GTase阻害作用のあるカカオハスク抽出物を齲蝕誘発飼料に0%(対照群), 0.2%, 0.2%添加した飼料で
S. sobrinus接種ラットを鮪する齲蝕実験と,
in vitro実験で菌塊の電顕観察を行った.
S. sobrinusの歯面定着度は対照群と添加群の間に差はなく, これを反映してプラーク量も3群間でほぼ同等であった。しかし, 齲蝕の発生は対照群に対し, 0.02%群では7%, 0.2%群では31%と明らかな抑制効果が認められた。一方, 菌塊の形態観察をすると, 菌体を覆うグルカンは本抽出物の添加により粗となり, 随所で菌体が明瞭にみられた。この所見は
in vivoにおける歯質脱灰に関与する菌産生の酸の歯面貯留を少なくして齲蝕を抑制する可能性を示唆した。なお, 本齲蝕実験の条件では本抽出物による毒性はみられなかった。以上より, カカオハスク抽出物には鰍抑制効果があることが明らかとなり, その経口毒性も低いことを考え合わせると, 齲蝕抑制剤として有用性が期待される。
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