日頃私達が副鼻洞炎患者のレ線診断に携つていると, 往々にして非常に相類似し, しかも一見特有な所見を呈するレ線像に遭遇する. これ等のレ線像は通常慢性全副鼻洞炎の所見を呈するもので, そこに見られる個々のレ線所見は副鼻洞炎の発生並に進展と局所的或は全身的状態との関連を投影又は示唆する点において興味がある. 殊に今日副鼻洞炎は吾科領域において最も屡々診療の対象となる疾患であるにも拘らず, その本態は未だ解明し尽されず, 従て治療法についても尚未解決な問題の多い現状に鑑み, 本レ線像について追究することは今後上述の諸問題を解決する上に意義あることと考えるので, 茲に代表的な二症例を掲げ, それらのレ線所見を述べ, 更に該レ線所見と夫々の臨床的或は手術的所見とを比較考察する.
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