農業生産技術管理学会誌
Online ISSN : 2424-2403
Print ISSN : 1341-0156
8 巻, 1 号
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  • 立野 朋子, 長谷川 和久
    原稿種別: 本文
    2001 年 8 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 2001/04/01
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー
    石川県農業短期大学附属経営農場内の樹園地(クリ園・ナシ園・リンゴ園)及び牧草地に生育する雑草について発生草種を調査し,休眠型や帰化率,優占種,発生消長等を比較した.その結果,ナシ園・リンゴ園の多年草の割合が比較的低かったこと,帰化率ではリンゴ園が16%と最も低かったこと,樹園地に発生した牧草の野生種が優占種となっている園があったこと,発生消長では夏季の1年草の発生種数が少なかったことなどが分かった.
  • 宮部 芳照, 末吉 武志, 柏木 純孝, 下和田 博己, 王 世民
    原稿種別: 本文
    2001 年 8 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2001/04/01
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー
    水上移動式植物栽培システムの移動媒体である水に液肥を混ぜ,養液栽培と組合せることにより省力化を試みた.さらに検証実験として植物栽培施設で,葉菜類(コマツナ,チンゲンサイ)の栽培を行った.結果は以下のとおりであった.1)栽培プールにおける液肥温度,pH値,EC値とも養液栽培の好適値に近い値であった.2)供試作物は本システムの栽培トレイ底面からのみの液肥の吸収により栽培が可能であった.3)水流による根の欠損やそれに伴う生育の差が確認された.2種類ともA区の生育状態が悪かった.その差はチンゲンサイに比べコマツナの方が小さく,コマツナはA区に対しB区が収穫時の草丈,根長,質量で1.1〜1.2倍,チンゲンサイは収穫時の草丈,本葉数,根長,質量で1.1〜1.6倍大きい値であった.4)栽培トレイの有効栽培面積割合は0.54であり,収穫した株数は栽培トレイ1個当り,コマツナ64本,チンゲンサイ12本であった.
  • 早田 保義, 陳 莉, 新美 善行, 李 新賢
    原稿種別: 本文
    2001 年 8 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2001/04/01
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー
    p-CFAおよびCPPUが受粉または未受粉下におけるミニトマト果実の発育と品質に及ばす影響を調査した.p-CPA処理は未受粉下ではミニトマト果実の単為結果を誘導し,受粉果実より熟期を早め,しかも果実の肥大を促進し,成熟期の糖含量を増加させた.しかし受粉果への処理ではそれらの効果は認められず,対照区(受粉のみ)果実との差は認められなかった.一方,CPPU処理は未受粉下ではp-CPA処理と同様にミニトマト果実の単為結果を誘導し糖含量を増加させたが,果実の熟期は遅れ,肥大量も小さく小果となった.CPPUの受粉果処理は肥大量や熟期には影響を及ぼさなかったが糖含量を増加させた.p-CPA処理は受粉果の滴定酸含量を減少させ,CPPU処理は未受粉果胎座部の酸含量を減少させた.以上のことより,p-CPAおよびCPPUの効果は果実の種子の有無によって大きく影響を受け,特にp-CPAは種子がない場合にミニトマトの熟期を早め,果実重や糖含量を高めた.
  • 玉置 雅彦, 猪谷 富雄, 山本 由徳
    原稿種別: 本文
    2001 年 8 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 2001/04/01
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー
    水稲の1株植付本数(以下,植付本数と略す)および栽植密度と分げつ発生の関係について,出葉転換点の前後に分けて検討した.移植後の葉齢の推移を出葉転換点を境にした2つの直線で近似した結果,出葉転換点までの移植後日数は,植付本数が多いほど,また栽植密度が高い区で早く,そのときの葉齢は低かった.出葉転換期前の出葉速度は,植付本数が多いほど,また栽植密度の高い区で速かった.しかし,出葉転換期後には植付本数が少ないほど,また栽植密度の低い区で速くなった.植付本数および栽植密度が出葉速度に及ばす影響は,出葉転換期前よりも出葉転換期後で大きくなった.出葉転換期前の出葉速度と株当たり1次分げつ発生数との間には有意な相関関係(r=0.444)がなかったが,出葉転換期後の出葉速度と高次分げつ発生数との間にはr=0.946^<**>の高い相関関係が認められた.したがって,出葉転換点は高次分げつの発生と関係しているものと考えられた.
  • 青木 宣明, 坂田 祐介, 劉 政安
    原稿種別: 本文
    2001 年 8 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 2001/04/01
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー
    予備冷蔵の有無と冷蔵開始時期並びに頂芽除去が黄色系ボタンの促成開花に及ぼす影響について調査した.1.8月下旬における'ハイヌーン','金帝'及び'金晃'3品種の花芽分化の状態は,一部の個体にがく片が認められ,花芽分化開始直後の状態であった.なおこの株を使用した年内促成において,'ハイヌーン'と'金帝'の開花率は実用限界の80%を越え,また12月中旬に開花が見られた.'ハイヌーン'では,予冷により開花日は促進させられたが,開花率は影響されなかった.その他の品種については予冷の効果が認められなかった.2.'ハイヌーン'において,8月下旬〜9月上旬にかけての株掘り上げ時に頂芽を除去することにより,全区とも100%の開花率が得られ,平均2.0本の花茎を得ることができた.またすべて年内に開花した.切り花形質は,頂芽由来に比べやや劣る形質(葉数,葉面積など)もあったが,鉢花としてのバランスでは優れた.
  • 小池 安比古, 井上 知昭, 鈴木 重俊
    原稿種別: 本文
    2001 年 8 巻 1 号 p. 33-35
    発行日: 2001/04/01
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー
    宿根スイートピーの株あたりのシュート数を2,4,6及び10本と変え,その影響をみた.株あたりのシュート数を2本にすると,4,6および10本にした場合に比べ,開花は若干遅れるが比較的品質の優れた切り花が得られた.
  • 土肥 誠, 野波 和好, 浅尾 俊樹
    原稿種別: 本文
    2001 年 8 巻 1 号 p. 37-41
    発行日: 2001/04/01
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー
    ホウレンソウ収穫ロボットのエンドエフェクタを開発することを目的に,ホウレンソウの力学特性を調査した.エンドエフェクタは把持・引き抜き方式のものを想定した.このため,ホウレンソウの収穫期における葉柄の引張強さ,引き抜き力,柔軟な材料による葉の把持力について検討した.1.ホウレンソウの葉柄の引張強さは平均で約15Nであった.葉柄の直径が太くなるのに伴って引張強さも直線的に増加した.ホウレンソウの葉1枚に対して約10N以下の力であれば,葉柄が引きちぎられることなく,引っ張ることができると考えられた.2.引き抜き力は最大で18.3N,平均で9.9Nであった.したがって,約20Nの引き抜き力があればホウレソソウは収穫できると考えられた.3.葉の把持力は把持幅50mmの平坦なゴムベルトが最も優れていると考えられた.厚さは薄い方が把持力が強いことが分かった.しかし,ゴムベルト1重のものは葉を挟んで圧縮したときの伸縮性が小さかったので,より柔軟性の高いゴムベルト2重がエンドエフェクタに適していると判断された.
  • 中野 尚夫, 河本 恭一, 村岡 一彦, 石田 喜久男
    原稿種別: 本文
    2001 年 8 巻 1 号 p. 43-48
    発行日: 2001/04/01
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー
    1987年〜1990年にダイスの培土による倒伏抵抗性を,1987年〜1992年に栽植密度あるいは栽植様式と倒伏の関係を検討した.培土によって,倒伏程度が軽減した.培土に伴って不定根が増加するが,その量は全根量の数%にしかならなかったことから,培土による倒伏軽減は,主として地上部長が短くなることによる曲げモーメントの低下に基づくものと推察された.栽植密度が高くなるに伴って,主茎長が長く,茎径が細くなり,倒伏程度が大きくなった.しかし条間が60cm程度以上に広いと,台風などによって,条の間に地際から倒れ込むような倒伏が生じた.そして,m^2当たり8株程度の栽植密度ならば,条間が狭い正方播の倒伏が小さかった.また正方播では,根系が四方に発達し,倒伏抵抗性を一層大きくしたと考えられた.これらのことから,中耕培土を省略する無培土栽培では,倒伏抵抗性からも条間と株間の距離を等しくする35cm×35cm程度の正方播が有利と考えられた.
  • 野波 和好, 土肥 誠
    原稿種別: 本文
    2001 年 8 巻 1 号 p. 49-52
    発行日: 2001/04/01
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー
    レタスを選択収穫するロボットの開発を目的に,ロボットの視覚部である三次元視覚センサを用いて,レタスの三次元形状を計測した.しかし,原画像は雑音(ノイズ)を含み,結球部の抽出を妨げた.このため,遺伝的アルゴリズムを用いたレタス形状の平滑化処理について検討した.1.三次元視覚センサは市販のレーザ変位計,ポリゴンミラー及びポリゴンミラーを回転させるためのACサーボモータなどで構成される.走査角度は60°であり,100×100画素の三次元形状が得られる.2.遺伝的アルゴリズムによる平滑化処理は1行5画素ずつ2行の画素を1グループの遺伝子としてコード化し,隣り合った2行のうち3画素分をランダムに交叉させ,対応画素との差の小さいものに淘汰するという方法で行った.3.平滑化処理の結果,遺伝的アルゴリズムによる画像の平滑化は従来行われてきた移動平均法,メディアン・フィルタに比べて処理時間が短く,形状の特徴を損なうことも少なかったため,レタスの認識において有効に使用できると考えられた.
  • 中野 尚夫, 河本 恭一
    原稿種別: 本文
    2001 年 8 巻 1 号 p. 53-60
    発行日: 2001/04/01
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー
    1988年から1992年に,田畑輪換を実施した岡山県立農業試験場の花嵩岩質崩積土壌水田において,田畑輪換に伴う三相分布と雑草発生の変化を検討した.水田を畑転換すると,固相と液相の割合が少なく,気相の割合が多くなった.この変化は,転換の1〜2年において大きく,転換3年目以降にはほとんどみられなかった.転換畑を水田に復元した場合には,逆に固相と液相の割合が多く,液相の割合が少なくなったが,その変化は,水田から畑への転換の場合と同様,復元の1〜2年に大きく,3年目以降には連作田と同様の土壌状態になった.雑草の発生は,それぞれの転換に応じて,転換後の1〜2年に水田雑草から畑雑草,あるいは畑雑草から水田雑草へと変遷し,3年目には転換畑あるいは水稲連作田固有の雑草植生になった.これらのことから,田畑輪換による雑草発生の変化は土壌水分を中心とした土壌状態の変化に連動すると判断された.
  • 小林 和広, 今木 正
    原稿種別: 本文
    2001 年 8 巻 1 号 p. 61-65
    発行日: 2001/04/01
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー
    低温・日照不足(寡照)の気象条件下において緩効性肥料で栽培したコシヒカリでは生殖生長期の体内窒素含有率が高く維持されるために籾数が増大するという仮説のもとに,生殖生長期全期間の気象条件が低温・寡照および高温・多照条件になるように3作期を設けてコシヒカリを栽培し,それらの籾数を体内窒素含有率の点を中心に比較した.1.生殖生長期を低温・寡照下で生育したコシヒカリの籾数は高温・多照条件下のそれよりも多く,約5万/m^2に達した.2.低温・寡照下では高温・多照条件下より地上部窒素含有率は低下しにくく,その結果,分化穎花数が7万/m^2を越した.この過剰な分化穎花数の結果,籾数が著しく多くなった.3.以上より,生殖生長期に低温・寡照条件下で生育したコシヒカリは高温・多照条件下より地上部窒素含有率が高く維持されることにより,籾数が増大しやすいと考えられる.
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