軟骨のカルシウム代謝, 石灰化機構の解明の一つとして, 形成期骨端軟骨細胞における
45Caの取り込みについて, 生後3~5日ラットを用い, in vitro, in vivoでの実験を光顕オートラジオグラフィーと
45Ca-測定法を用いて検討した。
オートラジオグラフィーの結果は, in vitro, in vivoともによく一致し, 45Ca投与後5分で多くの現像銀粒子が主として静止層, 増殖層の軟骨細胞と, 石灰化開始部位の基質にみられた。時間経過とともに増殖層から泡状層における細胞上の銀粒子は増加し, 180分後では, これらの細胞周辺の基質にも銀粒子の出現を認めた。24時間後では, この傾向はより顕著になった。なお, 対称として用いた気管軟骨には,
45Caの取り込みはほとんど観察されなかった。
一方, 分離軟骨細胞を用いた
45Ca-測定実験においても, 軟骨細胞による
54Caの取り込みは, 経時的にほぼ直線的な増加を示すことが確められた。またPTHによる
45Caの取り込みに対する抑制効果, ouabainによる阻害効果が認められた。
以上の結果より, 形成期骨端軟骨の軟骨細胞は活発にCaを取り込み, これを蓄積, 輸送することにより, 石灰化機構と密接に関与する可能性が考えられる。
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