茶摘採作業の負荷軽減を目的として,摘採機フレームを改造し,作業者の身体の向きが作業負荷にどのような影響を与えるかを検討した。今回は,それぞれ左右の腕撓骨筋,上腕二頭筋,僧帽筋の平均筋電位を測定して,肩,腕部に対する改造効果を調べた。その結果は以下のとおりである。1.左右腕撓骨筋の平均筋電位と身体の向きの関係は標準,改造型ともに,いずれの茶うね高さにおいても身体の向きに対する平均筋電位の変化はほとんどなかった。右腕部では標準型,茶うね高さ100cmの場合,平均筋電位が最も高く約0.07mVを示した。2.左上腕二頭筋は標準型,茶うね高さ100cmの場合,平均筋電位が最も高く,身体の向きが45°から90°に変化すると0.12mVから0.15mVに上昇した。その他の場合は,身体の向きの変化に関係なく約0.05mV前後を示した。右上腕二頭筋の平均筋電位は身体の向きに対する変化はほとんどなく,標準型,茶うね高さ100cmの場合が最も高く約0.05mVを示た。3.左右僧帽筋は茶うね高さ60cmにおいて標準型,改造型ともに平均筋電位は約0.05mV前後であり,身体の向きに対する変化は少なかった。茶うね高さ100cm,標準型の場合,身体の向きがO°から90°になると平均筋電位は上昇し,改造型は下降する傾向を示した。4.茶うね高さ60cmの場合の改造による平均筋電位の低減効果は,左右腕撓骨筋と左右上腕二頭筋で認められたが,左右僧帽筋では逆効果を示す場合があった。5.茶うね高さ100cmの場合の改造による平均筋電位の低減効果は,ほとんどの測定部位で認められた。特に,身体の向きが90°の場合に最も効果が大きく,左上腕二頭筋で約0.10mVの低減効果があった。
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