家畜排泄物をメタン発酵させた際に発生するメタン発酵消化液を液肥として利用するための手法確立のために,発酵負荷,発酵の熟度(発酵日数)の異なるメタン発酵消化液が植物体に与える影響を,ユーグレナの増殖に対する効果について検証した.その結果,全てのメタン発酵消化液の試験区で対照区として設けた市販の液肥試験区よりもユーグレナ個体数が増加した.高い発酵負荷は,ユーグレナ増殖の阻害要因となるのではないかと予想されたが,最も高い発酵負荷の試験区において最も個体数が増加し,対照区の約2倍となった.また,発酵日数の違いはユーグレナ個体数に大きな影響を与えなかった.メタン発酵消化液をユーグレナ培養に用いる際は発酵負荷や発酵日数には留意することなく利用が可能であることも示された.ただし,植物栽培用の液肥として用いる場合は,全窒素のうち大半がアンモニア態窒素であること,リンが窒素,カリウムに比べると微量であること等に留意しなければならない.
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