日本歯周病学会会誌
Online ISSN : 1880-408X
Print ISSN : 0385-0110
ISSN-L : 0385-0110
34 巻, 3 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 安藤 芳明
    1992 年34 巻3 号 p. 551-565
    発行日: 1992/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ブラキシズムは咀嚼筋群が何らかの理由で異常緊張することにより発現し, 歯周組織に対して, 咬合性外傷を引き起こしやすく, 咀嚼筋, 顎関節などにも破壊的な影響を及ぼすと考えられている。しかしながらその成因, 中枢と末梢との関係についてはいまだ不明である。今回, 脳波を測定することにより, 中枢状態を調べ, 被験者の上下の歯の接触を伴った顎移動発現時と睡眠深度の関係, またバイトプレートを装着した場合と筋弛緩薬を服用させた場合の顎移動回数の差異, のべ筋活動時間などと睡眠深度との関連性を調べた。就寝中の顎移動は睡眠深度でステージ2とレム (REM) において多く見られ, この睡眠段階では顎移動によって睡眠深度はあまり変化しなかった。バイトプレート使用時, 筋弛緩剤使用時でも, 筋の活動電位の低下を伴った顎移動回数とのべ筋活動時間の減少が見られた。ノンレムにおいては顎移動が発現する前に脳波の変化が見られ, 中枢が優位に支配していると考えられる。
  • 山田 善裕
    1992 年34 巻3 号 p. 566-580
    発行日: 1992/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 成人性歯周炎における歯齦縁下プラークが歯周ポケット内の多形核白血球層に及ぼす影響を検索することにある。6人の成人性歯周炎患者から6生検を得た。生検前に, 外科用接着剤にて歯と歯齦を固定した。歯と歯齦は一塊にして抜去, 超微形態学的に検索した。多形核白血 (以下PMN) 層付近には球菌, 桿菌, 紡錐状の菌が存在した。細胞膜, ペリプラスミックスペース, ペプチドグリカン層, 外膜からグラム陰性と思われる細菌が多く観察された。少数のスピロヘータも観察された。この部では多数のvesicle様構造物, 線維状構造, test-tube brush様細菌凝集も認められた。PMNはプラークとポケット上皮間に層を成した。プラークがPMNに接している部位ではグラム陰性菌をPMNは貪食し, PMN内のライソゾーム顆粒は, 細菌をしたファゴソーム内や細胞外へ脱顆粒を生じた。拡大したポケット上皮細胞間隙内のPMNはライソゾーム貪食粒を多数含有した。上皮細胞間隙内に細菌侵入は認められなかった。本研究からPMNは生体防禦として, 一顆方では組織破壊に関与することを裏付ける結果が示された。
  • 齋藤 淳
    1992 年34 巻3 号 p. 581-595
    発行日: 1992/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    成人性歯周炎から分離されるActinobacillus actinomycetmcomitansの血清型分布と本菌に対する患者の血清IgG抗体価の関連性について検索するとともに, 血清抗体がどのような抗原成分に対応するものか検討した。検索した成人性歯周炎患者の歯周ポケットから分離されたA. actinomycetmcomitansは, 血清型Cが最も多く, 患者血清と各血清型標準菌株とのimmunoblotから, 血清型cと特異的に反応性を示したものが最も多かった。また, A. actinomycetmcomitans Y4株のLPS, 310-a株の線毛抗原に対するIgG抗体価の上昇を認めた。Immunoblotによって, それらの抗原に対する特異抗体であることを確認した。成人性歯周炎の発症と進行には, 血清型cのA. actinomycetmcomitansが関わっていることが示唆された。本菌の表層抗原に対する成人性歯周炎患者の体液性免疫応答は, 本菌の病因を解明する上で有用であることを確認した。
  • 富井 信之
    1992 年34 巻3 号 p. 596-619
    発行日: 1992/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究は歯肉退縮を辺縁歯肉と歯間部歯肉の両面で評価することを目的とし, メインテナンス患者と健常者を対象として, 石膏模型上での規格撮影から歯肉退縮に関する測定を行った。メインテナンス患者39名と健常者10名での結果は, それぞれの辺縁歯肉退縮量が1.19mm, 0.03mm, 歯間部歯肉退縮量が3.17mm, 1.02 mmであつた。またこのときの歯間部歯肉充足率は77.24%と96.91%であった。この両者を基準として歯肉形態をスキャロップ形態の強い順にHigh Scallop, Average Scallop, Flatの3段階に分類した。そしてこの分類から1個人の歯肉形態を表現する歯間部歯肉形態指数 (I.G.F.Index) を考案した。このI.G.F.Indexと辺縁歯肉退縮および歯間部歯肉充足率を併せ示すことで個人の平均的な全顎的歯肉退縮形態を数値にて表現することが可能となった。以上より歯周疾患患者の術前術後の審美的判断の客観的診査が可能となった。
  • 本田 準虎
    1992 年34 巻3 号 p. 620-632
    発行日: 1992/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯肉縁下歯石中のグリコサミノグリカン (GAG) 構成の特徴を縁上歯石と比較検討した。歯周炎患者107名より採取した歯石から, 4M塩酸グアニジンを含む50mMトリス緩衝液中, 脱灰および未脱灰条件下でGAGを抽出した。定性, 定量はセルロース・アセテート膜二次元電気泳動法で行い, さらにコンドロイチン硫酸異性体は高速液体クロマトグラフィーで分離した。縁上歯石中のGAGの主体はピアルロン酸 (17.5μg/g dry wt.) で, 他の硫酸化GAGは検出されなかった。縁下歯石中にはピアルロン酸 (26.7μg/g) に加えてコンドロイチン硫酸 (18.2μg/g) およびデルマタン硫酸 (9.3μg/g) を認めた。また, 縁下歯石中に認められたコンドロイチン硫酸の大部分は4-硫酸エステル型であった。これらの成績から, 歯肉縁下歯石中のGAGは歯肉溝滲出液由来であることが示唆された。
  • 谷 芳子, 谷 真彦, 加藤 伊八
    1992 年34 巻3 号 p. 633-643
    発行日: 1992/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Actinobacillus actinomycetemcomitans菌体の抗原性タンパク質を二次元電気泳動とWestern bolt法を用いて検索した。菌体を超音波破砕後, 遠心操作によりメンブレン分画 (P-25), リボゾーム分画および可溶性分画 (S-100) に分離した。この三分画をO'Farrellの方法に従って二次元電気泳動で展開した。この結果, P-25分画には218個, リボゾーム分画44個, S-100分画216個のタンパク質スポットが確認された。この泳動をもとに健常者13名, 歯周炎患者27名のIgGを用いてWestern bolt法を行った。この結果, リボゾーム分画において, 健常者と歯周炎患者で発色形態が異なり, 歯周炎患者の44%にスポットの上弧が部分的に強く発色するという特徴的な発色形態を示す64kDaのタンパク質が存在した。また, 歯周炎患者に特徴的なスメアーな発色を示す抗原物質が2ヵ所に存在した。P-25分画とS-100分画には, 健常者と歯周炎患者に差のある抗原物質は見いだせなかった。
  • 末田 武, 比嘉 美奈子, 浜田 義三, 神田 千恵子, 小野 智則, 有村 嘉人
    1992 年34 巻3 号 p. 644-653
    発行日: 1992/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Plaquecontrolが良好に行われている患者について, 初期治療の臨床効果と歯肉縁下細菌叢との関係について検討を行った。中等度の成人性歯周炎と診断された患者11名 (男性5名, 女性6名, 平均年齢52.2歳) を被験者としPlaque control, Scaling・Root planingを行った。臨床効果を評価する目的でProbing depth PD), Attachment level (AL), Bleeding on probing (BOP) を測定し, 細菌検査はポケット底部よりプ (ラークを採取し, 位相差顕微鏡で形態学的に分類して総菌数および構成率を求めた。その結果, Plaquecontrol, Scaling・Root planingにより臨床パラメーターについては初診時PD4mm以上の部位ではPDの減少とALの獲得がみられ, BOPについては初診時PD3mm以下, 4mm以上の部位共に減少が認められた。細菌検査については構成率で球菌の増加とスピロヘータ, 運動性桿菌に減少が認められた。歯肉縁下細菌叢と臨床パラメーターとを検討した結果, 構成率とPDの減少との関係が示唆され, 総菌数については強い相関は認められなかった。ALの変化との関係はみいだされなかった。
  • 久保 浩二, 瀬戸口 尚志, 松山 孝司, 小野 智則, 谷口 拓郎, 和泉 雄一, 末田 武
    1992 年34 巻3 号 p. 654-664
    発行日: 1992/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Porphyromonas gingivalis 381, Preotella intermedia ATCC 25611, 歯周炎患者の口腔内より分離培養したPorphyromonas gingivalis wild typeのlipopolysaccharide (LPS) とinterleukin-1 (IL-1) がヒト培養線維芽細胞のフィブロネクチン代謝にどのような影響を及ぼすかを知るために本研究を行った。線維芽細胞を健康歯肉および炎症歯肉, 健康歯根膜から分離培養しLPSあるいはIL-1, LPSとIL-1と共に48時間培養し, 培養上清中のフィプロネクチンを酵素免疫測定法にて測定した。培養線維芽細胞はLPSあるいはIL-1の刺激にてフィプロネクチンを多く産生することがわかった。またその効果はLPSあるいはIL-1単独刺激よりLPSとIL-1の同時刺激の方がより増加することがわかった。
  • 鈴木 邦治, 秋山 浩教, 加藤 孝, 小菅 一弘, 藤川 謙次, 村井 正大, 鈴木 直人, 前野 正夫, 大塚 吉兵衛, 鈴木 貫太郎
    1992 年34 巻3 号 p. 665-672
    発行日: 1992/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ヒトの歯槽骨片を細菌性コラゲナーゼ処理した後に, 骨片から増殖してくる細胞群 (E-AB) のin vitroでの石灰化物形成, ならびにアルカリホスファターゼおよび酸性ホスファターゼ活性を, 42日間にわたって経日的に調べた。細胞は, 培養3日目から対数増殖期に入り, 10日目から14日目には定常期に達する傾向を示したが, 14日目以降も42日目まで次第に細胞数は増加した。noduleの形成は, 培養14日目頃に始まり, 28日目にはアリザリン赤にわずかに染色されることが肉眼でも観察され, 石灰化の開始時期であることを示した。培養42日目には, 形成されたすべてのnoduleがアリザリン赤に濃染し, 石灰化したことを示した。細胞のアルカリホスファターゼ活性はnoduleの形成が開始する培養14日目に最も高くなり, 石灰化開始期と思われる28日目にはその50%まで低下していた。酸性ホスファターゼ活性値は, アルカリホスファターゼ活性値に比べて約1/10程度の低い値であり, 培養日数の増加とともに若干の減少傾向を示した。
  • 走査型電子顕微鏡観察
    伊藤 公一, 西方 純一, 西田 哲也, 野沢 健, 郷家 英二, 村井 正大
    1992 年34 巻3 号 p. 673-680
    発行日: 1992/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, スケーリング (Sc), ルートプレーニング (Rp) 後にみられる残存歯石, セメント質, スメア層および処置根面に対するNd: YAGレーザーの効果を走査型電子顕微鏡 (SEM) 観察により検討することである。歯周疾患罹患歯15本の隣接歯根面にScを行った。さらに, 一側にRpを施し5×5×1mmの試片を切り出しSc群とRp群に分けた。各試片中央部を実験面としレーザーを84.93, 141.54, 283.09, 566.17および849. 26J/cm2のエネルギー密度で照射した。各試片の周辺部をコントロール面としSEM観察を行った。
    その結果, Nd: YAGレーザー照射によりSc後に残存するセメント質, 歯石は除去できなかった。しかし, Rp後に生じたスメア層の除去には有効であった。また, 高エネルギー照射により開口した象牙細管の直径は狭窄する傾向にあった。
  • 未処理, ルートプレーニング, クエン酸処理後の形態学的変化
    竹本 史, 東 富恵, 川西 文子, 谷川 昌生, 白石 武, 岡本 莫
    1992 年34 巻3 号 p. 681-688
    発行日: 1992/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    歯周病罹患歯露出根面の形態学的変化を観察し, 有効な根面処理法を検討するために, 歯周病罹患抜去歯10本を歯軸に平行に3分割し, それぞれに未処理, ルートプレーニング (RP) およびRP後にクエン酸CA) 処理のいずれか一つを施した。各処理後, 透過型電子顕微鏡を用いて歯根片の超微形態を観察した。そ の (結果, 露出セメント質内のコラーゲン線維にはほとんど変化が認められないが, 認められるものでも表層下数μm以内であった。RP後にセメント質の残存している例数は約1/3であり, CA処理後では, 象牙質が裸出している場合は, セメント質の場合と比べて裸出線維密度は比較的疎であり, セメント質が残存している場合には, 表面の線維束がシャーピー線維かセメント基質線維かにより, 根表面に対する裸出線維の方向が異なっていた。以上の結果から未処理歯根のコラーゲン線維の変化は概して少なく, クエン酸処理後にはほぼ未変化のコラーゲン線維が裸出することがわかった。
  • 大坪 宏, 東 富恵, 竹本 史, 池口 直子, 川西 文子, 吉野 宏, 岡本 莫
    1992 年34 巻3 号 p. 689-694
    発行日: 1992/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ルートプレーニング (RP) およびクエン酸 (CA) 処理後の歯根表面に対する細胞の付着状態を知る目的で, 歯周病罹患抜去歯10本を1歯につき3分割し, 1) 未処理2) RP3) RP後CA処理のいずれか1つを施し, 35mm dish中に処理歯根片を静置し, ヒト歯肉由来線維芽細胞を播種し, 4週間培養後, 透過型電子顕微鏡で観察した。その結果, 根表面にはRP処理後もCA処理後も同様に伸長した数層の細胞が認められた。CA処理後は細胞と根表面の間に無定型物質やマイクロフィブリルなどが認められることが多く, 同部の間隙はRP処理後よりも広かった。処理歯根表面と細胞との付着状態は, セメント質と象牙質で変わりはなかった。
  • ペリオクリン (R) と歯石除去の併用効果について
    上田 雅俊, 寺西 義浩, 中垣 直毅, 鷲尾 拓志, 山岡 昭, 楠 憲治, 小西 浩二, 井上 純一, 村上 勝也, 尾上 孝利, 福島 ...
    1992 年34 巻3 号 p. 695-700
    発行日: 1992/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    スケーリング単独群とスケーリングと同時のペリオクリン ® 与 群とを臨床的および歯周ポケット内微生物の動態を比較検討した結果, つぎのような結論を得た。すなわち, Plaque indexを除いた臨床的パラメーター4項目および位相差顕微鏡による歯周ポケット内総微生物数, 総微生物数に占める運動性微生物の構成率は, 各観察時期のいずれにおいても, スケーリングとペリオクリン ® 併 用群がスケーリング単独群に比較して低値を示し, 改善傾向が強く認められた。
  • 1992 年34 巻3 号 p. ap1-ap2
    発行日: 1992/09/28
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
feedback
Top