防根ひも給水法において,施肥を簡略化し,培地を再利用しやすくするため,肥効調節型肥料(CRF)の新たな施与法として開発したタンク内施与法の長期促成トマト栽培への適用性を検討した.本研究では,CRFの施与方法としてタンク内施与法(TF区),培地混和法(MF区)および置肥法(PF区)の3つの方法を比較するとともに,培養液による管理法(LF区)も比較した.可販果収量はMF区,TF区およびLF区で同等であったが,それらに比べてPF区で低かった.茎葉乾物重および果実乾物重はMF区やTF区に比べてPF区で小さく,これはPF区において肥料の溶出量が少なく,それによって養分吸収量が少ないためであると考えられた.株当たりおよび果実生産1kg当たりの養分吸収量はMF区およびTF区よりもLF区で大きかった.一方,TF区において,培地中のN,PおよびKの残存量はMF区よりも小さかった.このことから,TF区では培地の養分集積が少なく,培地を再利用しやすいと考えられた.以上のことから,CRFのタンク内施与法(TF)は,防根ひも給水法による長期促成トマト栽培に適用可能であり,極めて実用的なものであると考えられた.
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