手術適応の子宮筋腫を有する婦人にLuteinizing hormone-releasing hormoneagonist (LHRHa)を900μg/day,4カ月間投与することによる手術回避の適応について検討を加えた。対象は手術目的で当院に紹介されるも手術を希望しない45歳以上の婦人で,投与終了後2年以上経過観察が可能であった39例であった。13例で投与終了後閉経期に移行し,治療目的が達成され(閉経群),26例は,終了後,月経が再開した(月経群)。月経群の平均年齢(mean±SEM)は48.3±0.4歳,閉経群は50.9±0.7歳で,閉経群が有意に高齢であった。投与前における血清luteinizing hormone (LH), estradiol (E_2)値および子宮容積は,両群間に差は認められなかったが,血清follicle-stimulating hormone (FSH)値は閉経群が有意に高値であった。LHRHa投与により,月経群ではLH, FSH, E_2値,子宮容積はともに投与期間中前値より有意に低下した。閉経群においてはLHRHa投与期間中のLH, FSH値の有意な低下は認められなかった。投与終了後は月経群では前値に復するが,閉経群ではLH, FSH値は前値より有意に上昇し,E_2値,子宮容積は有意に低下した。これらの結果より,高年齢婦人で,FSH前値の高値,LHRHa投与中のLH, FSH値の有意な低下が認められない症例では,LHRHa療法後,閉経期に移行させることができ,手術回避が可能であると考えられた。
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