農業生産技術管理学会誌
Online ISSN : 2424-2403
Print ISSN : 1341-0156
20 巻, 4 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 関根 基, 小川 幸春, 松岡 延浩
    原稿種別: 本文
    2014 年 20 巻 4 号 p. 119-125
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2019/04/11
    ジャーナル フリー
    本研究では,実規模に近い貯蔵試験で稲わらベールの貯蔵性を確認するとともに,貯蔵された稲わらの蒸解条件および蒸解性について検討した.1)ベール貯蔵サイトの高さは30日目を過ぎた頃から低下し始め,特に中央部分で大きく低下した.低下の原因は,土間に直接横置きしたベールの変形によることが確認された.なお,本実証実験の事例では,98個のベールを貯蔵するために要する費用は絶乾稲わら1kg当たり4.15円と試算された.2)炭酸ソーダおよび苛性ソーダによるアルカリ蒸解処理を適用して稲わらのパルプ化について検討した.その結果,稲わらパルプの収率は炭酸ソーダの方が苛性ソーダより高く,カッパー価は逆に炭酸ソーダの方が苛性ソーダより小さくなる傾向を示した.また炭酸ソーダの添加率を30%に固定して苛性ソーダの添加率を変化させたところ,比較的高いパルプ収率と低いカッパー価を示す苛性ソーダ添加率が見出された.3)貯蔵期間の異なる稲わらを炭酸ソーダ・苛性ソーダ混合蒸解で処理したところ,貯蔵によるパルプ収率の変化に有意差は確認されなかったものの,新しい稲わらほどカッパー価が低くなる傾向を示した.一方,蒸解前処理方法の異なる稲わらの場合,より細かく粉砕するほどパルプ収率は低下する傾向を示したが,カッパー価に大きな違いは確認されなかった.
  • 松田 敏信
    原稿種別: 本文
    2014 年 20 巻 4 号 p. 127-138
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2019/04/11
    ジャーナル フリー
    本稿では,肉類需要の非定常時系列データに対して単位根検定および共和分検定を行い,1階差分形式のLA/AIDSを推定した.分析の結果,肉類全体の出回り金額の変化に対し,国産肉類よりも輸入肉類の需要がより敏感に反応すること,国内におけるBSEの発生により,国産牛肉の需要が減少し輸入豚肉の需要が増加したこと,自己価格の変化に対する需要反応は,分析した6品目すべてで非弾力的であること,輸入牛肉と国産豚肉は国産牛肉の森嶋代替財で,国産牛肉の価格が変化すると,その需要は輸入牛肉と国産豚肉によって代替されやすいこと,また輸入鶏肉は国産鶏肉の森嶋代替財で,国産鶏肉は輸入鶏肉によって代替されやすいことが明らかになった.一方,TPPによる関税撤廃の結果として輸入肉類の価格が低下しても,それらの需要は他の肉類品目によって代替されにくいため,国産肉類に対する関税撤廃の明らかな影響は推定されなかった.
  • 北 宜裕, 廣瀬 一郎, 北浦 健生, 保谷 明江, 丸尾 達, 杉山 隆行
    原稿種別: 本文
    2014 年 20 巻 4 号 p. 139-147
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2019/04/11
    ジャーナル フリー
    施設トマト養液栽培において,積算温度ベースのヒート・ユニット成長解析手法を用いて,夏期にも安定した収量が得られる低段密植栽培(3段どり,6,450株/10a)と冬春期に多収となる長期多段栽培(8〜13段どり,2,150株/10a)とを組み合わせた低段多段組合せ栽培を新規に開発した.設計した最適作付組合せパターンで検証栽培を行ったところ,ほぼ計画どおりの作付スケジュールで周年収穫でき,年間単位総収量も計画対比98.1%の42.2t/10aが得られた.以上の結果から,今回開発した低段多段組合せ栽培は,我が国の気象条件,とくに夏期の高温多湿条件,に最適な,収益性の高い施設トマトの周年安定多収生産技術であることが明らかになった.
  • 地川 侑希, 山内 稔, 猪谷 富雄
    原稿種別: 本文
    2014 年 20 巻 4 号 p. 149-159
    発行日: 2014/03/15
    公開日: 2019/04/11
    ジャーナル フリー
    鉄粉をコーティングした種籾を湛水土壌表面に播種する栽培方法が開発され,日本で普及面積が急増している.本研究では,有色米やアミロース変異体を含む新形質米および飼料イネを含む多様な形質を持つ水稲品種の種子を用い,浸種処理を行わない条件下で温度と鉄コーティングの有無で条件を変え,発芽特性と土中出芽特性等を調査した.どの品種も鉄コーティングまたは低温にすることで種子の発芽係数が低くなるが,その程度は品種により大きく異なること,さらに発芽係数と水田での出芽・苗立ち率との間に有意な相関関係があることを明らかにした.発芽係数が高い種子は鉄コーティング処理後の発芽係数も高く,圃場での苗立ち率も高い傾向を示し,鉄コーティング直播における発芽係数の重要性が示された.鉄コーティング比を増やすと,発芽係数は低下するが,鳥の食害を防ぐ効果が高まることを確認した.次に,鉄コーティング前の浸種処理が発芽係数に及ぼす効果を検討した.本州の主要品種であるコシヒカリやヒノヒカリにおいては20℃3日間あるいは13℃6日間の浸漬か鉄コーティング処理および低温条件下での発芽係数を高めた.しかし,北海道3品種および島根県の飼料イネ品種1品種においては,浸漬の効果は変動し,一定しなかった.浸漬処理が発芽係数を高める効果は,品種間差異があり,また種子源の影響を受けやすいことが明らかになった.
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