中国・浙江省に栽植されているカラタチ台"宮川早生"ウンシュウミカン(Citrus unshiu Marc.)成木に対し防寒を目的として稲ワラでそれぞれ11月2日, 12月12日および12月25日から3月15日まで樹体を被覆し, 樹冠内微気象, 花芽分化や発達, 翌年の栄養生長, 開花・結実および果実品質・収穫量に及ぼす影響を調査した.被覆は, 対照に比べて日の出前の冠内気温, 葉温と地温を1.0〜2.2℃, 湿度を6%高めたが, 昼間の光強度, 気温および葉温の変動を減少させた.被覆は, 葉中窒素, リン, カリ, 炭素および葉緑素含量およびパーオキシダーゼ活性を増大させたが, 糖, デンプン含量とC/N率を減少させた.11月被覆は, 花芽分化を約1週間遅延させ, 花芽数量と品質を有意に減少させたが, 12月下旬被覆は, 翌年の生育, 開花・結実および果実品質・収穫量に悪影響を及ぼさなかったので, この時期が防寒最適期と考えられた.葉中C/N率が高い(14.8-15.2)樹はC/N率が低い(12.8)ものよりも花芽数が明らかに増加したことから, 高C/N率がウンシュウミカンの花芽分化に関与していると示唆された.
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