水稲の被覆剤による被覆法と被覆種子の性状について検討した。主な結果は次のとおりであった。1.回転数25rpm,傾斜角40度のドラムに浸種籾を投入し,被覆剤(A粉粒剤)と水を徐々に添加,噴霧して被覆種子とする場合,被覆剤質量に対する噴霧水質量の比率(水/剤比率)は22.8%とすると被覆作業中に籾に触れることなく円滑な被覆ができた。2.被覆,陰干し後の被覆種子単粒の質量と体積,硬度には高い直線の相関があり,質量が大きいほど体積は大きく,硬度も高かった。この場合,被覆中の水/剤比率が大きいほど質量増加に対する硬度上昇割合が大きくなった。3.被覆種子の発芽率は被覆種子の質量が大きく,硬度が高いほど低下した。発芽率を維持できる被覆種子質量はA粉粒剤で80mg,16粉粒剤で90mgと考えられ,硬度はいずれも9.6Nであった。4.播種作業に支障のない程度に陰干しを短縮し,被覆種子の水分低下を所定域に抑えることで硬度の上昇を防ぐことは発芽率の維持に有効と考えられた。5.無浸種で乾籾を直接被覆した場合,陰干し後に被覆にひびが生じ,硬度は低下したものの,発芽率は高く維持された。このことは被覆法改善の一法にできると推察された。
抄録全体を表示