農業生産技術管理学会誌
Online ISSN : 2424-2403
Print ISSN : 1341-0156
21 巻, 4 号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
  • 松田 敏信
    原稿種別: 本文
    2015 年 21 巻 4 号 p. 101-111
    発行日: 2015/03/15
    公開日: 2019/04/11
    ジャーナル フリー
    食料のように一般に購入頻度の高い非耐久財の需要分析では,多くの既存研究で用いられてきた年次,四半期次,あるいは月次データよりも,日次データを用いる方が現実の消費者行動をより正確に反映することができる.その際,価格や人口統計的変数などの日次データを利用できないという不利を克服するため,エンゲル曲線を対数2次型の状態空間モデルとして定式化し,カルマン・フィルターにより推定した.状態空間モデルは回帰モデルよりも柔軟性が高くデータの説明力に優れており,回帰モデルでは説明しきれない食料の支出比率の変動を捉えることができた.日次データを用いて推定した本稿の支出弾力性と月次データを用いて推定した既存研究の支出弾力性を比較すると,本稿の結果の方が明らかに非弾力的であり,ミクロ経済理論と整合的であった.また,食料需要に対する月,曜日,祝日,年末年始などの効果は消費者一般の実感と矛盾しないものであった.
  • グエン クアン コ, ホアン ティタイ ホア, トリン ティ セン, 齊藤 邦行
    原稿種別: 本文
    2015 年 21 巻 4 号 p. 113-124
    発行日: 2015/03/15
    公開日: 2019/04/11
    ジャーナル フリー
    水稲多収性品種を異なる窒素施肥レベルで圃場栽培を行い乾物生産,収量と収量構成要素,窒素蓄積量と窒素利用効率の品種間差を検討した.試験は岡山大学農学部附属農場内の水田で2011年と2012年に栽培を行った.2011年は6品種,2012年はさらに2品種を加えた8品種を供試し,各品種とも緩効性肥料を用いて3段階の窒素施肥レベル(0N: 0 gN m^<-2>; 1N: 8 gN m^<-2>; 2N: 16 gN m^<-2>)で栽培を行った.2ヵ年とも施肥レベルの増加とともに,すべての品種で乾物重が大きくなった.収穫期の全乾物重はタカナリと北陸193号で最も大きくなった.タカナリは両年ともに2N区で窒素蓄積量が最も大きくなった.タカナリの玄米収量は2ヵ年とも1N区で最も高く(750,731 g m^<-2>),ついで北陸193号(669 g m^<-2>,1N区,2012年)で高くなった.いずれの窒素利用効率も,窒素施肥量の増加とともに小さくなり,品種間では北陸193号とタカナリが高い値を示した.両品種とも0N区の収量が他品種に比べ高い値を示し(589,562 g m^<-2>,2012年),これにはシンク形成能(シンク容量/幼穂分化期の窒素蓄積量)が高く,シンク容量が大きくなったことが関係していた.以上より,高い収量は大きなシンク容量,高い乾物生産・窒素利用効率によってもたらされ,これらにはシンク形成能が高いことが関係していた.
  • 佐々木 よし美, 中道 仁美, 福元 康文
    原稿種別: 本文
    2015 年 21 巻 4 号 p. 125-132
    発行日: 2015/03/15
    公開日: 2019/04/11
    ジャーナル フリー
    高齢化する中山間地域に居住する住民の約64%が何らかの疾患をもっていた.性別と疾患の有無における明白な差は認められなかった.年齢と疾患の有無においては,若い世代に比して高齢者の方が有意に多かった(P<0.05).若い世代は,将来,生活習慣病へ移行する可能性のある疾病を患っており,一方,高齢者では,加齢に伴う身体・感覚機能の低下や生活習慣に関連したものであった.健康づくりをおこなううえで,対象者の健康状態に応じた,手段・方法・内容などを検討して,個別の支援をすることが重要である.今後,医療・福祉・行政など異なる職種が連携をおこない,多面的視点から健康づくりの支援体制を整えることが課題であるといえよう.
feedback
Top