Trends in Glycoscience and Glycotechnology
Online ISSN : 1883-2113
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21 巻, 117 号
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ミニレビュー
  • Yoshiaki Yuguchi
    2009 年 21 巻 117 号 p. 1-12
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/04
    ジャーナル フリー
    いくつかの糖鎖の溶液中やゲル中におけるナノレベル構造について小角 X 線散乱法により観察した例について紹介する。海藻より抽出されるカラゲナンは硫酸基を有する電解質多糖類でその水溶液は冷やすとゲルとなる。一般的に 2 重らせん形成によりゲル化するとされている。小角 X 線散乱法よりそれらの会合の様子を観察した。対イオンがカリウム型で約 3 % の κ-カラゲナンの場合,2 重らせん構造が形成されそれらが 2 本並んで会合することによりゲルとなることが分かった。またそれよりも硫酸基を多く有する ι-カラゲナンの場合は 2 重らせん形成のみでゲルとなることが分かった。また位置選択的脱硫酸ヘパリンと繊維芽細胞増殖因子との会合状態を小角 X 線散乱法により観測し,会合に最も必要と考えられるヘパリン鎖中の硫酸基はイズロン酸の 2-O 位であることが分かった。また会合構造は生理活性に大きな影響を与えている可能性が示唆された。さらに環状糖鎖の小角 X 線散乱観測結果例を示した。線状構造に比べてその散乱プロファイルは異なり,特徴的なプロファイルを与えた。また環状糖鎖の包接構造等に対しても散乱挙動の変化をとらえることができた。
  • Kiyohiko Igarashi, Masahisa Wada, Masahiro Samejima
    2009 年 21 巻 117 号 p. 13-22
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/04
    ジャーナル フリー
    自然界において結晶性セルロース大部分は,種々の微生物が生産するセロビオヒドロラーゼ(CBH)によって分解されている。しかしながら,CBH の反応には基質,酵素双方の性質が関与しており,さらに反応が固液界面で進むという特徴を有していることから,定量的な解析が非常に難しい。そこで本研究では,結晶性セルロースの表面積を CBH の最大吸着量(Amax)から見積もり,反応中の吸着量(A)を Amax で割った表面密度(ρ=A/Amax)に対して,吸着した酵素一分子あたりの速度(kv/A)をプロットすることで基質の表面積を相殺した。その結果,基質の性質がセロビオヒドロラーゼの反応速度に大きく影響していることが示唆された。
  • Motomitsu Kitaoka, Yuji Honda, Shinya Fushinobu, Masafumi Hidaka, Taka ...
    2009 年 21 巻 117 号 p. 23-39
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/04/04
    ジャーナル フリー
    還元末端キシロース遊離エキソオリゴキシラナーゼ(Rex, EC. 3.2.1.156)は,糖加水分解酵素ファミリー 8 に属する反転型キシラン分解酵素であり,キシロオリゴ糖から還元末端キシロース(X1)を遊離する反応を触媒する。Rex は X1 の存在下のみ,α キシロビオシルフルオリド(α-X2F)を加水分解する,Hehre-合成-加水分解反応を示した。一般塩基触媒残基(D263)変異酵素ライブラリーを作製し,グライコシンターゼ活性により α-X2F と X1 からキシロトリオース(X3)を最も良く蓄積する D263C 変異酵素を選抜した。しかしながら,D263C のフッ素イオン遊離活性は親酵素より低かった。次に,一般塩基触媒残基と共に求核試薬である水を保持している残基である Y198 をフェニルアラニンに変異させたところ,フッ素イオン遊離活性が低下することなく加水分解活性のみに大幅に低下が見られた。Rex の Y198F 変異酵素は D263C よりも X3 の蓄積が多かった。最近になり,糖加水分解酵素ファミリー 95 に属する α1,2 フコシダーゼのグライコシンターゼ化が報告された。この場合は,一般塩基触媒残基と相互作用している別の残基に変異を入れることが有効であった。両者ともに,一般塩基触媒残基は変異させない方が良かった。
グライコトピック
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