同一地域,時刻に受信した「ひまわり」の赤外画像(H画像)と可視画像(I画像)をそれぞれ緑色16階調と赤色16階調に着色した後,画像処理ソフトを使って重ね合わせを行い,加法混合された色から雲の種類や高度を特定する雲判別システム(雲の鉛直構造解析システム)の開発を行った。特に,本研究では着色した画像を色情報とともにビデオコンバータを介してWindowsパソコンにファイル転送し,Photoshopにより重ね合わせ画像を作成する方法を採った。'97年度の受信画像解析に適用した結果,H画像やI画像だけの2次元画像では得られなかった雲の種類や高度等が色と雲判別図から比較的簡単に判明し,素人が天気概況の把握や予報を行う際の強力な支援ツールになると結論された。なお,本研究で開発したシステムは使用したMS-DOSパソコンのシステム上の制約から画像寸法が640×400ドットとなり,800×800ドットの受信画像を一度に表示できないことや,ビデオゴンバータでNTSC信号に変換する際に画質が劣化する欠点を持つ。このため,'98年度からWindows上で「ひまわり」画像を直接受信できる新たなシステム(KENWOOD製)を導人した。ここで得られる画像は,BMP形式のため重ね合わせ解析は更に簡略化されるものと予想される。今後,新システムでの運用を図るとともに,雲判別図の精度や本解析法の信頼性を更に向上させて行きたいと考えている。
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