農業生産技術管理学会誌
Online ISSN : 2424-2403
Print ISSN : 1341-0156
15 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • フェルナンデス クリスティアン, 松田 敏信, 古塚 秀夫
    原稿種別: 本文
    2009 年 15 巻 3 号 p. 140-151
    発行日: 2009/03/31
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    南米のアルゼンチン,ボリビア,ブラジル,パラグアイは大豆関連産物の世界貿易において重要な地位を占めており,輸出市場において首位の米国のシェアを侵食しつつある.本論文の主な目的は,大豆関連産物の輸出市場における南米諸国の競争性と比較優位性を実証的方法によって評価することである.分析の結果,米国,アルゼンチン,ブラジルが支配的な市場シェアを占める中で,ボリビアやパラグアイといった市場シェアの小さい輸出国の競争性は着実に向上していること,またボリビアの比較優位性は未加工品から付加価値の高い加工品へとシフトしていること,さらに比較優位性の指標が最も高いのはパラグアイであるが,ボリビアは大豆粕と大豆油の比較優位性が非常に高いことが示された.
  • 田中 史彦, 内野 敏剛, 濱中 大介, 宮本 眞吾
    原稿種別: 本文
    2009 年 15 巻 3 号 p. 152-158
    発行日: 2009/03/31
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    近年,食品の安全についての関心が高まり,生産工程における衛生管理を行うことで,いかに微生物的危害を抑えるかが注目されている.本研究では,鶏肉に付着し,食中毒の原因となるSalmonella spp.とListeria innocuaを対象に,マイクロ波加熱による殺菌時間の予測をニューラルネットワークモデルにより行った.本モデルは,マイクロ波出力,初期材料温度,材料寸法(3方向)から材料中心と表面の殺菌時間を予測する5入力,2出力の構造を持つ.解析の結果,Salmonella spp.およびListeria innocuaについて,それぞれ5-10-2(入力-中間-出力のニューロン数),5-20-2構造で正割関数を伝達関数とするモデルが良い予測精度を示した.このとき,予測誤差はSalmonella spp.とListeria innocuaでそれぞれ1.7秒(3.0%),1.6秒(2.8%)であった.ニューラルネットワークモデルによる殺菌時間の予測は熱移動モデル解析による予測に比べ迅速であり,食品の衛生管理に有用なツールとなると考える.
  • 青木 宣明
    原稿種別: 本文
    2009 年 15 巻 3 号 p. 160-165
    発行日: 2009/03/31
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    断根育苗と予備冷蔵(以下予冷)およびGA処理が促成シャクヤク'サラベルナール'の開花や花色に及ぼす影響について調査した.予冷は花芽の発育を促し,開花も促進させた.予冷温度は8℃より15℃が優れた.15℃予冷とGA処理の組み合わせにより開花率の向上が見られた.GA処理の時期は,発芽直後がより効果的であり,2回処理は効果が薄れた.またGA処理は花弁の花色を薄くする働きが見られた.以上のように,'サラベルナール'の年内促成栽培では,前年断根剪定処理して栽培管理した株を9月上旬に掘り上げ,15℃10日間予冷処理し,促成時の発芽直後にGA処理を1回施せば,開花率と切り花形質の向上に非常に有効であることが示唆された.
  • 青木 宣明, 張 生仁
    原稿種別: 本文
    2009 年 15 巻 3 号 p. 166-171
    発行日: 2009/03/31
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    ハイブリッドボタン'オリエンタルゴールド'の促成と抑制栽培における生育・開花状況を調査した.1.促成栽培9月下旬の処理開始時の花芽分化ステージは,花芽分化が始まり,がく片分化期であった.15℃予備冷蔵により花芽ステージが進み,最も早い開花日は対照区の2月21日で,開花率は70%であった.予備冷蔵により開花期は遅れたが開花率(90%)が向上した,またGA処理との組み合わせにより,開花率は100%を示した.2.抑制栽培1月からの長期冷蔵後,10月12日に植え付けた区は12月13日に開花した.植え付けが遅くなるほど,開花日は遅延した.植え付け日の早晩に関わらず100%の開花率を示し,切り花本数は2本前後であった.促成・抑制栽培の双方とも,切り花品質に問題はなく,ハイブリッドボタン'オリエンタルゴールド'は2月下旬以降に開花させる促成栽培と年内以降に開花させる抑制栽培が可能であると判断された.
  • 柯 福艶, 永木 正和
    原稿種別: 本文
    2009 年 15 巻 3 号 p. 172-179
    発行日: 2009/03/31
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    中国北西部の(半)乾燥地域において,綿花は相対的に付加価値率の高い現金収入作物であり,節水型作物であることから,この地域の基幹作物として位置づけられている。本研究は,中国北西部に位置し,典型的な乾燥地域である甘粛省民勤県の綿花生産を分析対象として,確率的フロンティア生産関数(SFPF)の計測から技術効率性(TE)を推計し、技術非効率性(TIE)に影響を及ぼしている要因を明らかにした.現地調査から圃場レベルのデータを収集した.計測結果から次のことが言える。第一に,限界費用タームで比較すると,灌漑水が綿花生産量に及ぼす最も重要な慣行投入要因であった.第二に,技術非効率性は圃場属性によって影響を受けていたが,経営者属性には影響を受けてなかった.本研究からの示唆として、綿花の技術効率性を改善する余地があり、これによって節約された灌漑水を綿花生産面積の拡大に仕向けることが可能になる.
  • 寺林 敏, 武井 美穂子, 伊達 修一, 藤目 幸擴
    原稿種別: 本文
    2009 年 15 巻 3 号 p. 180-184
    発行日: 2009/03/31
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    果実(子房)頂部の組織形態学的観察を行い,着果促進剤処理の影響による小孔形成の過程を調査した.'スーパー優美'を用いて園試処方1/2単位濃度の培養液で水耕栽培し,トマトラン(有効成分クロキシホナック:4-クロロ-2-ヒドロキシメチルフェノキシ酢酸ナトリウム)500倍希釈液(HCPA 196ppm)と2000倍希釈液(HCPA 49ppm),ジベレリン酸0ppmと15ppmを組み合わせ,計4種類の着果促進剤を開花時の花に散布処理した.HCPA 49ppm+GA 15ppm区で,果頂部に小孔が形成された果実が多く発生した.いずれの処理区においても,開花後1週目の子房で果頂部花柱直下の果芯と内果皮の接合部が裂けて間隙が生じ,この間隙が子室までつながっていた.HCPA 49ppm+GA 15ppm区では,開花後2週目にさらに間隙が大きくなり小孔が形成され,さらに,果頂部に果皮,花柱基部が裂けてコルク化した果実が発生した.
  • イッサ ザカリア アブドルスディ, 紙谷 喜則, 大重 絢香, 許斐 勝大, 守田 和夫, 岩崎 浩一
    原稿種別: 本文
    2009 年 15 巻 3 号 p. 186-196
    発行日: 2009/03/31
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    本研究では,微酸性電解水の貯蔵状態とその時間によりpH,酸化還元電位(ORP:mV)と有効塩素濃度(ACC:mg/l)に与える影響を確かめた.タンクの形状は,密栓/開放,遮光/透過,貯蔵量は,半分と満液,貯蔵温度は,10-25℃を組み合わせて,ORP,pHおよびACCの経時的変化を14日間観察した.pHとACCは,食品添加物に規定されている5-6.5と10-30mgを全ての期間維持した.また,ORPは,845-900mVの範囲で推移した.同じ貯蔵条件で比較した場合,開放と密栓でのpH上昇速度と,ACCの減少速度に違いが観察され,開放状態が早いことが分かった.貯蔵の違いによる物性の変化が少ない密栓について貯蔵温度25℃にて,SAEWの殺菌の効果へ及ぼす影響を病原性大腸菌(E.coli)を用いて14日間に渡り確認した.殺菌効果を確認するため,微酸性電解水と懸濁液は3つの混合方法(5:1,10:1and 15:1)により調整し,接触時間は30,60,120秒とした.貯蔵期間に全試験区で大腸菌の減菌指数は増加する傾向があった.懸濁液濃度と接触時間では,各々に有意差が得られた.これらの結果から,微酸性電解水は密閉にて貯蔵した場合,他の要因に関係なく,14日間pHとACCは,食品添加物認可範囲を維持でき,大腸菌における殺菌効果を阻害しないことが分かった.
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