農業農村工学会論文集
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79 巻 , 4 号
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研究論文
  • 能登 史和, 丸山 利輔, 早瀬 吉雄, 瀧本 裕士, 中村 公人
    2011 年 79 巻 4 号 p. 249-255
    発行日: 2011/08/25
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
    多雪地帯の手取川山地流域(石川県)において1976年7月~2007年6月の水文資料を分析して,積雪水資源量の評価を行うと共に,地球温暖化に伴う積雪水資源量の変化をRCM20の資料を活用して推定した.本研究によって得られた知見は次のとおり.(1)1976年7月~2007年6月の積雪水資源量は,約400~1,500mmと大きな変動を示すが,減少傾向を示し,毎年平均約11mm減少している.(2)2081年7月~2100年6月の積雪水資源量は,平均157mmと現在の約1/5となる大幅な減少が予想され,代かき用水への影響が懸念される.(3)中山間地に位置する積雪観測地点(丸山地点)の最深積雪量と流域全体の積雪水資源量とは決定係数0.80の高い相関を有する.(4)金沢の12~2月の1981~2000年と比較した2081~2100年の平均気温は2.92℃上昇,降水量は13.2%減少となり,積雪水資源量に与える影響が大きい.
  • 奥野 倫太郎, 森 充広, 渡嘉敷 勝, 森 丈久
    2011 年 79 巻 4 号 p. 257-264
    発行日: 2011/08/25
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
    流水による摩耗や乾湿の繰返しを受けやすいコンクリート開水路環境下における有機系表面被覆材の劣化要因と劣化しやすい部位を明らかにすることを目的に,実際に供用されているコンクリート開水路で施工された有機系表面被覆材の表面をマイクロスコープで撮影した.その結果,早いもので2年9ヶ月の供用期間で微細ひび割れが発生していること,初期状態から存在する気泡痕が供用年数とともに発達することが確認できた.そして,日当たりと供用条件(気中部・水中部)をパラメーターとして劣化特性を分類した結果,日当たりの良い気中部で最も劣化が進行しており,直射日光による紫外線が有機系表面被覆材の劣化に関与していることが示唆された.
  • 渡部 慧子, 中村 公人, 柳 讚錫, 飯田 訓久, 川島 茂人
    2011 年 79 巻 4 号 p. 265-274
    発行日: 2011/08/25
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
    メタン発酵施設による畜産廃棄物および食品残渣の処理がバイオマス資源の利活用技術として行われており,メタン発酵消化液の肥料としての利用が模索されている.消化液は液状であるために,粒状の化学肥料とは異なる施用方法を検討する必要がある.本研究では,消化液の「流し込み」,「表面散布(散布直後に耕起)」,「土壌内散布」の3種の施用方法を設定し,施用方法の違いによる土壌窒素濃度,イネの収量,排水への窒素負荷量への影響を比較検討した.その結果,作土のアンモニア態窒素濃度と溶存態有機態窒素濃度が土壌内散布区,流し込み区よりも表面散布区で高く推移し,イネの収量は表面散布区で最多となった.また,幼穂分化期前後の溶存態有機態窒素とイネの収量との間に有意な相関が見られた.排水負荷量は消化液散布区と化学肥料区の間に大きな差は見られなかった.
  • 濱 武英, 青木 丈, 大菅 勝之, 中村 公人, 杉山 翔, 川島 茂人
    2011 年 79 巻 4 号 p. 275-281
    発行日: 2011/08/25
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
    水田地区への集団的な転作の導入は,栄養塩類の排出負荷を増大させると考えられる.著者らは,小麦と大豆の転作が実施された水田地区において,排水の栄養塩類濃度および地区排水量を3年間連続的に計測し,灌漑期と非灌漑期に水田地区から排出される栄養塩類負荷を求めた.結果として,排水の栄養塩類濃度は,いずれの年度も非灌漑期に最も高い値が観測された.排水の栄養塩類濃度のピークは転作田の施肥後の降雨日に見られており,小麦へ施用された肥料成分の流出が非灌漑期における排水の高い栄養塩類濃度の要因であることが示された.非灌漑期の排出負荷は 16.9~22.1 kgN ha-1(窒素)と0.84~1.42 kgP ha-1(リン)であり,年間の総排出負荷の46~66%(窒素)と27~54%(リン)を占めた.
  • 有田 博之, 橋本 禅
    2011 年 79 巻 4 号 p. 283-289
    発行日: 2011/08/25
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
    耕地の区画整理をはじめとする土地改良事業が農地の空間構成を変化させ,労働環境だけでなく自然環境に強い影響を及ぼす.これを踏まえ,農林水産省は環境と調和した事業実施を求めている.しかし,近年では耕地の区画整理において用排水路共に暗渠化する事例が生じており,これが進行すると水路は急激に減少して,新たな環境劣化を招く懼れがある.本研究では新たな展開の技術特性を明らかにすると共に,これに適合する環境保全対策を検討した.この結果,環境要素のうちで「空間」保全を優先すべきであることを明らかにし,実現方法として「空間基準」の設定を提案した.空間基準は,ノーネットロス原則が確立していない我が国でも簡便に適用できるため高い効果が期待される.
研究報文
  • 竹村 武士, 小出水 規行, 水谷 正一, 森 淳, 渡部 恵司, 西田 一也
    2011 年 79 巻 4 号 p. 291-301
    発行日: 2011/08/25
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
    千葉県の谷津田域において,2年間にわたり実施した毎月の魚類調査結果を対象に魚類の出現傾向を分析した.調査結果では,全体で13種が出現し,優占種であるドジョウが総採捕個体数の約3/4を占める.出現傾向の分析には3つの群集解析方法を用いた.そして,解析結果を基に,注目種を抽出後,注目種が代表する水路群と代表しない水路群,および,注目種の出現水路群と非出現水路群について,それぞれ水路環境の差を水路の位置や平均水面幅等の項目ごとに分析した.以上の結果,調査地ではタモロコの多いほど同所的出現種数が多く,タモロコの出現水路には他種にも好ましい環境のあることを示唆する,タモロコの指標性が考えられた.
  • 田畑 俊範, 平松 和昭, 原田 昌佳, 白石 日出人, 首藤 俊雄
    2011 年 79 巻 4 号 p. 303-311
    発行日: 2011/08/25
    公開日: 2012/08/25
    ジャーナル フリー
    有明海湾奥を対象とした移流分散シミュレーションモデルを構築し,ノリ養殖施設の高密度配置がノリの成長に与える影響について検討を行った.モデルには,2次元単層モデルに干潟処理を導入したものを用い,有明海の潮流速および塩分について現況の再現計算を行った.その結果,実測値との良好な再現性が得られ,再現性の高いシミュレーションモデルが構築できた.次にノリ養殖施設の配置方法について,5つのシナリオを対象としたシナリオ分析を行った.各シナリオの評価にノリの窒素同化速度との関係を表す実験式を導入した.その結果,ノリ養殖施設の配置密度を小さくするシナリオでノリの成長要因である窒素同化量の改善が見られ,ノリ養殖施設の高密度配置がノリの成長に負の影響を及ぼしていることが示された.さらに,シナリオ分析により,ノリ養殖施設のより適した配置方法が提案できた.
研究ノート
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