農業生産技術管理学会誌
Online ISSN : 2424-2403
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14 巻, 2 号
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  • 岩崎 浩一, 守田 和夫, 田中 史彦, 末吉 武志
    原稿種別: 本文
    2007 年 14 巻 2 号 p. 75-80
    発行日: 2007/12/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    有機系廃棄物処理により発生するバイオガスならびに廃食油メチルエステル(WME)の有効利用法として,ガスを小型ディーゼルエンジンに供給して軽油との2燃料運転をした場合ならびにWMEを用いた運転をした場合の運転特性について測定を行った.その結果,以下の様なことが明らかになった.1.軽油の場合,混合ガスの供給量が30L/minまでは安定した運転特性を示したが35L/minになると供給過剰で不安定な状態になった.一方,WMEの場合にはガス供給量35L/minまでほぼ安定した運転特性を示した.すなわち,バイオガスはWMEとの方が相性が良好であることが示唆された.2.エンジンの初期回転速度を3000rpmとして混合ガスを供給すると,軽油,WMEいずれの場合にも回転速度は最大4%程度まで上昇し,出力も1.12倍から1.15倍になった.空気の供給量はわずかに減少した程度で大きな変化はなかった.排気ガスのCO濃度はガス供給量15-20L/minで最大の1000ppm前後を示したが,さらに供給量が増加して30L/minなると450-700ppmに減少した.NO濃度は軽油のみの運転では最大89ppm,WMEのみでは54ppmであったものが混合ガスの供給にしたがって減少し25-30L/minで0ppmに近づいた.このように,バイオガスの使用は軽油,WMEいずれに対してもNOの濃度減少に効果のあることが示された.3.軽油ならびにWMEの消費量は混合ガスの供給とともに減少した.ガス供給量30L/minで代替率は最大値に達し,8割近くの軽油を削減できることがわかった.この場合,出力,排気ガスのCO濃度,NO濃度などについても良好な結果が得られており,ガス供給量を適正に設定する(本実験の場合30L/min)ことにより良好な運転特性が得られると判断された.また,WMEを用いた運転においてもガス供給量30-35L/minで代替率は最大の70%弱に達した.
  • 岩崎 浩一, 寺岡 行雄, 末吉 武志
    原稿種別: 本文
    2007 年 14 巻 2 号 p. 81-85
    発行日: 2007/12/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    奄美地域を初めとする南西諸島においてはサトウキビが基幹作物として生産されている.これらの地域は気候条件や現有の機械設備の状況から判断して,木質バイオマスを生産するのにふさわしいと考えられる.本研究では,奄美地域での木質バイオマスの収穫機構の開発を目指している.そのための第一段階として,ケーンハーベスタを利用した木質バイオマスの切断機構に関する基礎実験を行った.まず,亜熱帯地域に適応性の高いと考えられる5種類の樹種について静的な切断抵抗を測定した.その結果,供試した樹種のうちアカギが最も小さな切断応力を示した.そこでアカギならびに比較のためにサトウキビを用いて実際の収穫時の切断速度に近い速度での切断抵抗測定実験を行った.切断角度を0°と30°の2種類について測定したところ,角度を大きくした30°のの方が最大切断応力はアカギ,サトウキビの両方について4割程度小さくなることが示された.また,切断に要する時間を比較したところ切断角を0°から30°にすることで切断時間が長くなることが示された.その理由は,刃部での材料の進行距離が長くなること,また,刃縁に沿って材料がすべりを起こすこと等にあると推察された.切断角度が大きくなると,スムーズな切断が進行するため衝撃的な力が作用しにくくなるものと考えられ,切断角度は,切断のメカニズムに大きな影響を与えることが明らかになった.
  • 李 家華, 石黒 悦爾, 根角 厚司, 石川 大太郎, 清水 圭一, 坂田 祐介, 橋本 文雄
    原稿種別: 本文
    2007 年 14 巻 2 号 p. 87-92
    発行日: 2007/12/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    有機肥料と化成肥料の施用が茶ポリフェノールの含量へ与える影響を調査した.その結果,有機肥料と化成肥料とも窒素施肥量の増加に従って四種のカテキン類(EGCG,EGC,ECG,EC)蓄積量が減少する傾向が認められた.時期別推移については,一番茶期には,エピガロカテキン(EGC)とエピカテキン(EC)は、収穫が遅くなるほど増加した.一方,EGCとEGCGの含量は摘採適期直前が最も多かった.ストリクティニンの含量は,一番茶期は収穫が遅くなるほど減少し,茶期別では,三番茶期が特に低かった.茶葉中のGAのエステル基としての供与はflavan3-ol骨格の3位への供与が優先的であり,D-glucoseへの供与は比較的減少した.
  • 玉置 雅彦, 吉田 重方
    原稿種別: 本文
    2007 年 14 巻 2 号 p. 93-98
    発行日: 2007/12/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    水処理事業体から発生する産業廃棄物である浄水ケーキを用いて,排水中のリンと硝酸態窒素を同時除去する方法について検討した.脱窒反応を利用して排水中の硝酸態窒素を除去する目的で嫌気的条件下において稲わらを浄水ケーキ中に単層状に充填したところ,脱窒反応を利用した硝酸態窒素の除去が可能であった.また,本試験条件下では脱窒現象の発現には溶存酸素濃度を少なくとも1.0mg/L前後に低下させることが必要であった.浄化装置内における有機物充填位置については,有機物を浄化装置の入口部に充填した場合に最も効率よく排水中の硝酸態窒素が除去された.浄水ケーキ量に対して0.1%の有機物充填量では脱窒菌の増殖基質となり得る有機物が少なく脱窒反応が起こりにくいために,排水中の硝酸態窒素は完全には除去されなかった.排水中の硝酸態窒素は流速に関係なく浄水ケーキ量が多い場合には溶出量が多く,濃度が低下して一定濃度になるまでに時間を要した.しかし,一定になった排水中の硝酸態窒素濃度は浄水ケーキ量に関係しなかった.したがって,硝酸態窒素の除去効率は浄水ケーキ量に比例するのではなく,流速と関係した嫌気的条件の設定に依存していると考えられた.なお,排水中のリンは全ての試験において実験開始直後から完全に除去された.本研究から浄水ケーキを脱窒菌にとって適切な増殖環境に置くことによって,リンのみならず窒素浄化資材としても有効に利用できることが明らかとなった.
  • 李 学〓, 小林 一, 糸原 義人, 松村 一善, 井崎 敏彦
    原稿種別: 本文
    2007 年 14 巻 2 号 p. 99-106
    発行日: 2007/12/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    近年,子牛市場における価格形成要因の解明が重要な課題となっている.そこで,本稿では市場出荷される和子牛の血統,出荷日齢,出荷体重,購買参加者などの要素と取引価格との因果関係を分析し,価格形成要因となる諸因子を明確化し,和子牛の繁殖・飼養管理技術の改善が経営改善に対して果たす効果について検討する.分析の結果によれば,和子牛1頭当たり取引価格に対する要因には,依然として出荷体重の影響力が最も強い.農家問の差に関しては,和子牛の1頭当たり平均取引価格に対して農家の繁殖・飼養管理技術が重要な影響を及ぼしていることが明確になった.しかしながら,農家間格差によって説明される和子牛の取引価格と出荷体重,血統の変動はわずかであり,変動の大部分は個体変動に起因している.この大きな個体変動の存在が,農家レベルでの繁殖・飼養管理技術の高位平準化と生産コスト低減を阻害する要因となっていると推察される.
  • イノセント ムジェマ・ロッサム, 守田 和夫, 宮里 祐輝
    原稿種別: 本文
    2007 年 14 巻 2 号 p. 107-114
    発行日: 2007/12/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    本研究は,単一有機系排水に含まれる化学的酸素要求量(COD)をNIRにより迅速測定し、定量評価する方法の開発を目的としている。単一有機系溶液としてスクロース溶液,牛血清アルブミン(BSA)溶液,および混合有機系溶液としてスクロースとBSAを混合させた溶液を基準溶液として使用した。それらの溶液のCODを化学分析による従来法によって測定した。CODは,7.5から1397mg/lの範囲で測定を行った。約1,000〜2,200nmの範囲で測定した近赤外線スペクトルを一次微分と二次微分の前処理を行い、検量線を作成した。検量線作成には重回帰分析(MLR)と部分最小二乗法回帰分析(PLSR)を基礎とした。検量線による定量評価は以下の通りである。スクロース溶液では,前処理が二次微分のPLSRを用いたものがR=0.9618と最も高い。BSA溶液では,前処理が吸光度のMLRを用いたものがR=0.9939と最も高い。スクロースとBSAの混合溶液では,前処理が吸光度のMLRを用いたものが高かった。これらの結果より、様々な物質が含まれる実際の有機系排水のNIRによるCOD値の予測の可能性が見出せた。
  • 長崎 千津香, 石田 章, 横山 繁樹
    原稿種別: 本文
    2007 年 14 巻 2 号 p. 115-120
    発行日: 2007/12/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    This article aims to clarify what consumers are more likely to frequently make a purchase at convenience store. The logistic regression analysis, based on the individual data obtained from the Japanese General Social Survey 2003(JGSS-2003), clearly suggests that consumers fulfilling the following conditions are more likely to do so: 1. They are male, young, in employment, and smokers. 2.They tend to go shopping frequently, and do not mind price. In addition, they are not members of a consumer organization. 3.Compared to several years ago, they take more meals outside their home. 4.They resident in the Hokkaido, Southern Kanto and Kinki regions.
  • 近泉 惣次郎
    原稿種別: 本文
    2007 年 14 巻 2 号 p. 121-126
    発行日: 2007/12/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    '清見'の果実に発生する果皮障害の一つである水腐れ類似症(この果皮障害について,本研究ではこの様に呼称した)について,症状の特徴,発生時期,水滴処理による果面の亀裂の発生の有無,成熟と関係が深いと思われる果皮色,果皮硬度および水溶性ペクチン含量等について調査研究を行った.この障害は主に2月以降に発生し収穫時期の3月に最も多く認められる.果皮片を水に浸漬する処理を行うと亀裂の発生が認められた.しかし,果実に水滴が付着しても,亀裂が発生しないことが分かった.果実の成熟指標の一つである水溶性ペクチン含量は成熟が進むに従って減少した.果皮硬度も同様に成熟が進むに従って軟らかくなった.果皮の赤みを示すa^*値は成熟につれて高くなった.果実の成熟が進むにつれて水腐れ類似症の発生割合が増すことから,この障害は果実の成熟と密接な関係があるものと考えられる.水腐れ類似症は今回の結果から,'清見'の生理障害の一つと考えられるので,この障害の名称として,'清見'の水腐れ症が適当であると思われる.
  • 小池 安比古, 竹内 大輔
    原稿種別: 本文
    2007 年 14 巻 2 号 p. 127-129
    発行日: 2007/12/15
    公開日: 2019/04/15
    ジャーナル フリー
    株当たりのシュート数を4本としたシュッコンスイートピーの苗を1条植えとし,栽植距離を30,60および90cmと変え,また株間を30cmとし,1,2および3条植えと変え,開花および切り花品質に及ぼす影響をみた.その結果,栽植距離を30cm,1条植えにすると比較的良い品質の切り花が得られた.
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