different depths in the monitoring wells were observed to determine the Laura Lens interface depths. ECs of groundwater surface at resident shallow wells were also observed to determine the planar Laura Lens interface. Locations of these interfaces, which have ECs equivalent to 200 mS/m, were calculated by interpolation. The Laura Lens storage volume from 2010 to 2013 was estimated by inputting the data into Surfer software. The results of groundwater observations showed that up-coning, similar to the one that occurred in 1998 which had resulted in serious drought, could still be observed. It was also found that the Laura Lens storage volume had decreased and that most of the fresh groundwater that seeped into Laura Lens had flowed out into the sea. Therefore, it is necessary to conserve and use the fresh groundwater lens.

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