1) 急性化膿性中耳炎において, Bacampicillin (BAPC), Cephalexin (CEX) の抗生物質有効性期待係数 (EEI) と臨床での有効性の相関を検討した.
2) 効果判定解析症例は, 59例 (BAPC群27例, CEX群32例) であった.
3) 臨床効果では, 主治医判定で著効率はBAPC群66.7%, CEX群31.3%でBAPC群が有意に優れた(
X2=6.015, p<0.05). 委員会判定でも著効率でBAPC群88.9%, CEX群62.5%であり, BAPC群が有意に優れていた (
X2=4.077, p<0.05).
4) 細菌学的効果では, 3日目における菌陰性化率はBAPC群65.4%, CEX群41.9%であった. 7日目では, BAPC群100%, CEX群90.3%であった.
5) 副作用を示した症例は両群共に認めなかった.
6) 有効性期待係数 (EEI: Expected efficacy index)
急性化膿性中耳炎に対するABPCとCEXとの有効性期待係数は, disk 法にて (廾) および (卅) を感受性ありとしたときにはABPC93.5, CEX82.4, disk 法にて (卅) のみを感受性ありとしたときにはABPC86.9, CEX59.0であった. MIC法ではABPC89.1, CEX64.9であった. 臨床効果との相関では, 委員会判定の著効率 (BAPC88.9, CEX62.5) と disk 法にて (卅) のみを感受性ありとしたときのEEIおよびMIC法で算出したEEIの値が近似した.
急性中耳炎の治療に際し治療抗生物質を選択する方法として, 菌検出率と薬剤感受性率より算出したEEIは意義あるものと考えられる.
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