本研究では,微酸性電解水の貯蔵状態とその時間によりpH,酸化還元電位(ORP:mV)と有効塩素濃度(ACC:mg/l)に与える影響を確かめた.タンクの形状は,密栓/開放,遮光/透過,貯蔵量は,半分と満液,貯蔵温度は,10-25℃を組み合わせて,ORP,pHおよびACCの経時的変化を14日間観察した.pHとACCは,食品添加物に規定されている5-6.5と10-30mgを全ての期間維持した.また,ORPは,845-900mVの範囲で推移した.同じ貯蔵条件で比較した場合,開放と密栓でのpH上昇速度と,ACCの減少速度に違いが観察され,開放状態が早いことが分かった.貯蔵の違いによる物性の変化が少ない密栓について貯蔵温度25℃にて,SAEWの殺菌の効果へ及ぼす影響を病原性大腸菌(E.coli)を用いて14日間に渡り確認した.殺菌効果を確認するため,微酸性電解水と懸濁液は3つの混合方法(5:1,10:1and 15:1)により調整し,接触時間は30,60,120秒とした.貯蔵期間に全試験区で大腸菌の減菌指数は増加する傾向があった.懸濁液濃度と接触時間では,各々に有意差が得られた.これらの結果から,微酸性電解水は密閉にて貯蔵した場合,他の要因に関係なく,14日間pHとACCは,食品添加物認可範囲を維持でき,大腸菌における殺菌効果を阻害しないことが分かった.
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