前報では, 酸素に対する増殖性より, 口腔常在細菌を4群に区分できること, および各々の客観的判定法について述べた。今回は, 各群に属する細菌28株を好気振盪培養, および静置培養し, 各細菌より得られた酸化還元酵素の培地当りの生成量およびタンパク質当りの活性 (Sp. act) について比較した。
一般的にobligate aerobesではカタラーゼ活性は強いが, 全NADH酸化活性は弱く, スーパーオキサイド・ディスムターゼ (SOD) 活性は比較的中等度に持っていた。facultative anaerobesでは, カタラーゼ活性は全NADH酸化活性と共に中等度であり, SOD活性は強かった。aerotolerant anaerobesでは, カタラーゼは生成しないが, NADH酸化活性は最も強かった。SOD活性は中等度であった。obligate anaerobesのうち, カタラーゼを持つ株は, 静置培養でよくカタラーゼを生成した。また,
V. alcalescensでは, 振盪培養の時SODを多量に生成した。
また, これらの細菌12株についてディスク電気泳動を行い, SOD活性染色をした。
Str. mutans Pk1, および
V. alcalescens ATCC17748株では, 2種類のアイソザイムが認められた。これらの結果から, aerotolerant anaerobesが好気的な条件でも増殖できる理由として, カタラーゼの代りにペルオキシダーゼやNADHペルオキシダーゼを多量に生成し, これによって蓄積した過酸化物を分解していることが考えられた。
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