有機系廃棄物処理により発生するバイオガスならびに廃食油メチルエステル(WME)の有効利用法として,ガスを小型ディーゼルエンジンに供給して軽油との2燃料運転をした場合ならびにWMEを用いた運転をした場合の運転特性について測定を行った.その結果,以下の様なことが明らかになった.1.軽油の場合,混合ガスの供給量が30L/minまでは安定した運転特性を示したが35L/minになると供給過剰で不安定な状態になった.一方,WMEの場合にはガス供給量35L/minまでほぼ安定した運転特性を示した.すなわち,バイオガスはWMEとの方が相性が良好であることが示唆された.2.エンジンの初期回転速度を3000rpmとして混合ガスを供給すると,軽油,WMEいずれの場合にも回転速度は最大4%程度まで上昇し,出力も1.12倍から1.15倍になった.空気の供給量はわずかに減少した程度で大きな変化はなかった.排気ガスのCO濃度はガス供給量15-20L/minで最大の1000ppm前後を示したが,さらに供給量が増加して30L/minなると450-700ppmに減少した.NO濃度は軽油のみの運転では最大89ppm,WMEのみでは54ppmであったものが混合ガスの供給にしたがって減少し25-30L/minで0ppmに近づいた.このように,バイオガスの使用は軽油,WMEいずれに対してもNOの濃度減少に効果のあることが示された.3.軽油ならびにWMEの消費量は混合ガスの供給とともに減少した.ガス供給量30L/minで代替率は最大値に達し,8割近くの軽油を削減できることがわかった.この場合,出力,排気ガスのCO濃度,NO濃度などについても良好な結果が得られており,ガス供給量を適正に設定する(本実験の場合30L/min)ことにより良好な運転特性が得られると判断された.また,WMEを用いた運転においてもガス供給量30-35L/minで代替率は最大の70%弱に達した.
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