【目的】本研究では,非イオン性水溶性ヨード系造影剤(ビジパーク320®)を水とともに炊飯前に米へ加え,炊飯器で炊飯する方法で作製した嚥下造影検査用炊飯米が,造影剤の入っていない米と比較して,どのような違いがあるのかを検討することを目的とした.
【方法】材料は無洗米と非イオン性水溶性ヨード系造影剤のビジパーク320® で,炊飯器はSTK-A550®(サタケ,広島)を使用した.下記分量にて,炊飯器で通常炊飯を行った.なお,試料1 はコントロールとして作製した.
試料1:無洗米300 g +水420 ml
試料2:無洗米300 g +ビジパーク320® 150 ml +水270 ml
作製した試料について,電子顕微鏡観察および元素分析,炊飯食味分析,硬さ粘り分析を行った.
【結果】電子顕微鏡観察において,試料1 ではみられなかった付着物が試料2 では認められた.元素分析では,試料2 の表面から中心に至るまでヨードを含有していた.炊飯食味計での測定結果については,試料2 は試料1 と比較して,食味値,外観,テクスチャーに関わる項目の値はすべて統計学的に有意に高い値を示したが,いずれも炊飯米としては,良いと判断される値に含まれていた.
【結論】電子顕微鏡写真で,検査用炊飯米の表面および内部に造影剤の析出物と思われるものが存在しており,元素分析では表面から中心に近づくにつれて漸次 ヨードの含有割合は減少しているものの,中心部までその存在が確認できた.また,炊飯食味計による測定では,食味値,外観,硬さ,粘り,バランスいずれも,通常食されている炊飯米と比較しても良好な結果であった.
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