島根県の砂丘地におけるサツマイモ品種'ベニアズマ'の栽培において収益が最大となる最適窒素施肥量を決定することを目的に実験を行った.その結果,窒素施肥量とサツマイモ収量との間には明確な関係性はみられなかった.窒素施肥量の増加に伴い,平均塊根1個重は増加する傾向にあり,市場単価の高いM,L規格の塊根の割合は窒素を10a当たり7.5kg施用した区で最も高くなった.また,蒸し芋の食味官能試験を行ったところ,食味の評価値は窒素を10a当たり7.5kgおよび8.75kg施用した区で慣行区(窒素を同5kg施用)より高くなる傾向にあり,蒸し芋糖度は窒素施肥量の増加に伴い上昇する傾向にあった.各処理区の生産額を算出したところ,窒素施肥量の増加に伴い高くなる傾向にあり,10a当たり7.5kg施用した区で最も高かった.以上の結果から,収益面から見た島根県の砂丘地でのサツマイモ品種'ベニアズマ'の栽培における最適窒素施肥量は10a当たり7.5kgであることが示唆された.
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