歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
43 巻, 2 号
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  • 岩坪 正剛, 柳下 寿郎, 青葉 孝昭
    2001 年 43 巻 2 号 p. 105-118
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    本研究では, ラット切歯の萌出異常がエナメル質および象牙質の形成と顎顔面頭蓋骨の成長に与える影響について, 組織学的な検討を加えた。実験には雄性SD系ラットを使用し, 両側あるいは片側の上顎切歯について, (1) 切歯萌出部を切断した非咬合 (萌出促進) 群, (2) 顎骨にピン止め固定した萌出停止群, および (3) 対象となる無処置群を設けた。各実験動物には, 処置後4週の観察期間内に多重蛍光標識を施し, 屠殺後, 切歯および顎顔面頭蓋の特定の部位より組織観察標本を作製した。形態・組織観察および形態計測, EPMAによる元素分析に基づき, 以下の結論が得られた: (i) 萌出異常はエナメル質および象牙質を含む歯質形成の動力学に大きな影響を及ぼしたが, 成熟を遂げたエナメル質での形成量や石灰化度は, 萌出状態の違いによる差異は検出されなかった。 (ii) 萌出促進歯あるいは萌出停止歯を囲む歯槽窩壁では, 対照歯と類似した骨の改造現象が継続していた。 (iii) 萌出停止歯を含む前顎骨の一部では, 萌出状態に関連した形態変化を生じていたが, 顔面頭蓋骨の輪郭や構造には切歯萌出異常に関連した影響は認められなかった。
  • 千葉 有, 人見 智行, 小島 道夫, 五十嵐 治義
    2001 年 43 巻 2 号 p. 119-132
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    局所麻酔薬の化学的性状により, 効力は大きく変化する。局所麻酔薬の浸透圧とpHをともに検討した報告例はない。そこで, 麻酔効力の増強と局所刺激性の減少を目的として, 塩酸プリロカインの浸透圧とpHの変化による影響を検討した。すなわち, モルモット歯肉および坐骨神経に対する塩酸プリロカインの麻酔効力, NaHCO3の添加の影響, およびブタ角膜に対する局所刺激性を検討し, 次の結果を得た。1. 308mOSMは高低張浸透圧よりも, より強い局所麻酔効力を発現した。2. 308 mOSMの塩酸プリロカインの効力では, pH7.4の深度はpH5.0の約1.6倍, 持続時間は約1.7倍を示した。3. 用時調整ではなく, 塩酸プリロカインをあらかじめNaHCO3でpH7.0と7.4に調整した場合, NaHCO3の添加の有無による効力の有意差はなかった。4. 歯肉と坐骨神経に対する麻酔効力はほぼ同傾向を示した。5. ブタ角膜に対する塩酸プリロカインの刺激性はpHの増加に伴い減少し, さらに濃度依存性を示した。
  • Koji Yashiro, Fuyuakira Takatsu
    2001 年 43 巻 2 号 p. 133-139
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    ラット顎下腺ミクロソームのジチオスレイトールメチル化活性の性状を検討した。この反応は, 二価カチオン非要求性, スルフヒドリル基選択性, およびS-アデノシル-L-ホモシステイン感受性を示した。また, 生体内チオール化合物であるL-システインやグルタチオンより, 1, 4-ブタンジチオールや2-メルカプトエタノールなどのアルキルチオール化合物が良い基質となった。これらの結果から, この活性がチオールS-メチルトランスフェラーゼによるものであることが明らかとなった。顎下腺ミクロソームのチオールS-メチルトランスフェラーゼは, ジチオスレイトールに対して高い活性を示し, モノメチル化体に加えジメチル化体を生成した。また, この活性は, 非イオン系界面活性剤の添加で著しく上昇した。これらの結果から, チオールS-メチルトランスフェラーゼの存在する膜構造が, 酵素タンパク質の基質結合部位あるいは触媒部位の高次構造に強い影響を及ぼすことが示唆される。唾液腺の本酵素は, 細胞外チオール化合物あるいは細胞内で生じた硫化水素の解毒代謝を担うことで, 毒性の高いチオール化合物から分泌機能を保護するものと考えられる。さらに, 顎下腺では, チオール化合物代謝を介して, チオール化合物で活性化されるT-キニノゲナーゼ-T-キニン系の調節機構にかかわる可能性も示唆される。
  • 熊井 敏文
    2001 年 43 巻 2 号 p. 140-146
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    ヒト脳において, 4種類の噛みしめ動作 (transient, sustaining, step-down, step-up tasks) に対する事象関連電位の発生様式を調べた。各動作は, それぞれの音刺激シーケンスにて誘導実行された。記録は, 通常の皿電極にて頭蓋表面4カ所 (Fpz, Fz, Cz, Pz) より導出され, 15回分が加算平均された。結果は, 各噛みしめ動作に対して約300msec後に前頭部優位に, いわゆるP3 (00) 様の陽性電位が誘発された。概略的には, このP3様電位は閉口筋の完全弛緩に対してのみ発生し, 不完全な弛緩に対しては発生しなかった。
  • 木村 博幸, 戸田 一雄, 佐藤 俊英
    2001 年 43 巻 2 号 p. 147-155
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    本研究は人工ニューラルネットワークを用いて, ウサギの飲水時, ペレット咀嚼時, パン咀嚼時のそれぞれの下顎運動パタンの特徴を解析したものである。無麻酔, 無拘束下に導出されたウサギの摂食時咀嚼筋発火パタンをもとに, 3層パーセプトロン型の人工ニューラルネットワークをバックプロパゲーション学習法によって構築した。学習時には用いなかった咀嚼筋発火パタンに対するこのネットワークによる識別結果を調べ, 従来生理学的データ解析に用いられてきた, 発火タイミングや, 振幅を比較する解析方法と比較した。その結果, 咬筋活動からは従来の方法でも3種の下顎運動パタンを識別できたが, 人工ニューラルネットワークを用いると顎二腹筋活動からもそれぞれの下顎運動パタンを識別することが可能であった。それゆえ, 本手法が曖昧な情報を含む筋電図の解析に有用であることが明らかとなった。
  • 大谷 嘉信, 諸橋 富夫, 斉藤 茂, 大前 正美, 柴崎 好伸, 山田 庄司
    2001 年 43 巻 2 号 p. 156-165
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    チタンインプラント (IPL) が歯の矯正移動の固定源として有用であるかについて, 4頭のビーグル成犬を用いて検索を行った。下顎第2, 第3前臼歯相当部位に植立した2本のIPLを鋳造冠で連結し, 第4前臼歯との間にアーチワイヤーを用いて200gの側方力を負荷した。反対側には矯正力を負荷しなかった。矯正力負荷から2週間ごとにテトラサイクリン (TC) を皮下投与した。24-32週間の飼育終了後, 両側でIPLの移動は観察されなかった。反射電子像をもとにIPL矢状断面の観察を行った後, IPL先端から連続横断切片を作製し, IPL近遠心に設定された測定部位における石灰化領域およびTC標識で囲まれた領域の割合を算出した。反射電子像では矯正力の有無によるインプラント周囲の骨の状態に顕著な差はみられなかった。石灰化領域は約80%, TC標識領域は約35%で, 両側間に有意な差はなかった。IPLが移動せずかつIPL周囲の石灰化が矯正力の有無にかかわらず起こっていたという結果は, IPLが矯正による歯の移動の固定源として有用であることを示唆した。
  • 葛城 啓彰, 大竹 美嶺子, 倉沢 郁男, 鈴木 安里, 斎藤 和子
    2001 年 43 巻 2 号 p. 166-174
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    超還元性水の各種細菌 (11属14種) および真菌に対する殺菌効果と細胞毒性について検討した。超還元性水は, グラム陰性菌であるE. coli, P. aeruginosa, A. actinomycetemcomitans, F. nucleatum, およびP. gingivalisに対しては優れた殺菌効果を示したが, グラム陽性菌, 真菌, 細菌芽胞には有効な殺菌効果を示さなかった。また, このグラム陰性菌に対する殺菌効果は血清添加およびOHラジカル消去剤の添加で抑制されなかった。一方, 細胞毒性は, LD50値が33w/w%であり, 他の汎用される消毒剤に比べ毒性は軽度であった。これらの結果より, 超還元性水は有効菌種と使用範囲を適確に選択すれば消毒剤として有用であると考えられる。
  • Takaaki Aoba, Kaori Sato, Masamitsu Yamazaki, Yoshihito Shimazu, Yuji ...
    2001 年 43 巻 2 号 p. 175-183
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2010/09/28
    ジャーナル フリー
    本研究では, フーリエ変換赤外吸収法 (FTIR) と原子間力顕微鏡 (AFM) を用いて, アメロゲニンが溶液内で分子間会合体を形成する過程に生じる構造・形態変化を調べた。観察対象には, ブタ基質形成期エナメル質の主要な基質タンパクである20kDaアメロゲニンを選んだ。アメロゲニンのFTIRスペクトル解析から, 溶液相で単体分子として存在しうる条件下 (0℃) では二次構造を示すピーク成分が分離されたが, 溶液温度の上昇に伴い, 会合体が形成される過程で多くの二次構造要素は不明瞭となった。ただし, N末端領域に存在すると推定されるβ-シートは分離して観察された。溶液内で形成された20kDaアメロゲニンの分子会合体は, そのAFM像では20-30nm径の球体として特徴づけられた。今回の実験結果から, 細胞外でのアメロゲニンの酵素切断による低分子化現象は, タンパク分子の一次構造の特質に基づく分子間会合による制御を受けていることが示唆された。
  • Yoshiaki Kishi, Yoshifumi Takahashi, Bunkichi Azuma, Youji Terauchi, M ...
    2001 年 43 巻 2 号 p. 184-188
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
  • Kazushige Sasamoto, Yuzo Ninomiya
    2001 年 43 巻 2 号 p. 189-193
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
  • Masaki Takeyama, Kazuharu Irie, Hiroaki Nakamura, Eiki Kominami, Kooji ...
    2001 年 43 巻 2 号 p. 194-202
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
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