Streptococcus mutans HS-6株の脂肪酸による増殖阻害を検討した。10
-4Mにおいて, 飽和脂肪酸 (8種類) 及び
trans型不飽和脂肪酸 (5種類) の阻害効果は見られなPかったが, cis型不飽和脂肪酸 (エルカ酸を除く6種類) の阻害効果を認めた。オレイン酸による増殖阻害は,
S. sanguis,
S. salivarius及び
S. mitisより
S. mutansにおいて強く観察された。
S. mutansのオレイン酸増殖阻害は, serotype bに属するBHTとFA-1株において弱かった。
次に
S. mutans HS-6株の粗酵素を用い, 脂肪酸による不溶性グルカン合成阻害を調べた。飽和脂肪酸 (8種類) 及び
trans型不飽和脂肪酸 (3種類) は, ほとんど阻害しなかったが,
trans型 (2種類) 及びcis型 (7種類) 不飽和脂肪酸は, 合成を阻害した。
オレイン酸の種々の菌株の不溶性グルカン合成阻害は,
S. mutans HS-6, HS-1及びIngbritt株において強く, AHT-FA-1及びBHT株において弱く見られた。また, NCTC 10449, OMZ 65, OMZ 176及びKIR株ではオレイン酸による不溶性グルカン合成の促進傾向が観察された。
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