単為結果性トマト'MPK-1'('京てまり')を供試し,大阪府高槻市にあるフッ素フィルムハウスにおいて二重被覆で保温し,定植時期を10月,11月および12月または1月として無加温で栽培し,収量と果実糖度に及ぼす影響を調査した.栽培期間中の日平均気温は8℃以上を保ったが,日最低気温は12月下旬から5℃を下回り,3月下旬まで10℃を超えなかった.10月に定植すると,12月から4月までに213〜283kg/aの可販果が収穫できたが,11月および12月または1月定植では,10月定植区の半分以下の収量であった.果実の糖度は,収穫はじめに低く,その後上昇する傾向が認められた.4月には果実が小さくなり,可販果の割合が低下した.本実験によって,遺伝的単為結果性を利用すれば,現在よりも暖房コストの少ない冬季トマト果実生産体系を構築できる可能性が示された.
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