農業生産技術管理学会誌
Online ISSN : 2424-2403
Print ISSN : 1341-0156
17 巻, 4 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 川嶋 浩樹, 野中 瑞生, 長崎 裕司
    原稿種別: 本文
    2011 年 17 巻 4 号 p. 117-123
    発行日: 2011/03/15
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー
    平張型傾斜ハウスにおける温度管理技術を開発するため,形状の異なる平張型傾斜ハウスを用いて温風ダクトの配置や循環扇の利用が加温時の温度分布に与える影響を検討した.傾斜方向に長い平張型傾斜ハウスにおいて,鉛直方向と傾斜方向の温度分布から加温時の気流を推定した.温風ダクトを使用しない場合,傾斜下方では地面から屋根面へ向かって(鉛直方向に)温度が高く,屋根面では傾斜下方から上方へ向かって低くなる温度分布を示した.気流は傾斜下方の暖房機付近から屋根面へ向かい,屋根面付近では傾斜上方へ向かう対流が生じていると推察された.循環扇により傾斜上方から下方へ向かって送風すると,暖気が押し戻されて循環扇より傾斜上方の温度が低下した.等高線方向に長い平張型傾斜ハウスでは,温風ダクトを傾斜下方の側面沿いに設置することで温度分布はほぼ均一になった.
  • 富田 晃, 新谷 勝広, 猪股 雅人
    原稿種別: 本文
    2011 年 17 巻 4 号 p. 125-130
    発行日: 2011/03/15
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー
    オウトウの主要作業における作業能率と労働負荷を垣根仕立て樹と立ち木仕立て樹で比較した.垣根仕立て樹は,立ち木仕立て樹より人工受粉と整枝・剪定の作業時間が大幅に削減できたが,新梢管理,収穫には,立ち木仕立て樹より作業時間が多く掛かった.作業の種類によって作業能率は異なり,調査した前述の4項目の作業の合計では,垣根仕立ての作業時間が104時間56分,立ち木仕立ては121時間49分であった.脚立使用率は,全ての作業で垣根仕立て樹より立ち木仕立て樹の方が高かった.立ち木仕立て樹より作業時間が多く掛かった新梢管理・収穫の作業は脚立の移動,昇降回数が多かった.新梢管理・収穫の推定仕事量は,垣根仕立て樹より立ち木仕立て樹の方が少なく,作業負荷は脚立の移動,昇降回数が大きく影響することが明らかとなった.新梢管理の体幹傾斜角は,両仕立てともほぼ同じ傾斜を示したが収穫作業では立ち木仕立て樹の方が体幹傾斜角の大きな姿勢の出現頻度が高かった.さらに収穫作業の特徴として,立ち木仕立て樹には垣根仕立て樹にない体幹の傾斜が大きな姿勢の出現頻度が高かった.さらに収穫時の特徴として,垣根仕立て樹には体が反り返った体幹傾斜角0°以下の姿勢が2.9%あった.垣根仕立て樹は側枝がトレリスに添って水平誘引され整理されたことで作業が単純化していることと,列方向の樹幅の膨らみが抑えられ作業姿勢の改善により作業能率も向上し,労働時間の短縮にもつながった.しかし作業の種類によっては脚立の移動、昇降回数が増えて身体負荷が増えることが明らかになった.
  • 川信 修治, 和島 孝浩, 圖師 一文, 森 太郎, 松添 直隆
    原稿種別: 本文
    2011 年 17 巻 4 号 p. 131-135
    発行日: 2011/03/15
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー
    イチゴ品種'女峰'および'とよのか'の果実の糖含量,有機酸含量,糖酸比および遊離アミノ酸含量の果実生育時期(11月中旬〜6月下旬)による変動を4年間調査し,栽培環境(気温と日射)との関係について考察した.果実の成熟日数(開花から収穫)は生育中の平均日射量および平均気温(最低・平均・最高気温)と高い負の相関,生育中の積算最高気温と高い正の相関関係が認められた.両品種とも高温期(5月下旬〜6月下旬)の果実の成熟日数は低温期(11月中旬〜1月中旬)の約半分であった.高温期において,糖含量は減少し,有機酸含量は増加し,糖酸比は低下した.総遊離アミノ酸は高温期で最も低くなり,また主要遊離アミノ酸のアスパラギンとグルタミンの比率は果実生育時期で変動した.
  • 西村 安代, 福元 康文, 李 進才
    原稿種別: 本文
    2011 年 17 巻 4 号 p. 137-143
    発行日: 2011/03/15
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー
    NFT栽培トマトにおける培養液への海洋深層水の5%添加と深層水の冷熱利用を想定した培養液の冷却(15℃,22.5℃,30℃)が,果実の収量と品質に及ぼす影響について検討した.植物体の生育は深層水添加による影響はほとんど認められなかったが,果実糖度とクエン酸濃度は深層水の添加により高まり,果実品質の向上が認められた.尻腐れ果は,'瑞健'が'ハウス桃太郎'より多発したが,両品種とも深層水の添加により誘発され,液温が高いほど多発した.しかし培養液の冷却により発生は著しく抑制され,特に'ハウス桃太郎'では著しい抑制効果が認められた.培養液の冷却により,根からのカルシウム吸収と果実への転流が促進されたたものと考えられた.以上より,海洋深層水の培養液への添加は品質向上に寄与し,その際誘発される尻腐れ果の発生抑制には,深層水の冷熱利用による培養液の冷却が著しく効果的であることが明らかとなり,今後の深層水の利用開発が期待できる.
  • 高橋 祐哉, 石田 章
    原稿種別: 本文
    2011 年 17 巻 4 号 p. 145-151
    発行日: 2011/03/15
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー
    子どもの健全な食意識の形成や食習慣の実現には調理担当者の食意識の在り方が重要であるといえる.しかし,調理担当者の食意識を規定する背景要因を詳細かつ実証的に論じた先行研究は極めて限られている.そこで本稿では,子どものいる家庭において,おもに調理を担当している母親の食意識を規定している背景要因を定量的に解明することを主たる目的とした.ネットアンケート調査の個票データに共分散構造分析を適用することによって,子ども時代の「食卓環境」と「自らの母親の食意識」,現在の「食卓環境」と「友人との食に関する情報交換」が母親の食意識を規定する要因であることを明らかにした。加えて,食意識や食卓環境は親子間で受け継がれていくものであり,現在の食意識と食卓環境は自分の子どもが将来親になった時の食意識,食卓環境にまで影響を与える可能性を指摘した.
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