Bradykinin (BK) に対するイヌ舌動脈の反応メカニズムを検討した。BKはnorepinephrine (NE) によって前収縮した舌動脈輪状標本を内皮依存性に弛緩させ, この反応はB
2-受容体アンタゴニスト [D-Phe
7] BKで抑制された。また, BKに反応して引き起こされる内皮依存性弛緩は, 一酸化窒素 (NO) を不活化するhemoglobin, 可溶性guanylate cyclase阻害薬methylene blue, そしてNO合成酵素阻害薬N
G-monomethy-L-arginineによっても有意に抑制された。NE非存在下で, BKによって生ずる内皮除去標本平滑筋張力と細胞内Ca
2+濃度の増加は, [D-Phe
7]-BK抑制性であった。BKは内皮除去標本を濃度依存性に収縮させるが, これもまた [D-Phe
7]-BKによって抑制され, 同様に, protein kinase C阻害薬H-7, phospholipase C阻害薬neomycin Bによっても抑制された。しかし, indomethacinは効果的ではなかった。
以上の結果から, BKは内皮細胞B
2-受容体を刺激することによるNO産生を介して舌動脈を弛緩させ, 一方, 平滑筋のB
2-受容体にリンクしたphospholipase C活性化に連動して舌動脈を収縮させるが, この収縮反応にはprostanoidsは関連しないことが示唆された。
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