本稿では,Benesse教育研究開発センターが2004年に実施した調査の個票データを用いて,中高生の食行動を規定する要因を解明することを目的とした.定量分析の結果,個人属性,生活習慣・自立性,食卓環境・雰囲気,家族関係(親との関係),居住地が中高生の欠食・偏食頻度に影響を及ぼしていることが確認された.また学年進行に伴って,欠食頻度は増加する一方で偏食傾向は是正される可能性が示唆された.今後,子どもの欠食・偏食を解消していくうえで,子どもの生活習慣の改善のみならず,食卓環境・雰囲気や親子関係などを含めた家庭環境の改善を促し,「楽しい」と感じられる食卓環境の創造を支援するために,子どもとその保護者双方に働きかけていくことが重要であると考えられる.加えて,中高生が頻繁に訪れるコンビニやファミリーレストランも巻き込み,地域として啓蒙活動に取り組むことも検討に値しよう.
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