オウトウ'佐藤錦'の早期加温栽培における加温時期,温度条件と樹体発育,結実および果実品質について調査した。また,根域制限下での樹体発育と無機成分含有率,結実率との関連について検討した。1.加温時期が早く,また同時期からの加温でも萌芽前の温度が高温ほど,結実率が大きく低下した。しかしながら前年の夏季のPBZ処理により新梢伸長が抑制された場合,結実率が向上した。このようなことから,萌芽以前の温度条件の結実への影響が示唆され,また萌芽以降の新梢伸長との養分競合を抑えることにより,結実率を高めることが可能と考えられた。加温栽培では露地栽培に比べ,短果枝あたり花数,新梢および短果枝あたりの葉数,葉面積も減少する傾向があった。2.加温栽培では露地裁倍に比べ,可溶性固形物およびリンゴ酸含量のいずれもが増加した。満開後40〜50日の加温栽培下の光量子量は露地に比べ減少したものの,光合成速度はむしろ高くなる傾向があった。3.40Lコンテナへの植栽樹は300Lコンテナへの植栽樹に比較し,樹冠面積,新梢伸長および新梢中位葉の葉面積が小さくなった。一方,結実率およびN,Ca,Mg含有率が高く,逆にP,K含有率が低下しており,葉色や形状に,これらの欠乏と考えられる徴候が強く表れた。
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