歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
15 巻, 2 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 佐藤 豊彦, 原田 善郎
    1973 年 15 巻 2 号 p. 77-88
    発行日: 1973年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    Polygraphical recordings performed on tooth-grinders have made it possible to realize the description of phenomenological features and the speculative penetration into the central mechanism of tooth-grinding (TG) during sleep which is encountered rather frequently among the population.
    The TG commences at any sleep stage, but mainly on the background of lighter sleep stages. The cessation of TG is followed by a sleep lighter than that before the episode. The episodes of TG are frequently preceded by a K-complex and followed by α-waves. They appear sometimes on the background of recurring α-waves in drowsy subjects. The beginning of TG never fails to be associated with any kind of sympathetic discharges such as tachycardia, the vasoconstriction of the finger-tip, and the skin potential changes on the forearm and on the palm. The amplitude of the Hoffmann reflex is greatly reduced during TG just like as upon conventional arousal reactions which are associated with gross body movements, but not with TG.
    The behavior of the polygraphical indices and especially the fact that the TG was able to be induced by arousing stimuli, clearly indicate that the TG is triggered when sleep becomes abruptly lighter and that it manifests itself during transition from sleep to wakefulness, that is, it is one kind of arousal reaction.
    The results from the experiments on the animals together with the clinical observations suggest that transitory dissociation of the functioning of the ascending activating systems would be the basic mechanism behind the TG.
  • 木村 忠文
    1973 年 15 巻 2 号 p. 89-99
    発行日: 1973年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    咀嚼に際しての各咀嚼筋の生理的役割を明らかにするため, 家兎を用い, 特定の咀嚼筋を切除することによって生ずる顎運動パターンの変化・咬合圧の変化および嚥下までの咀嚼動作・咀嚼能率の変化を測定分析した。
    咬筋両側切除により咬合圧は著しく減少し, かたい試料に対する咀嚼回数・咀嚼時間が延長し粉砕度が低下した。延長した咀嚼回数・時間や低下した咀嚼能率は日と共に回復した。顎二腹筋の両側切除により下顎の開閉運動範囲の縮小・顎の前方への突き出しがみられ, 大きな食物に対して嚥下までの咀嚼回数・時間が著しく延長した。側頭筋側頭部の両側切除では咀嚼機能にほとんど変化が生じなかった。また咀嚼リズムそのものは各咀嚼筋切除によっては大きな影響を受けなかった。
  • 中村 治雄, 高井 葉子
    1973 年 15 巻 2 号 p. 100-106
    発行日: 1973年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    前報で, う蝕形成食 (高蔗糖低蛋白) をマウスおよびラットに投与し, 脂質代謝異常に関して, 肝と唾液腺との関連性について報告してきたが, 今回はWistar系雄ラットにう蝕形成食 (簾糖60%), および蔗糖と異なった糖代謝を行い, しかもう蝕の発生を抑制するといわれているキシリトール食 (蔗糖40%, キシリトール20%) を90日間投与して, 肝および唾液腺のコレステロール代謝におよぼす影響を検討した。う蝕形成食投与により体重の減少, 肝および舌下腺の肥大, 肝および血清のコレステロール量の増加, 顎下腺耳下腺および舌下腺のコレステロール生合成の減少, 耳下腺のコレステロール量の減少がみられたが, キシリトールは, う蝕形成食によるこれらの体重の減少, 舌下腺の肥大, 肝および唾液腺のコレステロール代謝の異常を改善した。
  • 渡辺 継男, 藤田 浩, 三嶋 建次, 堀川 高大
    1973 年 15 巻 2 号 p. 107-115
    発行日: 1973年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    高度の炎症を伴う歯肉炎患者の口腔から, T-mycoplasma (以後T-m) が検出された (口病誌38: 324-332, 1971)。この時に得られた口腔T-m4株の諸性状が本研究で検討された。
    口腔T-m4株は共通する諸性状を示した。血清学的には, 4株はhornogenousであり, 咽頭由来T-m Johnson株ともidenticalであったが, 尿道由来T-m REOW株, M.salivarium PG20株, およびM. orale 1 CH 19299株とのheterogenicityが証明された。菌体蛋白をpolyacrylamide gelでelectrophoresisしたところ, 口腔, 尿道, および咽頭由来T-mは相互に非常に良く類似したpatternを形成したが, M. salivariumおよびM.orale 1とは明らかに異っていた。
    口腔T-mはモルモット血球に対して弱い溶血性を示した。50℃10分以上の加熱で不活化された。thallium acetate (0.05%), hydroxyurea (0.1%), methyleneblue (0.02%), およびpotassium tellurite (0.004%) によって発育を阻害されることがなかった。
  • 小柴 宏明
    1973 年 15 巻 2 号 p. 116-167
    発行日: 1973年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    ヒトの健全な乳前歯歯髄を材料とし, 典型的な状態を示す歯髄最大豊隆部の毛細血管について歯髄辺縁から歯髄中央における各領域の毛細血管を電子顕微鏡により観察した。
    その結果, 細胞稀薄層および稠密層の毛細血管については基本的に差がみられず, 両者の毛細血管は非常に細く, しかも内皮細胞細胞質がうすいものからなり, 非常にうすい細胞質にfenestraが存在することもある。また, mitochondria, E. R. などの細胞小器官は比較的少ない。そのほか, 細胞稀薄層に毛細リンパ管が観察される。細胞稠密層より歯髄内層の毛細血管は管径の細いものから比較的太い毛細血管まで種々の毛細血管が存在しており, また比較的厚くなった内皮細胞細胞質には細胞小器官が比較的多く観察されており, またlysosome, lipidなどの各種顆粒状構造物や結晶構造物もまれに観察される。
  • 1. 構造既知の可溶性基質の調製およびD-アラニル-meso-DAP-エンドペプチダーゼの分離
    片山 剛
    1973 年 15 巻 2 号 p. 168-185
    発行日: 1973年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    Streptomyces sp.L-3菌が生成する粗 “L-3酵素” 液を, DEAE-セルロース, CM-セルロースカラムによるクロマトグラフィー, および電気泳動的等電点分画法によって分画した。
    分離された各フラクションの酵素活性, 作用点をLactobacillus plantarum (ATCC8014) 細胞壁, この細胞壁のChalaropsis酵素あるいは/およびFlavobacterium L-11酵素による消化産物から分離したグリコペプチド, ペプチドサブユニット, ならびにカゼインを基質として検定し, つぎの結果を得た。
    1) L.plantarumその他の “DAP型” の細胞壁ペプチドグリカンのD-アラニル-meso-DAP結合を加水分解するエンドペプチダーゼを等電点7.9の蛋白質フラクションとして分離した。
    2) このエンドペプチダーゼフラクションは, “粗 L-3酵素” 液に含まれるN-アセチルムラミルー-レアラニンアミダーゼ, DAP-カルボキシアミドアミダーゼ作用およびカゼイナーゼ作用を示さず, また免疫化学的にも均質であることが確認された。
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