農業生産技術管理学会誌
Online ISSN : 2424-2403
Print ISSN : 1341-0156
22 巻, 1 号
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  • 垣内 仁, 上地 由朗
    原稿種別: 本文
    2015 年 22 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2015/06/15
    公開日: 2019/04/11
    ジャーナル フリー
    コムギにおけるリン吸収量が乾物生産特性と子実の窒素およびリン含有率に及ぼす影響とその品種間差を明らかにするため,2013年産と2014年産の2ヵ年,ポット実験と圃場実験を行った.2013年産のポット実験には農林61号を,その他の実験には農林61号,あやひかりおよびハルイブキの3品種を供試した.ポット実験ではリン施用量を0,0.5,1.0,2.0,5.0g pot^<-1>の5段階,圃場実験では0,8,20g m^<-2>の3段階設けた.いずれの実験においてもリン吸収量と乾物生産量との間には正の相関が認められ,その関係には品種間差は認められなかった.また,植物体中のリン含有率は極度に生育が抑制された場合を除いて,リン吸収量と共に増加した.一方,窒素含有率は茎葉ではほぼ一定であったが,子実ではリン吸収量の増加と共にわずかに低下する可能性が示された.リンの乾物生産に対する施用効果を示すP efficiencyのリン施用量に対する反応には品種間差が認められ,農林61号で変動が大きく,ハルイブキで小さかった.以上より,リン吸収量と乾物生産量との間の関係には品種間差は認められないが,乾物生産に対するリンの施用効果には品種間差があることが示された.また,子実の窒素含有率はリン吸収量と共に減少する可能性があり,特に一定以上のタンパク含有率が求められるパン用品種などでは注意が必要であると考えられた.
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