日本歯周病学会会誌
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原著
  • 加納 千博, 小林 宏明, 野崎 浩佑, 妻沼 有香, 須藤 毅顕, Khemwong Thatawee, 三神 亮, 和泉 雄一
    2020 年 62 巻 1 号 p. 1-15
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/28
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    歯周治療におけるルートプレーニングの目的は, 露出歯根面の炎症起因物質を除去することである. しかしながら, 露出歯根面のPAMPsやDAMPsの浸透度はよく分かっていない. また, 歯周再生療法において, 歯根面から歯根膜幹細胞が受ける影響にも不明な点が多い. 本研究では, 細胞為害性物質の浸透度を計測し, また, 歯根膜幹細胞が露出歯根面から受ける影響を検討し, ルートプレーニングの最適深度を確立する.

    ヒト抜去歯を用い, レーザー顕微鏡にて削合深度を計測した. 削合物中の細菌ゲノム量をリアルタイムPCR法で定量した. THP-1細胞を削合物で刺激し, IL-1βmRNA発現量とタンパク発現量を測定した. 阻害剤を用いてIL-1β産生経路を検討した. 露出歯根面上への歯根膜幹細胞の定着増殖実験を行った.

    レーザー顕微鏡測定から, SRPの3ストロークまでは20-30μmずつ, 4ストローク以降は10μmずつ削れていた. また, 8ストロークまでの削片中で細菌ゲノムが検出され, これらの削片はIL-1βmRNA発現を誘導し, この産生にはPAMPsやDAMPsが関わりNFκB経由であった. 露出歯根面上の歯根膜幹細胞数は3ストローク削合で増加した.

    結論として, 炎症起因物質は8ストローク深さまで浸透している. 3ストロークのルートプレーニングで歯根膜幹細胞の定着増殖数が増加することが示唆された.

症例報告
  • 松本 ゆみ, 新井 英雄
    2020 年 62 巻 1 号 p. 16-26
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/28
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    糖尿病は代表的な歯周病の全身的リスクファクターである。今回36歳,女性の1型糖尿病を有する広汎型侵襲性歯周炎患者に対し,内科主治医と連携し血糖コントロールに配慮しながら,歯周基本治療,矯正治療,そして歯周組織再生治療と歯周形成手術を含めた歯周外科治療,口腔機能回復治療を含めた包括的歯周治療を行い,初診から10年経過した現在,歯周状態を良好に維持することができている症例を報告する。本症例を通して,歯列不正を伴う広汎型侵襲性歯周炎患者に対して,早期に感染源除去を図ることはもちろん,プラークコントロールしやすい歯周環境を整え,安定した咬合関係を再構成すること,全身状態と局所的なリスクを把握してSPTを継続することが重要であることが示された。

  • 深谷 芽吏, 鈴木 綾香, 船津 太一朗, 松島 友二, 八島 章博, 長野 孝俊, 五味 一博
    2020 年 62 巻 1 号 p. 27-37
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/28
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    歯科用CT装置(CBCT)は,診断に必要な部位とその周囲組織の3次元的形態を評価できるだけでなく,指定した部位からの距離や角度の計測も可能である。デンタルX線写真などから推測した骨欠損形態は,実際の骨欠損状態とは異なる場合がある。特に歯周組織再生療法を行う場合,事前に正確な骨欠損状態を把握しておくことは手術の成功に大きく係わる。そこで当講座では,歯周組織再生療法を予定する患者に対しCBCTの撮影を行い,さらに3Dプリンターで模型を作製し,事前に歯周組織再生療法のカンファレンスを行うことを義務づけている。本症例報告は,当講座における歯周組織再生療法のカンファレンスの流れと,実際に行った2症例について報告する。本症例は,検査所見にて垂直性骨欠損を確認した。その後,手術予定部位のCBCT画像,3次元模型,臨床データを基に術前カンファレンスを行った。歯周組織再生療法時に比較したところ,3次元模型は実際の骨欠損形態をほぼ再現していた。歯周組織再生療法を予定している患者に対して,CBCT撮影及び3次元模型を作成することにより,手術部位の骨欠損形態を事前に把握することができ,手術前の十分な討論が可能となった。我々の取り組みにより,手術をより安全かつ効果的に行うことができると示された。また手術前に十分なカンファレンスを行うことは,若手歯科医師の育成,および患者への説明のツールとしても有用であった。

教育賞
  • 青木 章, 竹内 康雄, 秋月 達也, 水谷 幸嗣, 片桐 さやか, 池田 裕一, 前川 祥吾, 渡辺 数基, 海老原 新, 秀島 雅之, ...
    2020 年 62 巻 1 号 p. 38-46
    発行日: 2020/03/31
    公開日: 2020/03/28
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    電子付録

    東京医科歯科大学歯学部歯学科では第5・第6学年時に,歯学部附属病院で包括臨床実習が行われている。包括臨床実習はPhase I~IIIの3部構成となっており,第5学年の9~10月にPhase Iとして各診療科における臨床前外来実習(6週間),11月から翌年第6学年の11月までPhase IIとして第1総合診療室での総合臨床実習と各科外来実習(約47週間),国家試験後の2~3月にPhase IIIとして各科におけるアドバンス選択実習(約5週間)を行っている。Phase IIにおいては,第1総合診療室(学生専用治療室)にて各科の教員の指導の下に,各治療内容についてクレジット制を採用した診療参加(自験)型臨床実習が行われている。歯周治療に関しては,試験ケース(1症例必須),一般ケース,SPT/メインテナンスケースにおいて,歯周精密検査,口腔清掃指導,歯周基本治療,歯周外科治療(介助あるいは見学),メインテナンス/SPT治療などを実習する。2018年卒業の学生51名は,第5~6学年時に,試験ケース患者計51名(1名/学生),一般ケース患者計129名(平均2.5±1.9名/学生),およびSPT/メインテナンス患者計615名(平均12.1±4.0名/学生)を担当し,歯周治療を全般的に実習した。51名の学生は,試験ケースでの術前検査および再評価検査後の2回の口頭試問に合格し,歯周治療臨床実習における必修項目(エッセンシャル・リクワイヤメント)を達成し,臨床実習を全員修了した。臨床実習は,実習後に学生からの評価や意見を受け,それらの要望も一部受け入れつつ,小改変を継続的に行いながら現在に至っている。2018年卒業の学生を例として,本学における歯周治療臨床実習の最新の現状とその改革について報告する。

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