歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
43 巻, 1 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • Mikiyo Odajima
    2001 年 43 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2001/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    ラット顎下腺終末部細胞における被覆小胞のゴルジ装置から分泌顆粒への輸送と成熟分泌顆粒の頂部細胞膜下までの輸送に関連した細胞骨格を急速凍結置換法を用いて検索した。
    被覆小胞は4.2nmのアクチン様の細線維構造により9.2nmの中間径線維に接続していることが観察された。また, 成熟分泌顆粒はアクチン様の細線維構造と棒状の細線維構造により微小管に接続していることが観察された。棒状の細線維構造は2個の球とそれに続く細線維から構成されていた。アクチン様の細線維構造, 中間径線維, 棒状の細線維構造や微細管は, 被覆小胞や分泌顆粒の輸送に関与していることが推測された。
  • 斉藤 博, 伊藤 一三
    2001 年 43 巻 1 号 p. 8-16
    発行日: 2001/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    舌骨は嚥下や発声において複雑な運動を示す。茎突舌骨筋は舌骨を後上方に引き上げる筋であるが, 舌骨に付着する部位はこれまで明確にされていなかった。SEMを用いて観察した結果, 茎突舌骨筋は正中部を除く舌骨体下面に広く付着していることが明らかになった。この筋の付着部に, 厚さ0.5-1mm, 長さ10-17mmの線維軟骨塊が舌骨体の下面に沿って認められた。茎突舌骨筋の腱線維束は線維軟骨に入る前に, ほかの舌骨付着筋と錯綜していた。また線維軟骨塊の内部においても同様の錯綜が認められた。これらの錯綜は互いの筋が結合を強めあうことを示していると考えられた。このように線維軟骨塊に多くの筋が入り込むことは, 嚥下運動などにおいて, 筋で支持されている舌骨がその位置を変える運動を円滑にしている。また嚥下運動において, 舌骨は同時に回転運動を行うことがすでに知られている。多くの筋が線維軟骨塊に入り込むことは, この線維軟骨塊を固定することを可能にしている。したがって, 舌骨は線維軟骨塊を軸として, オトガイ舌骨筋や甲状舌骨筋により前後に回旋すると考えられた。
  • 戸円 智幸, 橋本 修一
    2001 年 43 巻 1 号 p. 17-33
    発行日: 2001/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    ラット切歯歯髄組織中のアルカリ性ホスファターゼ (ALP) 活性は, マウスおよびハムスターと同程度であり, ウサギ, ウシ, ブタに比べて約10倍高かった。ラット歯髄組織から抽出したALPを, 0.1% Nonidet P-40を用いたポリアクリルアミドゲル電気泳動 (native-PAGE) あるいはラウリル硫酸ナトリウムを用いた非還元のポリアクリルアミドゲル電気泳動 (SDS-PAGE) にかけると, 酵素はnative-PAGEのゲル中ではALP-N1とALP-N2に, SDS-PAGEのゲル中では130kと155kの2つに分かれた。ALP-N1とN2は, 2次元電気泳動上で130と155kにそれぞれ一致した。粗抽出ALPを単に37℃で加温するだけで, ALP-N1 (130k) はALP-N2 (155k) に変化した。このALPの変化はALP結合性タンパク質によるのではなく, ALPの抽出分画中のグリコシルホスファチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼD (GPI-PLD) によって特異的に生じることが明らかになった。
    精製したALP-N1は, ALP-N2と同様の等電点 (4.3) と, ALP-N2抗体に対し同程度の結合親和性を有していた。これに対して, 脂肪酸 (C14-C18) はALP-N1中にのみガスクロマトグラフィで検出され, ALP-N2およびホスファチジルイノシトール特異的ホスホリパーゼCで処理したALP-N1中には脂肪酸は認められなかった。ALP-N1に結合したSDS量は, 脂肪酸のないALP-N2に比べて有意に多かった。これらの結果は, SDS-PAGEの泳動ゲル中をALP-N1 (130k) がALP-N2 (155k) より速く移動することを示唆している。
    本研究は, ラット歯髄組織のALPは分子量77kのホモダイマーであり, ALPを抽出するとき血液由来のGPI-PLDにより脂肪酸を有するものと消失したものの2種類の酵素分子が生じることを明らかにした。
  • 小野 俊雄, 根本 孝幸
    2001 年 43 巻 1 号 p. 34-42
    発行日: 2001/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    生後1年以上のニワトリの足の腱には, 石灰化物の沈着がみられる。さらに, 電子顕微鏡観察によれば, すでに生後100日以上の個体においてその徴候が認められる。本研究では, ニワトリ足腱の異所性石灰化部位の無機成分と有機マトリックス成分をプラズマ重合膜法によりオスミウムコートし, その走査電子顕微鏡観察を行った。その結果, コラーゲンマトリックスと石灰化物のそれぞれに, 新規の構造物を見いだした。第1に, 有機成分を溶解した後には長径が1.86±0.38μm (平均±標準偏差), 短径が1.05±0.16μm (平均±標準偏差) の楕円形の石灰化顆粒がみられ, それらはさらに融合して多数の細長いロッド状の構造を形成していた。さらに透過電顕観察では, 石灰化顆粒の表面には特徴的な67nmの周期的な縞模様が検出され, 本構造が生体内ではコラーゲン線維と接して存在していることが明らかとなった。一方, 脱灰処理後の腱のコラーゲン線維には, 2.8±0.38μmの周期的な波状構造が観察された。しかも, その一端のみが波状を呈する領域が観察され, その場合, 波状部分は必ず石灰化側に, 非波状部分は非石灰化側に位置していた。これらの結果は, 波状のコラーゲン線維構造が顆粒状の石灰化物生成を誘導している可能性を示唆している。
  • Eiichi Sakai, Yasushi Uematsu
    2001 年 43 巻 1 号 p. 43-59
    発行日: 2001/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    ハタネズミ亜科に属すヤチネズミ, スミスネズミおよびハタネズミの上・下顎大臼歯の近遠心径および頬舌径を計測し, 頭蓋骨基底全長に対する相対成長様相を種内相対成長の立場から検討し, さらにそれらを種間で比較した。3種の上・下顎各大臼歯の近遠心径および頬舌径は, 頭蓋骨基底全長の成長に伴って成長を続ける。歯種別に成長能を比較すると, スミスネズミの上・下顎大臼歯の頬舌径を除き, 第3大臼歯で第1, 第2大臼歯より成長能が高い。近遠心径の成長能は, ヤチネズミの全大臼歯, スミスネズミの上・下顎第3大臼歯およびハタネズミの上顎第3大臼歯で頬舌径のそれより大きい。したがって, これらの大臼歯は頭蓋骨基底全長の成長が進むに従い, 相対的により細長い形態をとる。これらの結果は, 3種の食性 (食植性) および下顎運動と強く結びついていることを示唆している。種間で成長能を比較すると, 相対成長係数αの値に一定の傾向は認められない。
  • 山崎 雅光, 佐藤 かおり, 青葉 孝昭
    2001 年 43 巻 1 号 p. 60-71
    発行日: 2001/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    本研究では, ブタの基質形成期エナメル質から抽出された基質タンパク, 合成ハイドロキシアパタイト, タンパク分解酵素としてトリプシンを使用して, エナメル溶液相を擬した実験溶液中でのアメロジェニンの酵素分解と, 結晶・タンパク・分解酵素が共存した反応系での結晶沈殿の制御機構について検討した。アメロジェニンの酵素分解過程の解析には, C末端エピトープを特異的に認識する2種類のペプチド抗体を使用した。溶液内においてアメロジェニン分子間で会合体が形成された場合に, トリプシンは会合体表面に位置する親水性のC末端領域を最初に切断することが碓かめられた。生理的な溶液条件下で結晶・タンパクを共存させると, アメロジェニンは会合体を形成しながら結晶表面に集積した。その結果, C末端の親水性領域への分解酵素の接近が阻害され, アメロジェニンの低分子化が遅延された。また, 結晶沈殿が誘起される過飽和溶液においては, 新たな結晶表面へのタンパク吸着が継続することから, 分解酵素によるアメロジェニンの低分子化は抑制された。以上の結果から, 酵素分解によるアメロジェニンの低分子化は, エナメル質の石灰化 (結晶成長の制御) と成熟化 (基質脱却) に直結した重要な現象であり, この低分子化現象には分解酵素と基質 (エナメルタンパク) との相互作用のみならず, 結晶・溶液組成が相互に関連しながら影響を及ぼしていると結論された。
  • 佐藤 律子, 片桐 史子, 石井 馨, 片桐 正隆
    2001 年 43 巻 1 号 p. 72-82
    発行日: 2001/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    エナメル質の斑状白濁は, 歯のフッ素症 (斑状歯) と初期齲蝕に共通な臨床的特徴であるが, 前者は酸に抵抗性を示す。本研究は斑状歯について, 齲蝕歯と埋伏歯を対照歯とし, 0.1N塩酸による脱灰処理前後のエナメル質の構造と質を肉眼像, SEM像やCMR像によって比較し, 酸に対する抵抗性の違いを検索することを目的とした。SEM像によると, 対照歯のエナメル小柱上面観は規則正しく魚鱗状に配列し, 小柱間隙は酸に強く脱灰され幅が広く, 割断面での最表層の無小柱エナメル様の部分は粗 であった。斑状歯では, 小柱体が不規則な配列で毛様に残存し, 小柱間隙は狭く, 割断面では比較的平滑であった。CMR像では, 表層の高石灰化層にさらに著しい石灰化の部分が点在していた。以上から, エナメル小柱の構造が酸による脱灰に抵抗していると考えられた。なお, 歯のフッ素症患者の生活環境水中のフッ素の定量分析の結果では6.1-6.7ppmで, 本症の重要な発現因子と考えられた。
  • Takeshi Fujioka, Norio Sogawa, Chiharu Aoki Sogawa, Nariaki Oda, Hiroa ...
    2001 年 43 巻 1 号 p. 83-88
    発行日: 2001/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
  • Pao-Li Wang, Shinya Shirasu, Yasutaka Azuma, Yoichi Tachi, Hitomi Shim ...
    2001 年 43 巻 1 号 p. 89-93
    発行日: 2001/02/20
    公開日: 2010/06/11
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