農業生産技術管理学会誌
Online ISSN : 2424-2403
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10 巻, 1 号
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  • 伴 琢也, 植田 尚文
    原稿種別: 本文
    2003 年 10 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー
    島根県におけるブルーベリー栽培の実態を1999年4月から2000年3月にかけて調査し,以下の結果を得た.1)県内栽培面積は4.71haであり,導入されたブルーベリーはハイブッシュ(24品種)及びラビットアイ(3品種1系統)であった.2)県内のブルーベリー園の栽培管理状況は総じて不十分であったが,ラビットアイは標高や土質に関わらず生育が良好であった.ハイブッシュは粘質上壌や肥培管理不足の園で生育が劣ったが,植付け前後の土壌管理により生育が改善されていた.3)病害虫の発生,鳥獣害,凍霜害及び雪害はほとんどみられなかった.4)松江市と比較して標高の高い横田町,赤来町の園では樹体の生育及び果実の熟期が遅れ,果実品質も劣る傾向にあった.これらの結果から,島根県におけるプルーベリーの経済栽培にはラビットアイが適していると考えられた.
  • 伴 琢也, 山口 雅篤, 吉永 好明, 小川 智広, 植田 尚文
    原稿種別: 本文
    2003 年 10 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー
    5品種3系統のラビットアイブルーベリーの果実サイズと成分を収穫期間を通して調査し,以下の結果を得た.1)すべての品種・系統において,収穫初期の果実サイズ(果実重,果実横・縦径)は収穫終期のものよりも大きかった.2)収穫終期の'Bluebelle','Homebell','Tifblue'T-100,T-142の果汁中可溶性固形物含量は収穫初期のものよりも有意に高かった.その他の品種・系統については収穫期間を通じてほとんど変化しなかった.すべての品種・系統において,収穫期間を通じて滴定酸含量及びアントシアニン含量はほとんど変化しなかった.果皮中アントシアニン組成は品種・系統により異なった.3) T-10,T-142は他の品種と比較して,大粒で可溶性固形物含量が高いため,高品質果実生産に適する系統であると考えられた.
  • ワヒド D.A, 石黒 悦爾, 下田代 智英, 上田 康平
    原稿種別: 本文
    2003 年 10 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー
    非破壊法で水稲の生育調査を行えるようになることは、持続型農業の重要性に鑑みて非常に有益であると考えられる。携帯用分光反射率計(測定波長領域:400〜1,100nm)を用いて、窒素施肥量を変えて栽培した水稲の生育期間における分光反射特性を測定し、葉面積指数(LAI)、葉総窒素量(TLN)、分げつ数(NT)と光合成有効放射量(fPAR)と分光特性の関係を検討した。分光反射特性より考案した種々の指標の中で、830nmと550nmの分光反射率の比(R830/R550)はTLNとNTに対して全生育期間を通じて高い相関を示した。したがって、このR830/R550を用いることによりNTが非破壊で計測できることが示された。
  • 守田 和夫, 山口 安弘, 田中 史彦
    原稿種別: 本文
    2003 年 10 巻 1 号 p. 23-27
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー
    農産物の超音波乾燥装置を開発し,この性能試験ならびに大豆の乾燥実験を行った結果,以下の知見を得た.1)動板から放射された超音波は,一定間隔の音圧のピークと谷を持ちながら空気中で音圧が減衰し,進行していく.振動板の位置および距離により音圧レベルが変化するため,効率的な乾燥を行うためには,超音波照射面とピーク面が一致するような,適切なサンプル設置位置を選定する必要がある.2)発信器有効電力と振動子有効電力の間には2次の相関かあることが明らかとなった.3)大豆の乾燥は超音波照射により促進される.加熱以外の超音波作用による乾燥促進効果が期待される.4)超音波乾燥による大豆の外部品質への影響は認められなかった.
  • ルッド キプコリオニー L., 水谷 房雄, 文 斗敬, 曹 永巽
    原稿種別: 本文
    2003 年 10 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー
    ブドウ園に植えた5種類のマメ科植物,レンゲ(Astragalus sinicus L.),アカクローバー(Trifolium pratense L.),シロクローバー(Trifolium repens L.),カラスノエンドウ(Vicia angustifolia L.),ヘアリーベッチ(Vicia villosa Roth)について,それらの空中窒素固定能力(ARA:acetylene reduction activity)と窒素栄養について調査を行った。ヘアリーベッチとアカクローバーは地上部のバイオマス量が多かったが,根粒の単位重量あたりの窒素固定能はシロクローバーが最も高く,カラスノエンドウが最も低かった。1月から5月の間では、1植物体当たりの平均ARAはヘアリーベッチで最も高かった。窒素固定能と光の強さもしくは上壌温度の日変化の間には一定の相関は見られなかった。一株当たりの根粒形成数、単位面積当たりの窒素固定量とバイオマス量ではアカクローバーが最も大きかったので,5種の中ではこれが最も有望な果樹園の被覆作物と考えられる。
  • デュアンパン アチャナ, 鈴木 晴雄, 藤目 幸壙, 奥田 延幸, 松井 年行
    原稿種別: 本文
    2003 年 10 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー
    模型による立性格技と伏性植抜が,マルチ下地温と地温バラツキヘ及ぼす影響について明らかにするために実験を行った.日中は畦面での日射受熱量の多い立性が伏性よりも地温が上昇し,夜間は畦面からの放射を抑制する伏性の方が立性よりも高温となった.気象要因との関連から重回帰分析を行った結果,6時では各マルチの立性と伏性ともに日射と気温が地温(10点平均)に影響を及ぼした.15時では各マルテの立性で日射の要因が共通して選択された.伏性ではその傾向がみられなかった.地温のバラツキについて6時では,日射と気温の要因が各区で多く選択され,15時でも同様な傾向となったが,10点平均地温の場合ほど明瞭でなかった.立性一伏性間の地温の高低関係を同ー深の10点地温測定値から一日毎に求めた.6時では各マルチともに伏性で保温性の高い割合が高く,15時では無マルチと透明マルチにおいて立性の方が高温の傾向であった.この立性一伏性間の高低関係には土壌水分量による影響の大きいことがみられ,さらにマルチの種類と時間帯によって高低関係に影響する要因は異なった.
  • 大前 英, 武田 善行, 坂田 祐介
    原稿種別: 本文
    2003 年 10 巻 1 号 p. 43-47
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー
    摘採ないし整枝を起点とするチャ芽内部の葉原基の発育は,開葉,伸長,摘採時期および製茶品質を決める重要な要因である.しかし,チャ(var. sinensis)葉原基の発育過程および開葉,側芽長との関係について年間を通して調べられた例はない.そこで年間を通したチャ芽内部の葉原基発育過程,葉原基の発育と開葉および側芽の伸長との相互関係を明らかにするために. 1999年10月から2000年10月にかけて,成木茶園'やぷきた'を用いて研究を行なった.1.一番茶の開葉前(開葉率60%)および二番茶以降の茶期において,側芽長と全葉数(幼葉数+開葉数)との間に対数関係が認められ,幼葉数は,年間を通してパラメータ値の異なる2つの対数式,IL=a+b^*ln(BL)-EL {IL:幼葉数,BL:側芽長,EL:開葉数, a,b:パラメーター値(一番茶時はa=9.313, b=2.076,二番茶以降はa=7.850, b=1.403)}により表わされることが明らかになった.2.一番茶期の開葉後(開葉率100%)において,側芽長と全葉数との間に直線関係が認められ,幼葉数は1つの直線式,IL=a+b*BL-EL{IL:幼葉数,BL:側芽長,EL:開葉数,A,b:パラメーター値(a=9.680,b=0.255)}により表わされることが明らかになった.3.開葉直前の幼葉数は,一番茶期の9.6枚を除き6.4〜7.5枚,出開き芽の幼葉数はいずれの時期も3.0〜3.9枚と,年間を通して限られた範囲内に収束することが明らかになった.以上,側芽長と幼葉数に開葉数を加えた全葉数との間には,全茶期を通して対数ないし直線関係が存在すること,開葉時および出開き時の幼葉数は,一番茶期を除きほぽー定であることが明らかになった.
  • 大前 英, 武田 善行, 坂田 祐介
    原稿種別: 本文
    2003 年 10 巻 1 号 p. 49-53
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー
    年間を通したチャ幼葉の発達に関する気温や日長の影響,また両者の相互関係については,今まで明らかにされていなかった.そこでチャ幼葉の発達に与える気温や日長の影響を,両者を説明変数とする推定モデルの作成を通して明らかにすることを目的とした.1999年10月から2000年10月にかけて,'やぶきた'成木を用いて,秋整枝ないし摘採時期を起点とする全葉数推定式を,日平均気温および日長を説明変数に用いて求め,その適合性について検討した.その結果,a(T-b)+c(D-d) {T:日平均気温,D:日長,a,b,c,d:パラメータ値(a=0.007062,b=6.9,c=0.01032,d=10.11}式が,各茶期における第1側芽全葉数の1日分の増加程度を良く表すことが判明した.特に,日長を推定式に加えることによって,一番茶の休眠後期(12月中旬〜3月初旬)における推定精度が向上した.上記より,年間を通した幼葉の発達には気温および日長の両方が相加的に関与するが,幼葉の発達に関する日長の関与は,一番茶の休眠後期に顕著であると考察された.
  • 劉 政安, 青木 宣明, 山岸 主門, 坂田 祐介
    原稿種別: 本文
    2003 年 10 巻 1 号 p. 55-60
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー
    ボタンの抑制栽培において,株を鉢に植え付けた状態の鉢植え株長期冷蔵(-0.5℃)により,供試品種の促成栽培での難易や出庫時期の早晩に関係なく,高い開花率が得られた.株の根部を湿ったオガクズで覆う湿式長期冷蔵では,(1)80%以上の高い開花率を示すグループ(中国ボタン'鳳丹'や日本ボタン'連鶴'など,供試23品種中16品種),(2)全く開花しないか,開花しても極めて低率のグループ(中国ボタン'錦綉球'や日本ボタン'鎌田錦'など3品種),(3)両グループの中間で,50%前後の開花率を示すグループ(中国ボタン'蔵枝紅'や日本ボタン'芳紀'など4品種)の3グループに分類された.なお品種に関係なく,関花時の切り花形質に問題はなかった.
  • 小林 伸雄, ハギワラ ファン カルロス, ファシウト ガブリエラ, 宮島 郁夫, 中務 明
    原稿種別: 本文
    2003 年 10 巻 1 号 p. 61-63
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー
    アルゼンティン産テコマ・スタンス(Tecoma stans var. stans)の鉢花栽培化を目的として,生育・開花に及ぼすわい化剤の影響を調べた.テコマ・スタンスの選抜系統を挿し木繁殖後,鉢上げし,剪定を加え6か月齢の苗と15か月齢の苗を供試し,ウニコナゾール(商品名:スミセブンP)30ppmおよびダミノジッド(商品名:ビーナイン)5000ppmを葉面散布した.ウニコナゾールならびにダミノジッドの両処理区で植物高,シュート伸長および葉の大きさに関して明瞭なわい化効果が見られた.また両処理区で,花芽分化促進効果が見られ,花芽数が増加したが,ダミノジッド処理区では幼花序が観察されたのち,生育せず枯死した.一方,ウニコナゾール処理区では,無処理区に比べて開花時期が1か月早くなった.テコマ・スタンスに対するウニコナゾール処理は,草姿の改善,花芽増加および開花時期の促進効果が認められたことから,本処理は鉢花栽培化において有効な栽培技術であることが示唆された.
  • デユアンパン アチャナ, 藤目 幸擴, 鈴木 晴雄, 奥田 延幸
    原稿種別: 本文
    2003 年 10 巻 1 号 p. 65-70
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー
    1998年から2年間にわたり,アスパラガス'メリーワシントン500W'および'ウエルカム'を供試して,萌芽した芽,休眠芽並びに根茎における芽の分化部位について走査型電子顕微鏡下で観察した。1年生株の根茎には2群の芽が観察され,それらを第1群と第2群とした。休眠芽には少数の側枝芽が見られた。萌芽した芽では茎長と茎径が増加し,側枝の芽を多く形成した。萌芽した芽は若茎とシュートに発達した。第2群の先端部には芽の分化する軸が見られた。芽の分化軸では芽が2列に分化していた。分化軸から離れた芽ほど,発達が良好であった。
  • 守田 和夫, ウラサ リチャード L., 田中 史彦
    原稿種別: 本文
    2003 年 10 巻 1 号 p. 71-76
    発行日: 2003/05/15
    公開日: 2019/04/16
    ジャーナル フリー
    1998年にタンザニアのキリマンジェロ農業訓練センターとソコイネ農科大学に調査に入り、アフリカの農業の機械化に関する現状分析を水稲について行った。国際協力事業団が支援、拡充している水稲プロジェクトの成功事例を中心にタンザニアの水稲機械化の現状調査と民営化農場での水稲作の統計的な分析を行い、民営化農場の今後の発展の可能性について技術面と価格面から分析した。
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