農業生産技術管理学会誌
Online ISSN : 2424-2403
Print ISSN : 1341-0156
2 巻, 1 号
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  • 房 薇, 林 圭院, 岩尾 俊男, 藤浦 建史
    原稿種別: 本文
    1995 年 2 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2019/04/17
    ジャーナル フリー
    本研究は,開発した酸素供給用吸気ノズルの作物への適応性を明らかにするための基礎研究として,DO値(1-3ppm前後の範囲)がミニトマトの生長量(生体重,茎径,葉面積および蒸散量)に及ばす影響について調べたものである。(1)低DO値の養液は,窒素ガスの利用により容易に得られることが明らかとなった。(2)作物の生体重変化はDO値により左右され,DO値25%以下では低い値となった。すなわち,低DO値は作物の生育を抑制した。(3)葉の展開は,DO値が15%以下では抑制される傾向が見られた。(4)茎径は,DO値25%以下の条件では,ほとんど増加しないものと認められた。また,蒸散量においても,DO値が低下するほど低くなる傾向を示した。これらのことから,DO値は作物の生長に影響する重要な要素であり,DO値を変化させることにより作物の生長の調節ができることおよび,作物の生長に応じたDO値を供給する必要性のあることが明らかとなった。
  • 青木 宣明, 植田 尚文, 浅尾 俊樹, 内藤 整
    原稿種別: 本文
    1995 年 2 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2019/04/17
    ジャーナル フリー
    花芽分化開始の遅速は系統や品種により異なった。ハイブッシュ系'Northland'や'Rancocas'の花芽分化は6月上旬から始まり,7月上・中旬には雌ずい形成期に達した。ラビットアイ系の花芽分化開始についても品種間に差が見られ,早生の'Woodard'における花芽分化開始は8月上旬で,また雌ずい形成期に達するのは10月上旬であった。切り枝を出庫してから発蓄までの期間は,冷蔵期間が長くなるほど,また冷蔵開始時期が遅いほど短くなり,開花までの期間も短縮された。なお全処理区において,12月下旬までに開花した。以上の結果から,ブルーベリーの年内促成切り枝栽培では,10月中・下旬から40〜50日間冷蔵した後,促成栽培することにより可能であり,また促成鉢花の可能性が示唆された。
  • 倉橋 孝夫, 高橋 国昭
    原稿種別: 本文
    1995 年 2 巻 1 号 p. 15-19
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2019/04/17
    ジャーナル フリー
    9年生M.26中間台木リンゴ樹'ふじ'を用いて,Y字形棚整枝と主幹形整枝における収量と作業能率を比較検討した。1.Y字形は主幹形に比べ,花芽数,着果数,収量が多かった。特に,収量はY字形が6.2t/10aで,主幹形の1.3倍であった。2.年間の作業時間はY字形が445.6時間で,主幹形より1.2倍長かったが,Y字形は単位収量当たりの年間作業時間が主幹形より10%短く,労働生産性が高かった。3.精神労働的作業はY字形,主幹形とも年間の全作業時間の96%程度を占めていた。4.単位収量当たりにおける受粉・摘果・収穫の作業時間は,Y字形が主幹形より短かった。
  • 浜田 年騏
    原稿種別: 本文
    1995 年 2 巻 1 号 p. 21-29
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2019/04/17
    ジャーナル フリー
    The object of this paper is to analyze farm works and farm work hours in a diversified paddy farm at "Farmer S" at HIKAWA town in SHIMANE prefecture. The major results of the analysis are as follows: 1) The diversified farming system develops along with certain links of improvement of land conditions, improvement of labor means, and change of the farm organization. Then, the quality and quantity of the family labor force decides the farms organization. 2) The farm work of each section, which consists of diversified farms, is made up from Fixed and Non-Fixed work, and Machinery and Non-Machinery work. All farm work must be combined properly in order to establish diversified farming. For the sake of this, the efficient use of the family labor force and the cooperative works among family labor forces are needed.
  • 魏 亜玲, 岩尾 俊男, 竹山 光一, 林 圭〓
    原稿種別: 本文
    1995 年 2 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2019/04/17
    ジャーナル フリー
    スギ,ヒノキからなる樹皮ベッド材の熱伝導率と樹皮ベッド材の温度,みかけ密度,繊維のサイズ,体積含水率などとの関係を円筒による非定常法により明らかにした。1.樹皮ベッド材の熱伝導率は,絶乾の状態を除いて平均温度の増加とともに増加し,試料のみかけ密度の増加とともに減少する傾向を示した。2.樹皮ベッド材の熱伝導率は,樹皮繊維の大小にかかわらず,ほとんど一定であった。3.熱伝導率は,樹皮ベッド材の体積含水率が5%までは,わずかに増加が認められたが,その後,熱伝導率は体積含水率の増加にほとんど影響されなかった。樹皮ベッド材の熱伝導率は,0.12〜0.23[W/(m・K)]の範囲にあり,ロックウールに比べて約1/3程度であった。
  • 谷 光, 岩尾 俊男, 青木 宣明, 林 圭〓
    原稿種別: 本文
    1995 年 2 巻 1 号 p. 39-45
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2019/04/17
    ジャーナル フリー
    本研究は,苗の自動選別システムを開発するための基礎研究として,画像処理装置とレーザ光センサを用いてトマト苗の生長計測を行い,計測されたトマト苗の特徴量により苗自動選別の可能性について検討し,次のことが明らかになった。1.苗の画像は,色度分布の差により検出できる。2.展開葉数が本葉2から6枚までの生育初期,苗の水平投影面積を測定することにより苗の実際面積と地上部生体重の推定が可能である。苗の水平投影面積は,生体重の代わりに評価因子となり得るものである。3.苗の横投影画像の平均面積と生体重との間には,高い相関関係があり,苗の縦横比及び横投影画像の面積により徒長苗と老化苗の検出が可能であると考えられる。4.茎径は,生体重との間に相関関係があることから,苗を自動選別する際,一つの有効な判別要素として利用できるものと考えられる。
  • 近藤 悟, 早田 保義, 井上 興一
    原稿種別: 本文
    1995 年 2 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2019/04/17
    ジャーナル フリー
    オウトウ'佐藤錦'の葉の光合成速度,無機成分含有率に及ばすパクロブトラゾール(PBZ)処理の影響,ならびに茎葉処理時期の相違と翌年の栄養成長および果実品質との関係について検討した。1.満開後24日(新梢伸長期)および78日(新梢伸長停止後)に,215ppmPBZ溶液を樹体全体に散布した。翌年の新梢長は両処理区で抑制されたが,とくに満開後78日処理区では平均新梢長が無処理区の43%,総新梢長が5%程度となった。またPBZ処理区では,単位樹容積あたりの花束状短果枝数,幹断面積あたりの収量が増加した。2.PBZ処理により,単位面積当たりの光合成速度は直達光および散乱光下とも増加した。一方,葉面積は無処理区の69〜11%に減少したが,乾物率は増加した。また,N,Ca,Mgの含有率が増加した。3.PBZ処理区では果重が増加した。一方,結果数が増加したことから,葉果比は無処理区に比べ減少したものの可溶性固形物含量に大きな差は認められなかった。これらは栄養成長の抑制,Nなど無機成分含有率の増加,光合成速度の増加などに関連すると考えられた。またPBZ処理区では,新梢伸長が抑制され樹冠内部への光の透過量が多くなったためか,果実の着色面積割合が増加し,アントシアニン濃度も高かった。
  • 土肥 誠
    原稿種別: 本文
    1995 年 2 巻 1 号 p. 53-58
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2019/04/17
    ジャーナル フリー
    The analytic method and measurement system for the static muscular work has been investigated. The static muscular work is frequently done in farm work connected with horticultural production. It is known to have the characteristic of low energy metabolic rate and high muscle fatigue at the specific muscle keeping the work posture. So, the static muscular work could not be estimated by R. M. R. or the heart rate. Therefore, this measurement system consisted mainly of the telemetry polygraph, and the signal processor was used for the average muscular electric action potential(AMEP) that is calculated from the electromyogram. It was clear that AMEP correlated with muscle strength. The characteristic of the working posture and motion can be understood by this analytic method. The result of the experiment to be applied to this method in lettuce packing work, the reduction effect of the work intensity by the improvement of the work posture was cleared by AMEP.
  • 藤浦 建史, 中尾 清治, 近藤 直, 土肥 誠, 山下 淳
    原稿種別: 本文
    1995 年 2 巻 1 号 p. 59-64
    発行日: 1995/10/01
    公開日: 2019/04/17
    ジャーナル フリー
    (1)果実収穫等の農作業を行うロボットの視覚部に用いるため,対象物の三次元形状と色情報を計測する三次元視覚センサの試作研究を行った。(2)このセンサは,比較的近くにある作物を対象とするもので,レーザダイオードから光ビームを発射し,作物表面で反射した光を受光器内のPSD(Position Sensitive Device)で受けるアクティブレンジファインダ方式の走査型距離センサである。野外でも安定的に使用できるよう変調光を投光した。(3)トマトの熟度認識も行えるよう,近赤外と赤色の2つのレーザダイオードを用い,異なる周波数で変調して同軸上に投光し,受光電流を波長別に復調し,対象物における両波長の反射率の違いから,トマトやミカンを認識できるようにした。入力画素数は3600,走査に要する時間は約3秒である。(4)このセンサのトマト収穫ロボットへの適用を検討するため,トマトの三次元画像を計測,認識する実験を行った。実験の結果,光ビームを2波長にすることにより,カラービデオカメラを用いなくても,赤熟トマトの像を得ることができた。また,果実だけてなく茎葉等の三次元形状も認識できるので,部分的ながら茎葉等の障害物を避ける動作も可能であった。なお,今後,さらに距離の計測精度を向上することが必要である。
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