歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
15 巻, 3 号
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  • 森永 和男
    1973 年 15 巻 3 号 p. 187-205
    発行日: 1973年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    インキュベートした唾液中ではアミノ酸が遊離しているので, 乳酸生成がさかんになると一般に考えられている。しかし, 種々の時間プレィンキュベートした唾液にグルコースを加えて乳酸生成をみると, Str. salivariusなどレンサ球菌の存在により, プレインキュベート約10時間の唾液が最高の生成量をしめした。endopeptidaseであるナガーゼを作用させた新鮮唾液 (あるいは透析内液) でもStr. salivariusの乳酸生成は著明に増加した。
    Bio-Gel P-4を用いて唾液試料を分画してみると, プレインキュベート10時間唾液もナガーゼによる部分水解物もそのペプチド画分が乳酸生成を促進した。また, 新鮮唾液などにこのペプチド画分を加えると乳酸生成が著明に増加したが, アミノ酸混液やペプチド画分の完全水解物 (塩酸による) を添加しても乳酸生成はほとんど増加しなかった。しかし, ペプチド画分とアミノ酸混液を同時に添加すると, 乳酸生成はますます著明になった。
  • 竹内 純, 加藤 裕生, 吉田 正彦, 江崎 民夫
    1973 年 15 巻 3 号 p. 206-211
    発行日: 1973年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    近年, シアル酸は細胞膜表面の構成成分として重要な役割を果しており, ケラト硫酸は免疫反応と関連していることが明らかにされてきた。我々はさきにコンドロイチン硫酸Cおよびヒヤルロン酸が腫瘍の増殖を著明に促進することを見出し, その作用のメカニズムを追求中であるが, 今回はシアル酸, ケラト硫酸, ノイラミニダーゼの腫瘍増殖に及ぼす効果を実験的に観察した。ddNマウス背部皮下に種々濃度の試薬1mlを注射し, その直後腫瘍腹水1ml (細胞数107個) を同部位に移植して8日目に腫瘍塊を摘出し, 実験群の腫瘍重量と対照 (腫瘍移植に先立って1mlの生理的食塩水を注射) 群のそれとを比較した。その結果0.2%シアル酸溶液及び2%ケラト硫酸にはエールリッヒ固型腫瘍増殖促進作用がみられたが, シアル酸高濃度溶液 (2%) には腫瘍増殖抑制の傾向がみられ, 又ノイラミニダーゼ (20単位/ml) には何らの効果もみられなかった。適当な濃度のシアル酸, ケラト硫酸溶液は細胞膜表面を保護し, 代謝を充進させて, 移植された細胞に好適な環境を提供するものであると考える。
  • 加藤 征, 関口 洋介
    1973 年 15 巻 3 号 p. 212-214
    発行日: 1973年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    ポリエステル樹脂を用いた頭蓋の複製標本作製法著者らは, 最近急激に増加しつつある医歯系学生の教育実習用にポリエステル樹脂を用いた頭蓋の複製標本作製を企画した。母型用としてはシリコーン・ラバーを, 成型用としてポリエステル樹脂・Rigolac2004Wを使用した。その結果, 従来までの石膏やで作られた骨標本と異なり, かなりの強度, 精度, 色調を備えた標本を完成することができた。母型用に使用したシリコーン・ラバーの性質上僅かの収縮が生じたが標本上問題となるような差異はない。著者らは, すでに1個の母型より多数の成型を完成し, 教育用に使用して少なからぬ効果を挙げている。
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