日本歯周病学会会誌
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65 巻, 1 号
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ミニレビュー
  • 鈴木 茉那美, 下山 佑, 根本 優子, 佐々木 大輔, 根本 孝幸, 八重柏 隆
    2023 年 65 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
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    2型糖尿病は我が国において増加している生活習慣病である。一方で高齢化と8020運動の推進による高齢者での残存歯増加に伴って歯周病の患者数も増加の一途を辿っている。歯周炎は2型糖尿病の合併症とされており,近年両者の相互関係について明らかにされつつあるが,その分子メカニズムについては未だ明確ではない。インクレチン[GLP-1(glucagon-like peptide-1)およびGIP(gastric inhibitory polypeptide/glucose dependent insulinotropic polypeptide)]はインスリン分泌を促して食後血糖値を低下させる生理活性ペプチドである。共にジペプチジルペプチダーゼ(DPP)4により速やかに限定分解を受けて不活化されるため,その血中半減期は短く,血糖調節の要となっている。最近,ヒトの慢性歯周炎の主要原因細菌であるPorphyromonas gingivalisが保有するDPP4とDPP7はヒトDPP4同様にインクレチンを切断・不活化することが判明した。本ミニレビューでは糖非発酵性細菌のP. gingivalisがアミノ酸を獲得するために必要なこれらのDPPsに着目し,細菌DPPsが病原因子として2型糖尿病の病態形成に関わる機序について総括する。

  • 備前島 崇浩, 齋藤 淳
    2023 年 65 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
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    糖尿病の高血糖状態は細胞や組織に様々な影響を及ぼす。創傷治癒遅延や術後感染リスクを有する糖尿病患者への歯周外科治療の影響については不明な点が多い。近年,歯周組織再生療法は材料・薬剤や術式が進歩し,全身状態に問題がある歯周炎患者に対する再生療法について,様々な基礎研究が行われている。本稿では糖尿病と歯周組織再生について,実験モデルや成長因子を使用した基礎研究に焦点を当てて解説する。

原著
  • 田口 洋一郎, 梅田 誠, 有田 博一, 音琴 淳一, 柴 秀樹, 中村 利明, 西田 哲也, 吉田 直樹, 小方 頼昌
    2023 年 65 巻 1 号 p. 17-25
    発行日: 2023/03/31
    公開日: 2023/03/31
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    2020年初頭から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の増加に伴い,大学教育は従来の対面講義からリモート会議システムを用いたオンライン講義への変更を余儀なくされた。共用試験を含め,歯周病学教育においても,講義による知識教育と臨床実習の両面において様々な工夫が行われている。今回COVID-19による歯周病学教育の実態を調査すると共に,大学間の情報共有と今後の歯周病学教育の水準を保つための基礎資料を得ることを目的として日本歯周病学会教育委員会ではCOVID-19に対する各歯科大学・大学歯学部の対応と歯周病学教育への影響に関する調査を実施した。2021年6月にアンケートを依頼し日本歯周病学会1項理事29人より回答を得た(回答率100%)。3,4年次の歯周病学の知識教育では対面講義に代わりWeb講義が行われたが,効果の希薄化が考えられLive講義やハイブリッド講義へ移行する形になり,実習は多くの大学で代替教育を余儀なくされた。臨床実習教育でも診療参加型実習が制約され代替実習となり本会監修のコンテンツが使用されたが,実際の臨床動画の視聴といったコンテンツの改良追加が求められた。また患者と接する試験や密となる試験は予定を変更する形で全大学において実施された。今後,「withコロナ」時代においてオンライン教育も取り入れながらいかに教育効果の高い歯周病学教育ができるかが求められる。

歯科衛生士コーナー
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