本報はサツマイモの知的選別システムによる形状判定の基礎となる研究である.本システムによる形状判定の結果,以下の知見を得た.1) Windows98 OS内部に含まれるAPI(Application Program Interface)関数を用いることによって, Visual Basic環境下におけるサツマイモの形状判定システムを構築した.本判定プログラムはWindows対応のビデオキャプチャデバイスを有するコンピュータで利用できる.2) 画像処理による特徴抽出の結果得られた形状に関する7つのパラメータ,すなわち,面積,フィレ長比,曲がり度,複雑度および太さ(3点)を入力値として,ニューラルネットワークモデルによる等級判定を行った結果,2モデルのニューラルネットワークを組み合わせたときの正解率が86.1%となり,最も良い判定結果を得た.3)A,BおよびC等級についての判定正解率はそれぞれ96.2,83.3,77.3%となった.4)出力値の分析の結果,誤判定された場合でも,出力結果に正解形状についての情報が含まれることが示唆された.5) 出荷管理データベースの作成を行うことによって等級・階級選別結果の分布を把握することが可能となった.以上,本研究はマシンビジョンによるサツマイモの知的形状判定を行った結果であり,今後は,表面色による判定や傷の検出などへの対応を考えて行きたいと考える.
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