近年, 炎症の制御におけるPMNのアポトーシスの関与が報告されている。
本研究では, 末梢血PMNと唾液PMNを対象とし, 周囲の環境とアポトーシス関連抗原の発現との関係を検索し, 口腔領域の免疫機構でのPMNのアポトーシス発現の可能性について考察した。
健常者の末梢血と唾液からPMNを分離し, PBS, 血清, 唾液, 熱処理唾液, PMA, TNF-α, Fas抗体で3時間培養した。そしてその前後のPMNにおけるFas抗原およびLewis Y (Le
y) 抗原の発現を, 間接蛍光抗体法を用い, Flow cytometryで検索した。その結果, 以下のことが示された。
1. 末梢血PMNでは, 唾液, TNF-α, Fas抗体の刺激でFas抗原の発現が増加し, 血清, 唾液, TNF-α, Fas抗体の刺激でLe
y抗原の発現が増加する。
2. 分離直後の唾液PMNでは, Fas抗原の発現は分離直後の末梢血PMNと同じ傾向だが, Le
y抗原の発現は有意に高い。
よって, PMNは終焉の時に, 唾液やサイトカインなどの影響を受け, アポトーシスが発現している可能性が示唆された。
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