北海道網走川水系に位置する18の農林地流域河川において秋季に水質調査を行い, 土地利用が河川水質に及ぼす影響を検討した. 本地域では河川のNO
3-N濃度と畑草地率との問に強い関係がみられた. 河川のNO
3-N濃度と畑草地率との関係から得られるインパクトファクターは, 畑草地における余剰窒素に関係することが知られている. よって網走川流域の硝酸態窒素による河川汚濁は, 畑草地における余剰窒素による影響が強いと推察した. また, 網走川支流河川, 網走川本流, 網走湖のN/P比を比較することで, 網走湖への流入河川が網走湖の富栄養化に与える影響を検討した. 畑草地率とN/P比との間には高い相関関係がみられた. また, 畑草地率が30%以上を有する支流域では, N/P比が網走川本川と網走湖のN/P比よりも高い値を示した. このことから, 畑草地率が30%以上を示す支流域河川の水質は, 他の支流域河川よりも網走湖の水質に大きな影響を及ぼしていると推察される.
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