日本歯周病学会会誌
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28 巻, 3 号
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  • 白木 雅文
    1986 年 28 巻 3 号 p. 785-799
    発行日: 1986/09/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    本研究は歯肉を上皮と上皮下結合組織に分離し, 両組織におけるグリコサミノグリカン (GAG) の定性, 定量を行い, 更に合成能をin vitroで検討し, 歯肉上皮のGAGの生化学的特性を明らかにする事を目的として行った。雑種成犬から臨床的健常歯肉を採取し, 上皮と結合組織に分離後, 両組織からGAGを抽出し, 定性, 定量を行い, また3H-グルコサミンの取り込み実験と同時にオートラジオグラフィーによる検索を行った。その結果, 上皮ではヒアルロン酸とヘパラン硫酸が, 上皮下結合組織ではビアルロン酸とデルマタン硫酸がそれぞれ主要GAG成分であった。オートラジオグラフィー所見でも歯肉上皮に多量のgrainを認め, 生化学的分析結果と一致した。以上の結果, 上皮のGAG構成比は結合組織のそれとは異なっていること, また代謝回転が上皮GAGは速いことが示された。
  • 牧野 恒和
    1986 年 28 巻 3 号 p. 800-812
    発行日: 1986/09/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    硬組織並びに軟組織を形成する骨芽細胞並びに線維芽細胞を, ラット頭頂骨および頭部皮膚よりCollagenase digestionによって調製し, それぞれの細胞によるphosphoproteinの合成能について比較検討した。その結果, 両細胞ともphosphoproteinを活発に合成するが, 骨芽細胞では分子量75K, 66K, 58K, 38K, ならびに15.5Kを主に合成し, 線維芽細胞では, 15.5Kを主要成分として合成していた。従って, これら硬・軟両組織の細胞はそれぞれ骨の主成分であるアパタイトに強い親和性を有する分子量の異なるphosphoproteinを合成していることが明らかになった。また, 石灰化現象と密接に関与すると考えられるこれら非コラーゲン性蛋白質の分離ならびに精製するためのきわめてユニークな方法が確立されたと考えられる。
  • -各種根面処理によるルートプレーニングの基礎的研究-
    木村 純一, 土屋 昭夫, 本田 忍, 鴨井 久一
    1986 年 28 巻 3 号 p. 813-824
    発行日: 1986/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周疾患に罹患した抜去歯を用いて, 清拭処理, ルートプレーニング処理, 象牙質露出+ルートプレーニング処理の3種類の前処理を施し, 35S (Na235SO4水溶液) に浸漬後, 無処理 (前処理のみ), ロビンソンブラシによる清掃処理, ルートプレーニング処理の3種類の後処理を根面に対して行ない, 35Sの歯根歯質への浸透性を, 研磨切片の透過光像とオートラジオグラムにより検討した。結果は次の通りである。
    1. 前処理において根面にセメント質が残存している場合。
    前処理において, ロビンソンブラシによる清掃処理, およびルートプレーニング処理を行なった根面は, 無処理の根面に比べ, オートラジオグラムにおける黒化度は低く, その幅も狭い傾向がみられた。
    このことから, 35Sはセメント質の残っている根面において主に付着していることが考えられた。
    2. 有細胞セメント質と無細胞セメント質の浸透性については, 後処理のロビンソンブラシによる清掃処理面のオートラジオグラム所見より, 有細胞セメント質において35Sの浸透がみとめられた。
    3. 前処理において象牙質を露出させた場合。
    前処理において, ルートプレーニング処理を行なった根面では, ロビンソンブラシによる清掃処理を行なった根面とくらべて, オートラジオグラムにおける黒化度は低く, その幅も狭い傾向がみられた。
    一方, 無処理の根面とロビンソンブラシによる清掃処理の根面との問には, 著明な差は認められなかった。このことから, 根面直下の象牙質内部で, 象牙細管を介して, 35Sが浸透していることが考えられた。
  • 安藤 芳明, 栗原 眞幸, 鈴木 基之, 宮下 元, 長谷川 紘司
    1986 年 28 巻 3 号 p. 825-836
    発行日: 1986/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周病変に外傷性因子が加わると歯周組織の破壊は著しいものとなることが知られている。外傷性因子のなかでもBruxismはその加わる力の大きさや持続時間, 作用方向などが特に歯周組織に影響を与える点で問題視されている。我々は, 浦口が開発した歯ぎしり音の録音装置, Grinding Monitoring System (以下, G . M. S. と略す。) を用いて, 録音した歯ぎしり音をFFTアナライザーにて解析, 検討した。被験者6名は, 実験前に歯周組織を健全な状態に近づけ, 装置, アンケート, テープを自宅に持ち帰らせた。起床時に, 就寝時刻, 起床時刻, アンケートへの答を録音させた。一ヵ月つづけた後回収し, 時系列波形と周波数成分について検討した。
    その結果, 客観性に乏しく区別しずらい歯ぎしり音も, 時系列波形, 周波数成分の特徴から, 分類可能であることがわかった。さらに歯ぎしりには, 個人のリズムが存在すると思われる所見が観察された。
  • 3. 側方運動時に伴う咬合接触領域の形態的解析
    申 基テツ, 荒木 久生, 宮田 隆, 三宅 唯夫, 中島 啓次, 池田 克巳
    1986 年 28 巻 3 号 p. 837-848
    発行日: 1986/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    この研究は, 側方運動時における早期接触領域の形態的解析を目的に行った。被験者の口腔内は, 臨床的に健康で, 後に詳述する条件を具備した者10名である。測定は, 中尾の方法を改良した口腔外描記装置およびゴシックアーチトレーサーを用い, 咬合接触面積 (OCA), 上下顎咬合面間距離 (LG 1°) および咬合接触部位を宮田の方法で検討し, 以下の結論を得た。
  • 上田 雅俊, 稲田 芳樹, 高津 兆雄, 山岡 昭, 平塚 靖規, 上村 一成, 太口 裕弘, 楠 憲治, 小西 浩二
    1986 年 28 巻 3 号 p. 849-854
    発行日: 1986/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    エアースケーラーの歯石除去効果と除去後の状態を知る目的で, in vitroにおいて, エアースケーラー2器種と超音波スケーラーとの比較検討を行った。その結果, 実験的歯石の除去効果は定量的にみて, エアースケーラー2器種間には差は認められなかったが, エアースケーラー群が超音波スケーラーに比較して, その除去効果は有意に低かった。一方, 実験的歯石除去後の表面あらさは, エアースケーラー2器種の間には差は認められなかったが, エアースケーラー群が超音波スケーラーに比較して, その数値は有意に低値を示した。
  • スケーラーの鋭さに及ぼす, ストロークと使用圧の影響について
    石塚 泰也, 長田 豊, 石川 烈
    1986 年 28 巻 3 号 p. 855-862
    発行日: 1986/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    今回, 平滑にしたヒト乾燥抜去歯象牙質片とエポキシ樹脂製のスケーリングテスターを® 試料とし, スケーラーの作業能率即ち切削量とストロークとの関係を一定条件下で定量的に検索することにより, スケーラー刃部の鋭さの転換点, 換言すると一定の側方圧下において何ストローク位でスケーラーが切れなくなるのかという点について測定した。その結果, 1) 試料がスケーリングテスターで® l ateral pressure 500gの場合, 40ストローク前後で刃の鋭さの転換点が見られ, 2) 試料が象牙質片でlateral pressure 750gの場合, 50から60ストロークで鋭さの転換点が見られ, 3) 試料が象牙質片でlateral pressure 500gの場合, 50ストローク前後で鋭さの転換点が見られ, 4) 試料が象牙質片で1ateralpressure250gの場合, この条件においては刃の鋭さの変化は緩徐なもので鋭さの転換点は見られなかった。
  • 第1報初診時における臨床所見について
    和田 甫, 柳澤 高道, 石川 俊明, 國富 照子, 本田 公亮, 吉岡 済
    1986 年 28 巻 3 号 p. 863-870
    発行日: 1986/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周疾患を主訴として当科を訪れた外来患者の初診時の臨床所見, とりわけプラークの付着状態とポケットの深さ, および両者の相関性について多角的に解析した。その結果, 上下顎部位別では上下顎大臼歯部, ついで下顎前歯部のプラークスコアが高く, 一方歯面別の比較では隣接面のスコアが高く, 頬・唇側面のスコアが極端に低い値を示した。さらに, 頬・唇側に対して舌・口蓋側では深いポケット値が認められた。また, プラークスコアとポケットの深さとの関係では, 臼歯部で統計的に有意な相関が見られたが, 前歯部では, こうした相関は全く存在しなかった。
  • 三上 格, 上野 益卓, 岡部 秋彦, 河野 昭彦, 深井 浩一, 高橋 克弥, 大滝 晃一, 長谷川 明
    1986 年 28 巻 3 号 p. 871-893
    発行日: 1986/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    昭和60年1月から12月までの1年間に, 当科手術室で施行された歯周外科手術について臨床集計的観察を行い検討を加えた。
    その結果, 歯周外科手術数は延べ162例, 男性98例, 女性64例, 平均年齢45.8歳, 手術部の疾患の進行度は, 軽度14.4%, 中等度50.6%, 重度35.0%であった。手術目的別では, 歯周ポケットの除去と根分岐部病変の改善を目的とした手術が全体の88%を占め, 一方, 歯肉歯槽粘膜領域の改善を目的とする手術は8.1%で, その比率は少なかった。手術別分類ではフラップ手術が114例 (70.4%) と最も多く, そのうち歯肉弁根尖側移動手術に準じた手術が57例, Widman改良法に準じた手術が52例であった。次いで根分岐部病変外科手術が29例 (17.9%) を占め, その中ではヘミセクションが最も多く行われた。また, 68.8%が再評価後に手術され, 手術前のプラークコントロールレコードは, 0~20%代が87.4%, 歯肉出血指数は0~20%代86.6%であり, 5mmの歯周ポケットに最も多く手術が行われた。
  • 1986 年 28 巻 3 号 p. 894-953
    発行日: 1986/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
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