ウンシュウミカン「愛媛中生」の植栽圃場において太陽光の特定の波長,すなわち短波長(420 ~ 470nm),中長波長(520 ~ 570 nm),長波長(570 ~ 620nm),全ての波長を反射する試作マルチシート,および既製品のT ベックシートを敷設,対照は露地として光環境と昆虫の飛来状況の変化を調べた.試験の結果,樹冠外地上1 m における反射光量はTベックシートが一番多く, 露地と全反射のマルチシートがそれに次いだ.樹冠内では露地の光量はほとんど
なく,マルチシートの敷設によって地上0 m および1m における光量が増加した.昆虫を粘着トラップにより捕獲し,種類別(目別)の飛来数を調査したところ,供試したマルチシートの種類によって個体数に相違があった.また総個体数では短波長,中長波長ならびに長波長シートでは露地の半分前後,全反射シートとT ベックシートではこれらよりもさらに有意に減った.以上の結果より圃場でのマルチシート敷設は樹冠内外の光環境のプロフィールを変化させ,同時に昆虫の飛来数にも影響を与えると考えられた.
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