歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
34 巻, 4 号
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  • Part III: Solubility of collagen and cytotoxicity of the composite
    Hiroshi Kimura, Hwal Suh, Masayuki Okazaki, Junichiro Nukata, Masayosh ...
    1992 年 34 巻 4 号 p. 331-338
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    アパタイト・コラーゲン複合体に含まれるコラーゲンの溶解度は, 複合体の形態維持と密接な関係がある。本研究ではコラーゲンの溶解度を観察するため, 0.5%コラーゲン・ゲルに100, 50, 10unitのコラーゲナーゼを作用させ, 生理食塩水中 (37℃) に溶出して来るハイドロキシプロリン量を比色定量した。一方, UV照射またはUV非照射アパタイト・コラーゲン5, 10, 30wt%複合体を生理食塩水中に浸潰し, 同様の方法でコラーゲン溶解度を求めた。その結果, UV非照射コラーゲン・ゲルとUV非照射複合体のコラーゲンがコラーゲナーゼで溶解されて溶出するハイドロキシプロリン量は1時間以内に増加したが, その後変化は少なかった。しかしUV照射された複合体からの溶出量は24時間では少量で, 特に10wt%のコラーゲンが含有された複合体は安定であった。一方, アパタイト・コラーゲン複合体の生体親和性の程度を細胞毒性実験により定量的に検討した。MEMの中でUV照射したアパタイト・コラーゲン5, 10, 30wt%複合体を72時間浸漬後, その懸濁液中でL-929細胞 (1×105および5×104cells/ml) を培養し, 細胞数の増殖を観察した。細胞は1×105で調整された場合にはコラーゲン含有量とは関係なしに4日目まで対照群とほぼ同じくらいの増殖を示したが, 5×104で調整された場合には5wt%また10wt%のコラーゲンが含有された複合体は7日目まで対照群より少し高い細胞増殖を示した。
  • 大谷 啓一, 安井 みちよ, 小田 敏弘, 青木 和広, 小椋 秀亮
    1992 年 34 巻 4 号 p. 339-349
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    共焦点レーザー走査顕微鏡 (CLSM) は, 生物学の研究分野における最も新しい顕微鏡の応用技術である. そこで, 硬組織の形態学的観察にCLSMを用いる試みを行った. ローダミン・アルブミン複合体を取り込ませた家兎切歯象牙質をCLSMにより観察したところ, 通常の螢光顕微鏡による像に較べて, さらに明瞭な沈着パターン像を得ることができた. また, 螢光ラベリングを行ったラットの海綿骨をCLSMにより観察したところ, 鮮明な光学的断層像を連続的に捉らえることができた. これらの光学的断層像を, コンピュータ処理することにより, 骨の3次元的立体構築像を作製し, 観察することが可能であった. さらに, ラットより分離した破骨細胞を, 抗tubulin抗体にて免疫螢光染色した標本の細胞骨格の形態を, CLSMにより明瞭に観察することができた. 以上の検索結果より, CLSMにより得られる優れた観察像は, 硬組織の形態学的検索にきわめて有用であることが示された. CLSMを応用することにより, 硬組織の生理的機能の解明が一層進展するものと期待される.
  • 関 孝史
    1992 年 34 巻 4 号 p. 350-363
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    ラット切歯歯髄組織の各部における複合多糖の染色性の相違を, ノイラミニダーゼ前処理を組合せたレクチン組織化学により検索したConA, RCA-IおよびLFAは, 象牙芽細胞, エナメル芽細胞および歯髄細胞の細胞質に反応した。ConAおよびRCA-Iの染色性は, 酵素前処理に影響を全く受けなかった。一方, 象牙芽細胞および歯髄細胞でのPNA, SBAおよびMPAの染色性は酵素処理に影響を受けやすかった. すなわち, 酵素未処理切片では, これらのレクチンに反応する細胞は全くみられなかったが, ノイラミニダーゼで処理をした切片では, 象牙芽細胞および歯髄細胞ともに, 明らかな陽性所見を認めた。エナメル芽細胞では, PNA, SBAおよびMPAは, 酵素処理, 未処理にかかわらず, 細胞質内の核上部に反応した。これらの結果は,(1) 象牙芽細胞, 歯髄細胞およびエナメル芽細胞は, ConA, RCA-1およびDLFAで検出される共通のオリゴ多糖をもつ,(2) エナメル芽細胞はPNA, SBAおよびMPAの染色性から, 末端にガラクトースあるいはガラクトサミンをもつ複合多糖をも所有する,(3) しかしながら, 象牙芽細胞および歯髄細胞では, PNA, SBAおよびMPAで検出される複合多糖の末端糖は, シアル酸によりマスクされているシアル型糖鎖の可能性が示唆された。これらの末端糖の糖鎖配列は, 象牙芽細胞とエナメル芽細胞のそれぞれの機能解析に重要であることが推測された。
  • 山本 奨
    1992 年 34 巻 4 号 p. 364-373
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    ゲル濾過カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーにより, 血清および血痕からのハプトグロビン型 (Hp1, Hp2-1, Hp2) 判定を行った。血清ではHp各型に特徴的なクロマトグラムが得られ, 型判定が可能であった。従来のHp型検査では血清にヘモグロビン (Hb) を添加して行っているが, 血清のHb濃度および吸収スペクトルの測定によりHbの存在が認められ, Hb添加は必ずしも必要ではなかった。1週間保存の血痕では各型に特徴的なクロマトグラムが得られ, 型判定が可能であった。1カ月血痕ではHp 2-1型とHp 2型の識別が困難となり, 6カ月血痕ではHp 1型の判定も困難となった。そこで, エタノール・クロロホルム法により試料溶液からHbを除去したところ, 各型に特徴的なクロマトグラムが出現し, 型判定が可能であった。
  • 中谷 至宏, 梅本 利彦, 中村 義則, 野田 充宏, 伊藤 卯一, 並河 勇
    1992 年 34 巻 4 号 p. 374-383
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    好気条件下, D-MEMと円形ガラスからなる付着実験系においてヒト口腔スピロヘータTreponema denticola ATCC 33520株の最大付着に要する時間は1時間後で, 至適温度は37℃ であった。加熱菌体やトリプシン, プロテアーゼK, リパ一ゼ, リゾチーム, グルタルアルデヒドあるいはホルムアルデヒドで前処理した菌体の付着量は減少した。フィプロネクチンに付着したスピロヘータを位相差顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡で観察すると菌端での付着は付着菌数の約1%であった, フィプロネクチン, ラミニン, コンカナパリンA, VI型コラーゲン, 動物血清あるいは本菌の被膜表層タンパク質抗原 (分子サイズ53 kilodaltons) に対する家兎抗血清で被覆したガラス表面への菌体付着量は増加した。T. denticolaの付着に関するin vitro実験結果から, 本菌の付着が被膜の表層物質およびそれらの状態を修飾する大きな物質により影響を受けることが示唆された。
  • 渡辺 禎二, 中城 基雄, 佐久間 博史, 荒蒔 正邦, 柳澤 定勝, 西連寺 永康
    1992 年 34 巻 4 号 p. 384-390
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    歯に加速度ピックアップを装着し, 様々な条件下で振動レスポンスならびに周波数スペクトルを記録した中城報告に用いられたサルの上顎中切歯に対し, 歯・歯根膜・歯槽骨を1つの系とする幾何学的振動モデルを作製した. ここから水平運動, 回転運動の2自由度を考慮した運動方程式を立式し, 角周波数方程式を導出した. 中城の報告の中で歯根膜を掻爬しないで抜歯窩に再挿入した場合と, 歯根膜を完全に掻爬して再挿入した場合の周波数スペクトルのピークは前者450Hzと2, 250Hz, 後者6, 500Hzであった。これに対し, 今回の方程式より算出した値は前者650Hzと2, 284Hz, 後者6, 500H2となり, 振動モデルと2自由度運動方程式の適用により歯の振動周波数が一部予測できることが明らかになった。
  • 須藤 豊哉, 須賀 昭一
    1992 年 34 巻 4 号 p. 391-424
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    副甲状腺焼灼が, エナメル質形成に及ぼす影響を経日的に観察した。体重100g前後のラット (75匹) を副甲状腺焼灼後, 1-5週間飼育した。なお, 屠殺6時間前に塩酸テトラサイクリンを1回腹腔内に注射した。一対の上顎切歯から得られた研磨標本と脱灰切片から, マイクロラジオグラム, テトラサイクリソによるラベリソグ像, H-E染色ベルリン青反応などを得て, 比較観察した。副甲状腺焼灼の影響は, まず, 成熟期の初期に現れる.それは, 本来, 全層中で石灰化度上昇の最も緩かな幅狭い外層での石灰化度の急な上昇である。それは特に最表層で著明である。それに伴って, 内層での深層側から中層側への石灰化度の上昇は不明瞭となる。また, 一部の動物では, 発育線に沿う減形成線が出現し, それは切端側に移動しても, 低石灰化の線として残る。以上の所見に加えて, 全層にわたる低石灰化が断続的に出現する。以上の諸変化は, 術後の日数が増すにつれて著明になる。切端側でのテトラサイクリンによるラベリングが消失する位置が, 日数の経過に伴って切歯の基底側へ移動する傾向がある。それは, 特に術後3週間以後で著しい。層によるラベリソグ消失の順序は, ほとんどの場合, 対照とほぼ同じであるが, 一部の動物でそれが乱れる場合がある。
  • 増原 泰三, 田中 良男
    1992 年 34 巻 4 号 p. 425-444
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    EDTAのホスホン酸誘導体で, キレート剤であるEthylenediamine-N, N'-di (methylenephosphonicacid)(EDDPO) をラットに投与し, 硬組織の脱灰パラフィン切片をヘマトキシリン染色すると, EDDPOの投与時に対応してヘマトキシリンに濃染する線が検出されることを見い出した。そこで, 本研究はEDDPOを硬組織時刻描記剤とする一つの硬組織時刻描記法を確立するための適正条件を見い出すことと, EDDPOの毒性を検討するためにおこなわれた。すなわち, 実験1ではEDDPOを2つの投与経路5段階の用量でラツトに投与し, 下顎切歯について3種類の固定液, 6種類の固定期間, 2種類の脱灰液, および6種類のヘマトキシリン染色液を用いて組織標本を作製し比較観察検討した。その結果, EDDPOの適正用量は14-32mg/kgで, 固定期間を5週間以上とし急速脱灰液で脱灰した後, CarraziまたはWeigertのヘマトキシリン染色液で染色すると鮮明な時刻描記線が得られることが明らかとなった。しかしながら, 描記線の発現機序については現在不明であり, また, EDDPOが無機相と有機相の双方に取り込まれるのか, いずれか一方であるかについても本実験では明らかにされなかった。実験IIでは40mg/kgの高用量のEDDPOを10日間投与し観察したが, 体重増加, 血清の生化学的組成, また骨の組成などには変化は見られなかった。したがって, EDDPOを硬組織時刻描記剤として用いる用量では毒性や石灰化抑制作用はないものと判定された。
  • 会田 則夫, 藤村 朗, 横須賀 均, 都筑 文男, 野坂 洋一郎
    1992 年 34 巻 4 号 p. 445-453
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    流れ応力に対する内皮細胞の反応を観察するため, 血管分岐部に相当するような, 弱い流れ (A面), 強い流れ (B面) および渦流 (C面) を作り, in vitroのモデル実験を行った。それぞれの流れに内皮細胞をさらし, 細胞形態とマイクロフィラメントの変化を形態学的に検索した。観察は, マイクロフィラメントをFITC-Phalloidinで標識し, 螢光顕微鏡を用いて行った。A面では, 細胞は敷石状を呈し, 流れと平行なストレスファイパーが多くなる傾向を示した。B面では, 細胞は流れの方向に細長く伸展し, ストレスファイパーの方向は流れと平行な向きに限局していた。C面では, 細胞は敷石状を呈し, 細胞の辺縁にマイクロフィラメソトの太い束ができ, ストレスファイバーは種々の方向に走向していた。これらの観察結果は, 内皮細胞がそれぞれの流れ応力に抵抗し, 細胞を接着させるための反応を示唆しているものと考えられる。
  • Ikuko Ogawa, Takashi Takata, Mutsumi Miyauchi, Hiroshi Ito, Naokuni Ij ...
    1992 年 34 巻 4 号 p. 454-457
    発行日: 1992/08/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
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