日本歯周病学会会誌
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36 巻, 2 号
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  • 古橋 達, 竹内 宏
    1994 年 36 巻 2 号 p. 305-323
    発行日: 1994/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    矯正治療で便宜抜歯した第一小臼歯のプラーク形成過程での唾液タンパクの推移を1週間にわたって免疫組織学的に検索した。グルタール・アルデハイドで固定した歯を頬舌的に2分割し, パラフィンまたはLR whit eresin包理した後, EDTAで脱灰した。抗全唾液タンパク抗体と抗耳下腺タンパク抗体を用いたstre上ptavidin-biotin染色で, 1日後の菲薄な皮膜中や, それ以後の菌増殖部に唾液タンパクの局在を認めた。免疫電顕法では, その皮膜のdendritic networkを伴うsubsurface layerにも唾液タンパクを認め, その表面の球菌の付着部にも, 線毛で付着しているものを除いて金粒子の介在を認めた。2日以降の著しい細菌増殖に伴って, 唾液タンパクはそれらの細菌間物質中にも局在した。以上から, 唾液タンパクは獲得皮膜の形成に加えて, 同部への細菌付着や細菌凝集に際して, 付着因子や凝集素として機能することが示唆された。
  • 森本 淳史
    1994 年 36 巻 2 号 p. 324-340
    発行日: 1994/06/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    イヌ健常歯肉上皮組織中の複合糖質の超微局在を, 糖残基を特異的に認識するレクチン・ゴールド法Con-A, WGA, SBA, PNA), ヘパラン硫酸を同定する酵素組織化学的染色法 (HID-TCH-SP染色), 及 び (ヘパラン硫酸グリコサミノグリカン中のエピトープを認識する免疫組織化学的染色法 (HepSS-1) を併用して組織化学的に検索した。その結果, WGA, HID及びHepSS-1による染色顆粒は, 上皮細胞中の細胞膜上及びヘテロクロマチンの部分に認められた。Con-A, WGA, HIDおよびHepSS-1による染色顆粒は, 角化層を除く上皮細胞の細胞膜上に見られた。SBAとPNA染色では, 染色顆粒が基底細胞と有棘層の核内にのみ観察された。特に, 有棘細胞の下層では細胞質内に, また上層では細胞膜上でも認められた。Con-A, HID及びHepSS-1による染色顆粒が基底膜に認められた。これらの事から, 複合糖質の分布が上皮細胞の分化と構築に重要な役割を果たしていると推察される。
  • 渡邊 幹一
    1994 年 36 巻 2 号 p. 341-356
    発行日: 1994/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Porphyromonas gingivalisの主要外膜蛋白質である75-kDa蛋白質の分子遺伝学的・免疫学的な特徴を検討した。本蛋白質の遺伝子をクローン化するために, 合成DNAプローブを用いて381株の遺伝子バンクを検索し, 約4.2kbのBamH I断片を組換えたリコンビナントを得た。この遺伝子断片をファージT7 RNAポリメラーゼ/プロモーターシステムに組換え直し, 約77kDaの蛋白質の産生を確認した。さらに本菌10株と他菌種14種15株をサザンプロット法にて分析した結果, 本遺伝子は本菌にのみ存在し, 種特異性の高いDNAプローブに成りうる事が判明した。また, 上記菌株の抗75-kDa蛋白質抗体を用いたイムノブロット法の結果, 本蛋白質は免疫学的にも種特異的であった。なお, 成人性歯周炎患者の65.6%と急速進行性歯周炎患者の全員から, 本蛋白質に対する特異抗体が検出された。以上から, 75-kDa蛋白質は本菌の表層特異抗原として有用であると考えている。
  • 前田 聡, 荒木 久生, 宮田 隆
    1994 年 36 巻 2 号 p. 357-365
    発行日: 1994/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    中心域滑走における早期i接触と, 咬合性外傷の発症との関連1生を検討するために, 考究用模型を用いて, RCPと咬頭嵌合位 (ICP) 問の距離RCPからICPへの (2) 前後的偏位量ならびに側方的偏位量および ((31)) ベクトル値について測定した。被験者は, 成人性歯周炎患者でRCPでの早期接触歯に咬合性外傷が認められない非外傷群10名と, 咬台性外傷が認められた外傷群10名で上記の項目について比較検討した結果, 以下の結論を得た。1. RCPとICP間の距離は, 外傷群が有意に大きかった (p<0.05) 。2. RCPからICPへの前後的偏位量は, 外傷群が1.91±0.10mm, 非外傷群が1.62±0.17mmであり, 外傷群が有意に大きかった (p<0.05) が, 側方的偏位量は有意差が認められなかった。3. RCPからICPへのベクトル値は, 外傷群が有意に大きかったp<0.05) 。以上から中心域滑走時の咬合性外傷の発症に中心域滑走距離が関与していることが示唆された。
  • 血液凝固第XIII因子がフィブロネクチン吸着にあたえる影響
    浅木 信安, 鴨井 久一
    1994 年 36 巻 2 号 p. 366-387
    発行日: 1994/06/28
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    歯肉剥離掻爬手術における根面のクエン酸脱灰処理および血液凝固第XIII因子 (第XIII因子) の塗布が, フィプロネクチン (Fn) の根面への吸着に与える影響を検索した。組織学的検索として, クエン酸脱灰・非脱灰象牙質ブロックおよびそれらに第XIII因子を塗布したブロックを, ラット口蓋歯肉に挿入し, Fnの局在を免疫電顕的に観察した。さらに, 生化学的検索として, 血漿成分・第XIII因子が, 脱灰・非脱灰象牙質面へのFnの吸着量・付着力におよぼす影響を125IFnを用いて測定した。その結果, 1. クエン酸処理により, 象牙質内部までFnが浸潤・集積し, 血漿Fnの根面への吸着が促進された。2. 第XIII因子の適用により, 血漿Fnの根面への吸着が促進された。3. 第XIII因子の存在により, Fnの象牙質への吸着量および付着力が増加した。これらのことにより, 第XIII因子は, 根面へのFnの吸着に重要な役割を示し, 根面処理における第XIII因子の適用が有用であることが示唆された。
  • 加藤 千穂美, 荻原 和孝, 斎藤 和子
    1994 年 36 巻 2 号 p. 388-398
    発行日: 1994/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    A. actinomycetemcomitans (Aa), Pgingivalis (Pg), F. nucleotum (Fn) に対するヒト好中球の活性酸素産生 (Chemiluminescence反応: CL反応) と食菌における補体の役割, および関与する補体レセプター型について明らかにすることを目的とした。CL反応はルミホトメターを使用し, 補体レセプター型の検討にはヒト抗CR1と抗CR3抗体を利用した。食菌は染色標本で測定した。Aa, Fn, Pgの補体に依存するCL反応の値はそれぞれ約90%, 75%, 50%であり, 菌種による補体依存性の差が示された。
    抗CR1, 抗CR3抗体添加時のCL反応の阻害作用から利用したレセプター型を求めると, Aa, Fnでは抗CR1抗体と抗CR3抗体によるCL反応の阻害比は1対3であった。またPgではCR3のみが阻害に関係していた。Aa, Fn, Pgの食菌に関しては補体レセプターCR3のみの関与が認められた。活性酸素産生と食菌での補体およびc3biレセプターの重要性を示した。
  • 山之内 一也, 大串 勉, 北村 秀和, 渡辺 一夫, 藤本 芳弘, 飯島 敏, 島 信博, 山田 了
    1994 年 36 巻 2 号 p. 399-406
    発行日: 1994/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    脱脂脱灰凍結乾燥粉砕骨移植を応用したGTR法は根分岐部病変の治癒に有効であるか否かについて検索する目的でイヌを用いて以下の実験を行った。イヌの実験的に作製したIII級根分岐部病変に対して, 対照群ではGTR法のみ, 実験群では脱脂脱灰凍結乾燥粉砕骨移植を併用したGTR法を施し, 14週間経過後に屠殺, 実験部位の切片標本を作製し病理組織学的に観察した。その結果, 対照群では根分岐部は緻密な結合組織が完全に覆い, 骨の新生は母床骨の根面側より歯冠側に沿って僅かに認めるのみであつた。一方, 実験群では根分岐部は著しい骨新生を来たし, 骨髄組織の占める割合が大であつた。また, 根端側の一部ではコラーゲン線維の機能的配列を示す歯根膜組織が存在していた。対照群, 実験群共に上皮組織の侵入は全く認めず, 根分岐部全域にわたり新生白亜質が生じていた。以上のことより, 骨移植を併用したGTR法は骨新生を伴つた根分岐部の治癒に有効な手術法であることが示唆された。
  • 向笠 和夫, 渋谷 耕司, 横尾 孝男, 山崎 洋治, 金子 憲司
    1994 年 36 巻 2 号 p. 407-413
    発行日: 1994/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    塩化セチルピリジニウム (以下CPCと略す) は, 非イオン界面活性剤が存在すると, その殺菌効果が著しく減少すると言われている。本研究では, 非イオン界面活性剤であるポリオキシエチレン (60) 硬化ひまし油以下HCO-60と略す) の存在下におけるCPCの殺菌効果についてin vitroおよびin vivoで検討した。
    (CPCのPorphyromonas gingivalis 381に対する殺菌力は, HCO-60の添加量の増加に伴い著しく減少した。また, CPCの同菌体への吸着量も, HCO-60の添加により減少した。両者の結果から, CPCの殺菌力と吸着量の間に相関のあることを確認した。さらに, ノニオンフリーCPC配合デンタルリンスを使用することにより, 唾液中の細菌数は著しく減少した。一方, HCO-60配合デンタルリンスでは, ほとんど殺菌効果を示さなかった。
    以上の結果より, CPCをデンタルリンスに応用する場合, ノニオンフリー製剤が有用であると考えられる。
  • 柴田 麻紀, 村橋 慶宣, 塚田 英治, 堀木 到, 岩山 幸雄
    1994 年 36 巻 2 号 p. 414-419
    発行日: 1994/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究はイヌの歯肉溝滲出液 (GCF) 中のコンドロイチン硫酸プロテオグリカン (コンドロイチン4硫酸プロテオグリカンC4S-PG, コンドロイチン6硫酸プロテオグリカンC6S-PG) の由来を検討する目的で行った。
    健常歯周組織を確立したイヌの歯肉, GCF, 血清を採取後, コンドロイチン硫酸プロテオグリカン (CS-PG) サンプルを作製した。サンプルはSDSポリアクリルアミド電気泳動 (SDS-PAGE) を行いニトロセルロース膜にWesternblottingした。転写後の膜はCS-PG異性体に対するモノクローナル抗体 (3-B-3,2-B-6) を用いC4S-PGとC6S-PGの免疫染色を行った。GCFのC4S-PGの主要バンドは泳動パターンは血清のものと類似していた。しかし, 血清には検出されないが, 歯肉と合致した位置に数本のバンドを認めた。C6S-PGの泳動パターンはC4S-PGと類似していた。以上の結果, GCFのC4S-PG, C6S-PGの一部は血清と同様, 歯肉由来であることが示された。
  • コラーゲン形成におけるクエン酸処理の効果
    恩塚 智子, 東 富恵, 佐東 元, 吉野 宏, 岡本 莫
    1994 年 36 巻 2 号 p. 420-428
    発行日: 1994/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周病罹患歯の病的歯根に対し, 処理法の違いによる根表面での細胞付着と線維性基質の形成状態の特徴を比較検討する目的で, ヒト歯周病罹患歯の露出歯根にルートプレーニングのみ (RP群) とルートプレーニング後クエン酸処理 (RP+CA群) のいずれかを行い, 処理歯根を500μm以下の厚さで歯軸に垂直に切断してルートスライスを作製し, その2つを一定間隔 (500μm) でシャーレ内に静置して, ヒト歯根膜由来線維芽細胞を播種した。培養10週間後に透過型電子顕微鏡観察を行った結果, RP群では細胞は無定形物質を介して根表面に付着しており, 細胞と根表面との間隙は狭く, 同部にコラーゲン線維の形成はみられなかった。一方, RP+ CA群では, 細胞と根表面との広い間隙にコラーゲン線維が新生されていた。細胞付着やコラーゲン線維の形成に関しては, セメント質と象牙質において違いは認められなかった。
  • ヒト歯周ポケットにおける歯周病原性細菌の局在性
    野杁 由一郎, 松尾 敬志, 中江 英明, 尾崎 和美, 恵比須 繁之
    1994 年 36 巻 2 号 p. 429-436
    発行日: 1994/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    重度成人性歯周炎に罹患した歯とその周囲の歯周組織を, 患者の同意を得て, 可及的に歯周ポケットが再現できるよう一塊として慎重に採取した。得られた試料より連続薄切切片を作製し, Brown-Brenn染色および歯周病原性細菌を中心とした15種類のプラーク細菌種に対するウサギ抗血清を用いた免疫組織学的染色を施し, 光学顕微鏡にて観察することにより, 歯周ポケットにおける歯周病原性細菌の局在性を検索した。その結果, Porphymonas gingivalisは歯周ポケット全域で小集団を形成して散在性に点在しているのが観察され, その数は他の菌種に比べて多かった。Eikenella corrodensは, 主にポケット中央部から深部において, 比較的歯根面に近接したところで小集団を形成し局在していた。Fusobacteriun nucleatumもまた, ポケット中央部から深部にかけて小集団を形成して局在していたが, その局在部位は主として非付着性プラーク領域であった。一方, Camlobacter rectusは, 主にポケット中央部付近において大きな集団を形成し, 歯根側および上皮側のいずれpのy 側からも検出された。Treponema denticolaは, 主としてポケット中央部付近において非付着性プラーク領域に局在していたが, その数は少なかった。
    本研究により, これまで推察されていたことではあるが, 細菌種により歯周ポケット内での定着・増殖様式が異なることが, 実際に, 観察された。
  • ペリオクリン®と歯石除去の併用効果について (その3 ペリオクリン®単独群とペリオクリン®と歯石除去の併用群との比較)
    上田 雅俊, 寺西 義浩, 中垣 直毅, 山岡 昭, 井上 純一, 金下 桂三, 樋渡 順一, 福島 久典, 佐川 寛典
    1994 年 36 巻 2 号 p. 437-443
    発行日: 1994/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周疾患治療において, ペリオクリン®の投与はスケーリングと併用することがより効果的であるということを立証するために, 以下のような実験を行った。すなわち, 実験開始日にスケーリングを行い, ペリオクリン®を1週1回, 4回連続投与する群 (A群), スケーリングを行わないで, A群と同様に, ペリオクリン®の投与は1週1回, 4回連続投与する群 (B群), および実験開始日に歯石を除去するとともに, ルートプレーニングを行った群 (以下, C群とする) の3つの群を設定し, 臨床的および歯周ポケット内微生物の動態を観察した結果, つぎのような結論を得た。すなわち, 各実験群ともに, Plaque index以外の4つの臨床的パラメータおよび位相差顕微鏡による歯周ポケット内総微生物数および総微生物に占める運動性微生物の構成率は, 経週的に改善傾向を示し, B群に比較して, A群およびC群の方が改善傾向が強かった。
  • 竹本 俊伸, 小川 哲次, 中西 恵治, 佐東 元, 朱 正浩, 日野 孝宗, 恩塚 智子, 吉田 真美, 河本 扶美子, 藤谷 百合, 柴 ...
    1994 年 36 巻 2 号 p. 444-450
    発行日: 1994/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究では, 早期発症型歯周炎に対する初期治療の効果を評価した。早期発症型歯周炎患者29人 (年齢13~35歳, 男性12人, 女性17人) を対象として初期治療 (ブラッシング指導, スケーリング, ルートプレーニング, 簡単な咬合調整) 前後の各臨床評価項目の推移について比較・検討した。その結果, 歯肉の発赤・腫脹, 出血, 排膿, 動揺の各スコアーおよびプロービングデプスはいずれも初期治療により有意に改善した。初診時に深さが6mm以下であった歯周ポケットでは, 初期治療により4mm以下に改善するものが多くみられたが, 7mm以上のポケットの多くは初期治療後に5mm以上に留った。また, 30代の患者では, 10代, 20代に比べて初期治療によるPDの改善が悪かった。これらのことから, 早期発症型歯周炎においても早期発見が重要であり, 成人性歯周炎同様に初期治療による効果が十分に期待できること, また, 初期治療による効果が少ない症例にはさらに積極的な治療を行う必要性があることが示唆された。
  • 西門 忍, 田中 秀高, 池田 康男, 長田 豊, 加藤 伊八
    1994 年 36 巻 2 号 p. 451-460
    発行日: 1994/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は超音波振動時に発生するキャビテーション効果をプラークコントロールに応用することを目的として行った。すなわち超音波発生装置として市販の超音波スケーラー本体と, 水中で超音波振動によりキャビテーションを発生する試作チップ20種類を用い, チップの形態および人工歯面との距離と人工プラークの除去効果について基礎的実験を行った。
    プラーク除去用チップの屈曲位置と屈曲角度を変えることにより人工プラークの除去面積と振動振幅の大きさは変化することがわかった。しかし, チップの屈曲角度と人工プラークの除去面積の間には一定の関係は認められなかった。また, 振動振幅の大きさがある一定値 (約30μm) までは人工プラークの除去面積は増加するが, その値を超えるとほとんど増加しないことがわかった。
    さらに, チップと人工歯面との距離と人工プラークの除去面積の関係をみると, その距離が2~3mmのとき最も高い除去効果が認められ, それ以上の距離になると除去面積は減少するが, 約6mmまでは除去可能なチップも存在することが確認された。
    以上のことから, 今回20種類の試作チップについてプラーク除去効果を調べた結果, キャビテーション効果をプラークコントロールに応用できる可能性が示唆された。
  • 第3報 植毛本数の異なる歯間ブラシのプラーク除去効果について
    瀬戸口 尚志, 瀬戸 康博, 上稲葉 隆, 柿元 隆志, 谷口 拓郎, 西山 恭子, 牧野 文子, 和泉 雄一, 末田 武
    1994 年 36 巻 2 号 p. 461-465
    発行日: 1994/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    我々は歯間ブラシの仕様の違いによる隣接面のプラーク除去効果について検討し, 毛の長さ (毛丈) と毛の直径の影響について報告している。今回, 第3報として毛の植毛本数の影響について検討した。第1報, 第2報で使用した総植毛本数700~800本の歯間ブラシを10割とし, その7割および6割程度の植毛本数の歯間ブラシを試作し, これら植毛本数の異なる3種の歯間ブラシを用いた。成人性歯周炎と診断された初診の患者16名を被験者とし, 同一患者には上記の歯間ブラシのいずれかを3週間連続して使用させ1週ごとに隣接面プラーク付着量の変化を調べた。その結果いずれの歯間ブラシを使用した場合も, 隣接面プラーク付着量は経時的に減少した。また, 全ての診査時において3種の歯間ブラシ間でプラーク付着量に有意な差はみられず, 同程度の良好な隣接面プラーク除去効果が認められた。
  • 太田 紀雄, 伊藤 茂樹, 上條 博之, 坂本 勝司, 大浦 享子, 岸本 真, 河谷 和彦, 小澤 嘉彦, 坂本 浩, 高橋 一雄, 川尻 ...
    1994 年 36 巻 2 号 p. 466-473
    発行日: 1994/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は, 63名の健常者を対象としてノニオンフリー製法による0.02%塩化セチルピリジニウムと0.05%トラネキサム酸を配合した新しいデンタルリンス (以下, CPC・TAデンタルリンスと略す) を用いて, 歯周病予防効果 (プラーク抑制効果と歯肉炎改善効果) を二重盲検試験で臨床的に検討した。
    デンタルリンス使用期間は4週間で, 診査時期は開始時, 1, 2, 4週間後に行ない, 被検歯は62/4/426の6歯を対象としてGI, P1Iで評価した。その結果, CPC・TAデンタルリンスを用いた時のP1IおよびGI値の改善効果は, プラセボデンタルリンスより高く, 有意な効果が各週共に認められた (P<0.01) 。また, 為害作用についてはすべての被験者において認められなかった。以上から殺菌剤である塩化セチルピリジニウムと抗炎症剤であるトラネキサム酸を配合した新しいデンタルリンスは, 有用度の高い歯周病予防効果 (プラーク抑制効果, 歯肉炎改善効果) を有することが示唆された。
  • 元村 洋一, 宮田 隆, 荒木 久生, 申 基テツ, 杉本 博宣, 花澤 重正, 北野 繁雄, 池田 克已
    1994 年 36 巻 2 号 p. 474-479
    発行日: 1994/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 薬物による歯周局所療法において, 長い臨床実績をもつ中医薬に注視し, 近年MRSA等多くの問題が提起されている抗生物質に代わる治療方法を, 開発しようとするものである。そこで, 強い抗菌・抗炎症作用を示す清熱解毒薬の一つである金銀花と連翹に注目し, その混合抽出液 (煎剤) を歯周ポケット内に直接注入し, 炎症症状の変化を, 歯周疾患の炎症に関連するパラメータを用いて, 薬剤投与直前, 24時間後および1週間後において検索した。その結果, 薬剤を投与しないコントロール側と比較して, 薬剤を投与した実験側でプロービング時の出血, 歯肉溝滲出液量, が24時間後および1週間後で有意に低下し (P<0.05), 臨床症状の改善傾向が認められた。
  • 鴨井 久博, 佐藤 聡, 小川 智久, 稲田 全規, 草間 雅之, 岡本 知宏, 鴨井 久一
    1994 年 36 巻 2 号 p. 480-488
    発行日: 1994/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    近年, 電動歯ブラシの口腔清掃の効果については, 様々な報告がなされている。また, 手用歯ブラシにおける形態, 毛先の形態, 硬さ, ブラッシング方法により清掃の効果が異なることも報告されている。そこで本研究は, プラークコントロールの重要性, 必要性を認識し, ブラッシングの技術も同レベルな被験者を対象として前後振動, 偏心運動の電動歯ブラシを用いて, 歯ブラシの毛先, 振動数の異なるものの口腔清掃効果について検討を行った。
    被験者は, 臨床的に正常な歯肉を有する8名 (男性4名, 女性4名23~26歳, 平均年齢23.8歳) とした。電動歯ブラシは前後振動 (2.5・2.0mm), 偏心運動 (26・17°) とも同様に, 歯ブラシの毛先の段差 (1.5・2.0mm), 回転数 (3, 000・2, 500・2, 000/min) のものを製作し, それぞれ一口腔当り3分使用させた後, プラークの除去状態を測定した。水平運動の電動歯ブラシの中では, 最も除去率の高い歯ブラシは, 振動幅2.0mm, 回転運動2, 500/min, 毛先カットB, 段差1.5mmであった。偏心運動の運動歯ブラシの中では, 最も除去率が高いものは, 偏心角26度, 回転運動3, 000/min, 毛先カットA, 段差1.5mmであった。
    本研究結果により電動歯ブラシにおいては, ブラッシング法, 歯ブラシの毛先の形態, 偏心角, 回転数がプラーク除去率に対して大きく影響を及ぼすことが認められた。
  • 今井 久夫, 緒方 智寿子, 護邦 忠弘, 山岡 昭, 堂前 尚親, 上中 清隆
    1994 年 36 巻 2 号 p. 489-502
    発行日: 1994/06/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    血圧降下剤としてのCa拮抗剤の歯肉増殖に及ぼす影響, ならびに効果的予防法と的確な診断法を確立する目的で3名の患者を対象に観察を行った。その結果初診時から最終観察日までの治療期間中Nifedipineを継続服用していた1名は経過が芳しくなく, DiltiazemからCeliprolol, NifedipineからDiltiazemへの薬剤の変更が可能であった2名については比較的良好な経過が認められた。このことからも薬剤の変更は歯肉増殖軽減に大きく関与したものと考えられ, 同時にPCR値の減少に伴い歯肉増殖の改善がみとめられたことからプラークコントロールの有効性と必要性も示唆された。
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