最近, グルタチオン (GSH) およびGSH関連酵素群の癌化学医法における役割について興味が持たれている。今回, 我々はヒト由来腫瘍細胞培養株を用い, butionine sulfoximine (BSO) 処理によって細胞内GSHを除去し, 制癌剤感受性への影響について検索した。腫瘍は, ヒト由来舌扁平上皮癌 (SCC-25) およびヒト由来骨芽細胞様骨肉腫 (SaOS-2) の培養株を使用した。制癌剤は, nimustin (ACNU), chlorambucil (CLB), melphalan (L-PAM), bleomycin (BLM), adriamycin (ADR), mitomycin C (MMC), cisplatin (CDDP) の7種を用いた.0.2mMBSO, 24時間処理によって, SCG25では対照の25%, SaOS-2では対照の10%程度に細胞内GSH量は低下した。制癌剤の細胞障害性においては, CLB, LPAMの場合, GSH除去によって, その障害性が著明に増強された。しかし, その他のACNU, BLM, ADR, MMC, CDDPではそのような効果は認められなかった。
これらの結果より, 一部制癌剤の細胞障害性が, 細胞内GSH除去によって増加したことが認められ, 制癌剤と非制癌剤との併用による効果は, それらの組み合わせによっては, その有効性が期待できるものと思われた。
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