農業生産技術管理学会誌
Online ISSN : 2424-2403
Print ISSN : 1341-0156
17 巻, 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 末吉 武志, 岩崎 浩一, 紙谷 喜則
    原稿種別: 本文
    2010 年 17 巻 2 号 p. 35-39
    発行日: 2010/10/31
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー
    本研究ではホウレンソウを供試作物として土耕栽培における電解機能水の散布方法・散布間隔の違いが生育に与える影響について検討した(実験1).つづいて電解機能水と殺虫剤の併用が防除効果に与える影響について検討した(実験2).実験1では,散布方法を2通り,散布間隔を2通り設定し実験を行った.その結果,電解機能水を散布した区は水のみの区に比べ生育量が大となった.生育促進の効果が顕著であったのは,散布方法はアルカリ性水のみの散布区,散布間隔は間隔の短い5日区であった.その主な原因としては散布量の違いに因るORPやクラスターの効果の差が考えられた.実験2では,酸性水に殺虫剤を通常の1/2量および1/4量を混ぜ散布した.その結果,それぞれ最終日における被害葉率は5〜10%となり,殺虫剤を通常量散布した場合には劣るものの,やや効果が見られた.この主な要因としてはクラスターの細かさによる殺虫剤の害虫へ付着性,浸透性の増大が考えられた.また電解機能水のみでもある程度の防虫効果があることが確認された.今回の実験ではホウレンソウ土耕栽培における電解機能水利用の生育促進や病害虫防除に対する有効性が認められた.しかしながらその効果のメカニズムや寄与率までを特定するには至らなかった.
  • 片岡 圭子, 西川 浩次, 榊原 俊雄, 札埜 高志, 矢澤 進
    原稿種別: 本文
    2010 年 17 巻 2 号 p. 41-45
    発行日: 2010/10/31
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー
    異なる性質をもった単為結果性栄養繁殖性6品種を,2か所の二重被覆ビニールハウスにおいて10月から4月の間無加温で栽培し,その収量と品質を比較して,単為結果性トマト品種を利用した低温条件下でのトマト果実生産の可能性を検討した.対照品種である'桃太郎'のほとんどは枯死したが,単為結果性系統はいずれも正常に生育して多くの果実を生産した.品質面では,すでに経済栽培されている'京てまり'および'京あかね'を超える系統は見つからなかったが,いずれも低温条件下で正常に生育して果実を生産することが可能であり,単為結果性を利用した冬季における省エネルギートマト生産の可能性が示唆された.
  • 下田代 智英, 稲永 忍, 杉本 幸裕, 土海 博史
    原稿種別: 本文
    2010 年 17 巻 2 号 p. 47-52
    発行日: 2010/10/31
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー
    アコースティック・エミッション(AE)法は根の形成過程の解析に利用される非破壊計測法の一種である.AE法の利用性を確認するため,移植後2-3日間にわたって4種の作物の種子根を用いAEカウントパラメータと種子根との特性の関係について調査した.AEパラメータと根の特性の間で,いくとおりかの有意な相関関係が認められ,特に累積AEカウント(AAE)と種子根の体積増加速度(RVI)との間に強い相関関係が認められた.このような結果から,累積AEカウントは土壌中の根の生長を表しており,AE法により根の生長を定量的に把握できると考えられた.
  • 西村 安代, 楫本 智司, 福元 康文
    原稿種別: 本文
    2010 年 17 巻 2 号 p. 53-59
    発行日: 2010/10/31
    公開日: 2019/04/12
    ジャーナル フリー
    ニガウリのロックウール培地を用いたバッグ耕における肥培管理について,'あばし'および'長福'の2品種を供試し検討した.培養液濃度を3段階で処理し,植物の生育,果実収量・品質および養分吸収に及ぼす影響について調査した.'あばし'では,培養液濃度をEC1.3〜1.8dS/mに設定することで曲がり果が少なくなり,果実収量が優れ,ロックウール培地によるバッグ耕の実用性が示された.'長福'は塩ストレスを招来しやすく,高濃度処理区ほど植物体の成長,果実肥大が劣り,曲がり果が多くなった.また,'長福'ではマグネシウムの吸収は抑制され,逆にマンガンは過剰に吸収される傾向が認められた.今後生育に応じた培養液管理を検討することにより,バッグ耕でのニガウリの高品質な安定生産が可能になると示唆された.
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