農業生産技術管理学会誌
Online ISSN : 2424-2403
Print ISSN : 1341-0156
14 巻, 3 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 篠原 卓, ハンプトン ジョン G., ヒル マリー J., ジュンタクル スナンタ, スクプラカン スティヴィー, サワンサパヤコーン チ ...
    原稿種別: 本文
    2008 年 14 巻 3 号 p. 148-155
    発行日: 2008/03/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    結実期の環境条件は,種子活力に影響を与える要因の一つである.ニュージーランドでは,エンドウマメ(Pisum sativum L.)種子の出芽率は,発芽率に加えて2つの種子活力判定試験の結果(電気伝導法(EC)およびhollow heart (HH)発生率)を組み合わせて算出する.本研究では,まず,同国の5つの主要採種地域(Masterton, Blenheim, Christchurch, AshburtonおよびTimaru)において,過去4シーズン(2001-2, 2002-3, 2003-4および2004-5)に生産されたエンドウマメの中生品種の種子を収集し,その種子活力に地域間差やシーズン間差はあるか,気象条件は種子活力の高低に影響しているか検討した.採種した種子のECおよびHH発生率には,地域間およびシーズン間で変動した.そして,エンドウマメの種子活力は,2月の気温と有意な相関関係があり,同月の気温が高くなるほど活力が低下することが明らかとなった.次に,有意な相関関係から得られた単回帰直線を用い,過去12シーズンの気象データから,各採種地域で生産される種子活力を予測した.予測されたECとHH発生率は,5つの地域間で有意に異なった.これらのことから,ニュージーランドでは,採種地域を選ぶことで,活力の低いエンドウマメ種子を生産するリスクを下げることが可能であると考察された.
  • 寺林 敏, 吉川 沙織, 伊達 修一, 藤目 幸擴
    原稿種別: 本文
    2008 年 14 巻 3 号 p. 156-160
    発行日: 2008/03/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    子室の内果皮およびゼリー状柔組織表面が褐変する子室褐変果の発生と着果促進処理との関連,ならびに子室褐変果の形態的特長を明らかにすることを目的に実験を行った.品種'スーパー優美'を用い,園試処方の1/2単位および1単位濃度の培養液で水耕栽培した.開花時にトマトラン(有効成分クロキシホナック:4-クロロ-2-ヒドロキシメチルフェノキシ酢酸ナトリウム)の500倍希釈液と2000倍希釈液,ジベレリンOppmと15ppmの組み合わせ,計4種類の混合液を散布処理した.培養液濃度の違いによる子室褐変果発生率への影響は認められず,トマトラン2000倍希釈+GA15ppm区の発生率が高かった(第1図).子室褐変果は健全果に比べ,果実頂部に小孔が空いているもの(小孔果)が多く(第3図),重量,子室数,がく数も多かった.処理に関わらず,小孔果は小孔のない果実に比べ子室褐変果の割合が高かった(第4図).以上の結果から,GAを添加した低濃度の着果促進処理液(トマトラン)の開花時処理が果実頂部の小孔形成と子室褐変の発生を促すことがわかり,同時に両症状の間に小孔が形成されると褐変果が増大するという密接な関連があることが推察された.
  • ムジェマ イノセント ロッサン, 守田 和夫, 宮里 祐輝
    原稿種別: 本文
    2008 年 14 巻 3 号 p. 162-168
    発行日: 2008/03/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    本研究は,近赤外分光法(NIR)を用いた豚の排泄物におけるCOD,T-N,NH_3,含水率測定の可能性を目的とし,それらの測定項目を一回のスペクトル測定で各結果が同時に算出されるという測定システムを構築する.今回サンプルフォルダとしてビーカー(直径5cm,容積100ml)を用いてスペクトルを測定した.これは,実際の排水処理現場を考えた場合,近赤外分光装置のサンプルフォルダは高価であり,かつ研究所向けのサンプルフォルダのためである.この測定方法における結果は,COD,NH_3,T-Nで寄与率(R^2)が0.8以上の相関を得た.また含水率のR^2は,0.7212であった.NIRは豚の排泄物におけるCOD,NH3,T-Nの測定に対して良好な可能性を持っている.含水率の測定については,従来のサンプルフォルダでの検討,もしくは容積100mlのビーカー中に5ml以下の非常に低いサンプル量での検討が必要であると考えられる.
  • ケワソン ピチットラ, 藤目 幸擴, スクプラカン スティーヴィー, 寺林 敏, 伊達 修一
    原稿種別: 本文
    2008 年 14 巻 3 号 p. 170-176
    発行日: 2008/03/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    ヨウサイの白茎型・赤茎型の種子形成について受粉方法の影響を調査した.タイの赤茎型7系統と日本の白茎型2品種を供試した.受粉方法は自然受粉(対照),自家受粉(開花時に同一個体で人工受粉),他家受粉(開花時に異なる個体間で人工受粉),つぼみ受粉(開花1,3,5日前に人工受粉)とした.つぼみ受粉で葯は開花1,3,5日前に除雄され,同一個体の成熟花粉を受粉させた.種子形成は受粉60日後に調査した.赤茎型における他家受粉での種子形成割合は,自家受粉,自然受粉あるいはつぼみ受粉より高くなった.赤茎型における他家受粉での平均種子形成率は86.4%で,自家受粉,自然受粉,つぼみ受粉での値はそれぞれ61.5,52.1,25.7%であった.種子形成率のもっとも低かったのはつぼみ受粉であった.開花1日前のつぼみ受粉による種子形成率は25.7%であったが,開花3あるいは5日前では種子は形成されなかった.どの受粉方法でも,白茎型の種子形成率は赤茎型より高くなった.白茎型の平均種子形成率は自然受粉で89.9%,自家受粉と他家受粉で100%であった.以上の結果から,赤茎型の種子形成は白茎型より劣ることが確認された.しかし赤茎型の種子形成は他家受粉をすることにより促進された.
  • 西村 安代, 福元 康文, 島崎 一彦
    原稿種別: 本文
    2008 年 14 巻 3 号 p. 178-184
    発行日: 2008/03/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    アールスメロンの主枝の摘心の有無と葉数制限が,生育,果実品質および植物体内の無機成分含量に及ぼす影響について調査した.果実糖度は葉数が多いほど高くなった.P含有率は,結果枝第1節位葉では,主枝葉が10枚以上の区で交配30日目以降顕著に増加し,葉数が多いほど高い値を示した.K含有率は,結果枝第1節位葉の交配30日目では無摘心区で他の区よりも1.8%ほど高かった.Ca含有率は,結果枝第1節位葉では,無摘心区と主枝葉19枚区で交配40日目以降減少した.アールスメロン栽培では果実の品質を維持するためには,主枝葉が少なくとも19枚程度の適切な葉数確保が必要である。
  • 福元 康文, 楫本 智司, 西村 安代
    原稿種別: 本文
    2008 年 14 巻 3 号 p. 186-191
    発行日: 2008/03/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    ニガウリ(Momordica charantia L.)の花芽の性表現の機構を解明する一助として,'あばし','二尺',および'長福'を供試し,成長調節物質,温度および日長,摘葉および結縛の各処理を行った.'あばし'と'二尺'の両品種ともエスレル50ppm処理により雌花分化の促進および雌花数の増加が若干認められたものの,他のウリ科果菜よりも鈍感であった.'長福'では低温自然処理により雌花数が僅かに増加した.'あばし'の低温短日処理や'二尺'の高温自然日長処理においても同様であったが効果は小さかった.'二尺'では1/2摘菜により雌花分化の促進がみられたが顕著なものではなく,個体間差が著しかった.全摘葉は生育不良を招来し,花芽分化・発育が停止する傾向にあった.結縛による花芽の性表現への影響は認められなかった.以上の結果から,低濃度エスレル処理や軽度の摘葉により一部品種では雌花分化促進がみられたものの,その効果は小さく,また温度と日長処理による作用に一定の傾向が認められないことから,ニガウリの花芽の性表現の機構は特異的であることが示唆された.
  • 西村 安代, 今城 彰伸, 福元 康文, 島崎 一彦, 村井 正之
    原稿種別: 本文
    2008 年 14 巻 3 号 p. 192-197
    発行日: 2008/03/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    シカクマメ(Psophocarpus tetragonolobus (L.) DC.)の安定した周年供給を図るため,養液栽培の培養液濃度と給液回数およびベッドの位置が収量に与える影響について,'KUS-12'と'アスパラインゲン'の2品種を用いて検討した.収量は'アスパラインゲン'が'KUS-12'より高く,品質も良かった.培養液濃度はECが約1.5dS/mで,給液回数は2回/日が最適と考えられた.収量は光が当たりやすい東西の外側ベッドで増加したが,この傾向は東側でより著しかった.盛夏期に花振るいの現象を示し,収穫できない期間が認められたが,この期間は培養液濃度が高いほど長くなった.
  • 近藤 謙介, 中田 昇, 西原 英治
    原稿種別: 本文
    2008 年 14 巻 3 号 p. 198-203
    発行日: 2008/03/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    一般的な葉菜であるホウレンソウとコマツナを供試して,紅色非硫黄細菌の施用が生育と品質に及ぼす影響を検討した.紅色非硫黄細菌は液体培養した後,凍結乾燥したもの(PTBP)を用いた.PTBP施用は,ホウレンソウの地上部及びコマツナの地下部の生育を促進させた.品質では全糖,クロロフィル,カロテノイドの含量を増加させた.また,ホウレンソウでは土壌の滅菌処理の影響も検討した.PTBP施用は全糖,カロテノイドの含量は未滅菌区で,クロロフィル含量は滅菌区でそれぞれ効果が認められた.これらの結果から,PTBP施用効果と土壌微生物の間に相互作用があることが示唆された.
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