フランス, ブールサンモーリスの南に位置するエギュイグリーヴ山地(最高峰2732m)の1800m以上の部位にひろがる岩塊原の形態や堆積物や堆積構造の特徴, 成因を検討することを目的にして, 航空写真の判読や現地調査をおこなった結果, 次のことが明らかになった。18ヶ所の岩塊原のうちの16ヶ所は, (1)主として異地性の岩屑からなる, (2)平面形としては舌状あるいはローブ状の形態を示す, (3)急傾斜の先端部(25〜40°)や厚い層厚(10〜25m), 表面の畝〜溝状の微地形配列, 構成岩屑の逆グレーディングによって特徴づけられることから岩石氷河であると考えられる。以上に加えて, ライケンやパッチ状に侵入している植被の程度, 電気探査結果, 先端部のまわりを岩塊ガエプロン状に取りかこむ構造, 研究地域の気象条件, 既存の研究例との比較などの検討から, 推定された16ヶ所の岩石氷河の現在の動態については, 確証はないものの, 大部分はBarsch(1988,1992)のいう"fossil"型の, 一部ぱ"Inactive"型の岩石氷河であると推測される。
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